劇場公開日 2022年2月25日

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「是非、フィオン・ホワイトヘッドにも注目を」ゴヤの名画と優しい泥棒 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0是非、フィオン・ホワイトヘッドにも注目を

2022年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1961年、当時のイギリスは階級社会における労働階級への差別に加え、インフレーションと失業率が昂進し、確実にイギリス(英国)病が国内経済を蝕んでいた。
このドラマの主人公であるケンプトン・バントンも労働階級であり、彼は「高齢者のために公共放送BBCの受信料無料化を求める」社会運動に熱心に取り組む活動家であった。
彼はよく喋るうえに時に痛烈な皮肉も混じるが、憎めない人柄ときちんとした知識、理念、信念を持っており、また口だけではなく自らが犠牲になってでも訴える人である。
冒頭からそんな彼の人となりが見える展開で進んでいくが、刑務所への収監を機に、妻ドロシーの説得に押されつつも「最後に一度だけ」とロンドンに赴くことになる。
ここで観ている私、ある出来事に一瞬「あれ?今気を失っていたか?」と自分を疑う映像的なギミックがある。実はこれが気のせいでなかったことが物語の後半で判るのだが、、、
ハドソン夫妻を演じるベテラン、ジム・ブローベントとヘレン・ミレンの演技は言わずもがなであるが、その夫妻の息子ジャッキーを演じるフィオン・ホワイトヘッドが、この夫妻が人生を「間違っていなかった」と思わせてくれる演技を見せてくれ、微笑ましく、そして清々しい気持ちになる一本です。

TWDera