やがて海へと届くのレビュー・感想・評価
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喪失感を持ち続けられることは強さだと思う
親友が突然亡くなった。いや,いなくなってしまった、
明確に病気や事故で亡くなって,見送ったわけではない。
震災に巻き込まれた可能性は高いけれど確実なわけじゃない。彼女を取り巻く人たちはもちろんみんな悲しみに浸る。でも,少しずつそのことを受け入れ、彼女は亡くなってしまったと整理して日常に戻っていくのだ。
主人公はそれができない,納得しない。喪失感を持ち続けられることは生きてる時の彼女への思いの深さだけではないだろう。映画の中でもいなくなった親友は主人公に言っている。自分で思ってるよりあなたは強いよと。
そう、この主人公の持つ強さを,岸井ゆきのが見事に演じきった。彼女あっての映画だろう。最後の独白は彼女のアドリブらしい。お見事としか言いようがない。素晴らしかった。
女友達が一人旅に出たままいなくなってしまう。 どうやらたまたま訪れ...
親友が旅に出かけたきり戻らない、心の葛藤のお話。 イラストに浮遊す...
岸井ゆきのの落ち着いた所作が素晴らしい一本
身近な人を亡くしたとは言っても、その長幼の序に従って両親を亡くしただけで、しかも両親とも病を得て、遺族にはその死期の予測がついていたという評論子の場合には、かけ替えのない人を突然に失ってしまった人の喪失感は、おそらく、評論子が察する以上のものなのだと思います。
いわば「現地を踏む」ことによって、真奈が初めて現実を受け入れる端緒をつかんだのも、その由縁と思いました。
その切ない心情を、岸井ゆきのの(若い彼女ながら)落ち着いた所作(演技)が素晴らしく、本作は、佳作としての評価に値する一本だったと思います。評論子は。
(追記)
本作の「見せ方」について。
本作の宣伝(予告・解説)では、すみれが遺したビデオカメラの映像に、本作が秘めている「謎」を解くカギがあると言わんげなつくりになっていましたけれども。
しかし結局、真奈が東北にまで足を運んですみれが消息を断った事情が、作中人物には暗黙のうちに?前提とされていたかどうかはさて措くとしても、観客には初めて明らかになるというのであれば、この宣伝は、どうにも、評論子には、いただけません。
直接には被災していない真奈にまで、震災の影響(重荷)が及んでいることを本作は静かに…しかし、ありありと伝えているのですから、そのことを「売り」にしても良かった…否、そうすべきであったと思います。評価子は。
けっきょく、本作の予告・解説は「羊頭狗肉」の謗りを免れないように思えてなりません。評論子には。
きっと忘れないだろう
前情報を入れずに観てしまったので
3.11が話に絡んでくることを知らなかったので浜辺美波演じるすみれが何故いなくなってしまったのか考えながら見ていて
理由がわかってくると3人の関係から消えたのでは無く本当にある日突然もう会えなくなってしまったということが
とてつもなくやりきれない気持ちになってしまって
これは岸井ゆきの演じる真奈のように気持ちの落としどころがわからず
答えが出ないなと思ってしまった
原作では震災で帰ってこなくなった…とあらすじが始まるが
映画ではアニメーションから始まり
あのアニメーションも最初は何も知らなかったので美しいけど何処かこわいアニメーションだなと思ってたけど
後半流れたアニメーションは理解していたので恐さの理由はそういうことかと思いながらも自然に帰っていくそれをみて
少し安心を覚えた。
ある程度知った上で見るべきだったのか
知らずに見るべきだったのかはわからないし
見た側で全然感想は違うであろう落としどころだったであろう映画だったけど
たまたま映画ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌を見ていて、それを引きずっている事もあり泣いてしまったし、真奈は過ごした大切な時間を忘れないだろうと感じました
ボクはこの映画好きです
すみれを探す《心の旅》
すみれってどんな子だったんだろう?
“普通とは違っていた?“
水をすくっても指の隙間からこぼれ落ちる。
すみれは水のようにすくえない。
不思議な映画でした。
分かったようでも、次の瞬間もう分からなくなる。
「喪失にから再生」
多分テーマは、そう。
でも一方で、
すみれを探す映画でもあると思う。
自分(私)は、非常に現実的な人間(リアリスト)なので、
ミステリーを読むように、
ミステリー映画のように、観るしか方法がみつからないです。
真奈ははっきりと口に出しています。
「親友が津波で、帰って来ないのです、
「一人旅が好きで、あの辺りに出かけたことは、分かっています」
冒頭のアニメーション
カーキ色のブルゾンにジーンズ。
赤いスニーカーの少年。
海に足をつけて、どんどん深みに進んで行きます。
そして、実写に変わって、
すみれの喪失に苦しむ真奈の描写があり、
真奈とすみれの出会い、
大学の同好会の飲み会。
真奈が無理して飲んだビールに悪酔い。
すみれはそんな真奈を介抱してくれる。
機転も効いて頼もしくてミステリアスなすみれ。
ある夜、母親と喧嘩して家を出て、
ずぶ濡れの子猫みたいに真奈の部屋に住み着いてしまう。
真奈が「かけがえのない彼の存在」を匂わせた後、
すみれは遠野(杉野遥亮)に、
『私たち一緒に住まない?』と言って、
真奈の部屋を去っていく。
そしてある日、一人旅に出かけて、
それきり、
5年も消息が分からない。
遠野とすみれの母親は、葬式を終えて、
すみれが死んだものとして、
アパートを引き払ったり、形見分けをはじめる。
それが残された人の当たり前の生き方、
真奈はどうしてすみれが、ふっと帰って来る気がする。
死んだことにする事が、許せない。
大学を卒業してレストランで働く真奈は、
すみれを失った悲しみから
抜け出せないでいる。
何度も訪れたと言う「福島」に国木田(中崎敏)と
ドライブで出かける。
そして3.11で家族の戻らない人々の話を聞く。
(今でも遺骨を探す人々がいます)
終盤で、
すみれの側から、振り返るパート。
すみれが遠野の元へ去った理由、それは
真奈が仄めかした彼氏の存在にあるのではないでしょうか?
2人が話した最後の日。
バス停ですみれは真奈に、
「真奈は自分で思っているよりずうっと強い人だよ」
と、言い残す。
そして一人旅に出かけます。
ラストのアニメーションに続きます。
岸井ゆきのさんの哀しみを背負う佇まい。
浜辺美波さんの、女神のようで神秘的とも言える美しさ。
海はあまりに大きく、
強くて、
人を呑み込む
海の底知れなさ、
人は抗うことが、
出来ない
《翌朝 2度目の鑑賞》
冒頭のアニメーションをみてドキッとした。
もしかして、すみれは男の子になりたい人、
だったのかも?
髪が最初のロングから、ボブになり、
ショートカットに、
「昔からその髪でなかったのが、不思議な位、」
服装もフェミニンなワンピースから、
ラストの駅のベンチに座ってるすみれは、
カーキ色のブルゾンに、赤のスニーカー、
すみれは男の子になりたかったの?
そうして真奈の恋人になりたかった?
そのビデオカメラには、知らなかっな彼女の
秘密が残されていた・・
(そう映画解説には書いてある)
真奈はすみれを親友として好きだった。
しかし
すみれは真奈が考えてる以上に真奈が好き。
恋人として好きだった。
私が感じたすみれの秘密って、
そんな気がする。
すみれは男の子に生まれて、真奈の恋人になれたら、
良かったね。
福島から帰った真奈は吹っ切れたように言う。
「今日の天気は晴れ」
すずめの戸締りと同様の隠匿があります
青春の1ページとして悪くない作品だったと思います。
見た時の心の状況で評価が変わりそうな感じです。
雰囲気だけで結末まで繋ぎ切ったことには感心します。
これもまた震災が生んだ作品。
皮肉なことですが、人生観が変わるほどの衝撃を受けた人は多く、それは多くの創作の原動力にもなりました。
これも震災を扱った作品であることを隠匿していましたが、騒ぎにならなかったのは原作付きであることと、残念な興行収入だったからでしょうか。
「人の死」とは
この作品では、大切な親友のすみれが震災で帰らぬ人となった現実を受け入れられず行き場のない喪失感に襲われながらも、周りの人々がすみれの死を受け入れていることに深い憤りと悲しみを覚える真奈の視点。後半では真奈の知らないすみれの最期までの視点が描かれています。
大切な人の死を受け入れることは誰にとっても簡単なことではありません。確証のない死は余計に、まだどこかで生きていると信じたくなります。
私も実際に東日本大震災を経験した身として「帰ってこない=死」だと受け入れることは表現しようのない悲しみだと思いました。
けれどどんなに悲しくとも、その大切な誰かは残された人たちの思い出の中で生き続けています。
思いでは大切
私から見ると世界は。
親友のすみれを突然亡くした悲しみから抜け出せない主人公真奈が、すみれの元彼から引き取った遺品からその死と向き合っていく話。
この監督の作品、身近な人をなんの前触れもなしに突然なくしたことがあるかないかで作品にのめり込める度合いが違うんじゃないかなと思う。恐らく「喪失」を題材にした作品を中心に撮られてて、正直前まではあんまり刺さらなかったのだが自分の母親が亡くなってから今作を見てめっちゃ刺さった。
ある日を境に届かないメッセージに、数時間前には普通に話していた人にもう会えない絶望、大丈夫なふりをしていても突然襲ってくる悲しみ、そのどれにも心当たりがあった。
真奈の心の再生のきっかけが曖昧で分かりずらくはあるという指摘もあるけど、あれはあれで良いと思う。人の心なんて決定打で上手い方向に転ぶ訳じゃなくて、なんとなーくで急に前向きになれたり、はたまた急に心が落ちたりするからね。
そして、ポスターにもあるように、人は世界の片鱗しか捉えられなくて、人によって見えてる世界は違うというのが"映像を撮る"行為として表れされてるのかなと思った。世界の片鱗しか見えなくても、せめて自分の見えてる世界を残すことはできる。
という私も全く映像を撮ることはないけど、こうやって映画の感想をツラツラ書きながらたまに自分語りをするのが、私によると世界はこう見えているという片鱗を残せていればと思う。すみれが真奈のことを憧れも含む愛情を持って見つめていたように、その主観の世界が誰かを元気づけられることもある。
詩情にあふれ 心に届く傑作
三回劇場で観ました
味わいはあせることなく、理解も深まりました
稀に見る高い次元で結実した名作と言い切っても良いのでは
発せられた言葉
口にされなかった言葉
海の描写
役者さんはメインの2人が圧巻でしたが
皆さんそれぞれ存在感がしっかりと感じられました
音楽も素晴らしいし
懐かしいパフィを浜辺美波さんが歌うシーンもあってサービスも充実
とにかくすごい純度で丁寧に作り込まれていて、鑑賞中ずっと温もりに包まれます
どのシーンもさり気ない美しさがあるのですが、クライマックスではほんとうに
息を呑むほどの美しいシーンが何度も
最初は分からないな、テンポがゆっくりだな と感じられる人もいるかもしれません
いえいえ、実は行間の味わいが凄まじいので2回3回と観れば、感動はきっと増していくでしょう
自分は、1回目は終映後のトイレで号泣してしまい我ながら驚きました
2回目はスクリーンで何度か泣けました
3回目は、残された謎の部分に辿り着きつつあると思いました
「わたしは光をにぎっている」も大好きな作品ですが、こちらはさらに熟成されていて、邦画史に輝き続ける名作の域に達していると感じます
上映館が少なくなり、寂しいしもったいない(観れば感動間違いなし)と強く思います
こういう映画をこそ、多くのひとが味わえるといいなあ!
ふんわりと考えれば良いのかな
男が描く女の友情はなぜかレズっぽくなりがち
2022年映画館鑑賞15作品目
5月1日(日)チネラヴィータ
ファーストデイ1200円
原作未読
岸井ゆきの浜辺美波映画初共演
既に日テレのテレビドラマで共演しているがそっちはまだ観ていない
同い年の役だが岸井ゆきのの方が年上なことは知っている
だがこれほど離れているのは意外だった
たしかに最初は「えっ」となるけどそれでも受け入れるのが観る側のエチケットに思えて来た最近
所謂東日本大震災もの
親友が震災で行方不明になるといえば綾野剛松田龍平共演の『影裏』を思い出す
あっちはゲイっぽい感じがしたがこっちはちょっぴりレズっぽい
2人とも同じ大学の新入生
サークルの誘いで一緒になり意気投合
トントン拍子で同棲
親友は恋人ができ別居
久々に再会
親友は一人旅で東北に
そこに東日本大震災の津波が襲う
監督と脚本は『四月の永い夢』『わたしは光をにぎっている』『静かな雨』『蒲田前奏曲 第一番・蒲田哀歌』の中川龍太郎
脚本は他に『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』『静かな雨』の梅原英司
東日本大震災で行方不明になった親友の死を認めたくない湖谷真奈に岸井ゆきの
東北一人旅の途中震災で行方不明になる真奈の親友でビデオ撮影が趣味の卯木すみれに浜辺美波
すみれの恋人遠野敦に杉野遥亮
真奈が務めるレストランのコック長国木田聡一に中崎敏
すみれの母親卯木志都香に鶴田真由
東北で沿岸地区で民宿を営む伊藤祥栄に中嶋朋子
祥栄の娘伊藤羽純に新谷ゆづみ
真奈が務めるレストランのフロントマネージャーでのちに首吊り自殺する楢原文徳に光石研
チケットが対人販売の映画館の場合タイトルがわからなくても「浜辺美波ちゃんのやつ」といえばこの作品のことだと通じてしまう
映画館の企画で浜辺美波特集でもやってない限り
でも主演はあくまで岸井ゆきの
浜辺美波はなかなか出てこない
みんな大好き浜辺美波ちゃんだけど岸井ゆきのもちょっとは興味を持ってほしい
冒頭アニメ
ラストの手前にもアニメ
ジブリアニメのかぐや姫風の画風
予算の都合なのか実写なら実写で押し通してほしい
ここ数年こういう表現が多い気がする
そういえば『キルビル』もそうだった
とはいえアニメならではの表現はわりと自分好みで悪くはない
湾岸地域のシックなレストランは東北のド田舎中学生女子が憧れる典型的な東京情景
僕にとってはなぜか少々退屈だった
照明があのくらいムーディーだと眠気が襲う
一転して見慣れた東北の沿岸地域が全国の映画館で公開されるとなると興奮すらする
ちなみに2人で行った海辺は千葉らしい
初対面で会ってからそれほど経ってないのに他人の口の中に指を入れることができるだろうか
酒で気持ち悪くなっていたとしても背中をさするくらいではないか
さらにレズを偽装しいきなり接吻
ありえない
本当は人見知りなのにスイッチが入ると超大胆
すみれが行方不明なった土地を訪れる真奈と遠野
すっかりおばさんになった感がある蛍ちゃんがなぜか震災の語り部をビデオ撮影
最後は随分美少女だなと感じたが彼女は芸能人であり若い役者だった
白いパーカーにbroadenの文字があったことから元阪神のブリーデンを思い出しついでにラインバックまで思い出した
しかし阪神のブリーデンとはスペルが違うので亡き父の形見ではなさそうだ
エンドロールで確認しなかったがおそらく新幹線で一関駅からオリックスレンタカーでロケバスを借りて千歳橋を渡り東山摺沢大原を経由しループ橋を渡り陸前高田に到着
南下し気仙沼や松島でもロケってな感じだろうか
陸前高田の堤防なんてまるで進撃の巨人の世界
たしかにジャズのCDをたくさん置いておくより有線の方が合理的なのだが前のフロントマネージャーの方が魅力ある
人望があった人の後釜はなぜかコストカッターというか全てにおいて味気ないつまらない人が多いと感じるのは偏見か
ポスターにもあるが幻のすみれが真奈にキスをしそうになる場面
真奈が涙を流すシーンが美しくて良かった
何を思い、どう考えるかは人それぞれ
どんなに考えても決してわからない人間の内面を描いた物語であると同時に、地震(津波)が大きく関わる作品となっている。また、真実が直接描かれていないため、鑑賞者の解釈に委ねる部分が多い。テーマが難しく様々なことを考えさせられる作品だと感じた。
真奈(岸井ゆきの)とすみれ(浜辺美波)の意味深長な表情がとても良く、物語に大きな効果をもたらしていると感じた。
すみれは他人に明るく振る舞うことができるため、他人からすると社交的な性格のように感じる。しかし、他人に合わせる(チューニングする)ことで自分の想いをあまり伝えられずに気疲れしてしまうこともあるのかなと考えた。また、「やりたいことがあっていいな」や「どっかに行きたいとも思わない」というすみれのセリフ等から、すみれは心に闇のようなものを抱えて生きているようにも感じた。
「1人の人間が行方不明であること」や、「1人の人間が自殺したこと」に対して、関係性(親友、家族、恋仲)やその人間の印象(頼りになる上司、過度な八方美人な上司)によって事の重大さ、感心の度合いは全然異なるのだなと感じた。
(よそから来た人間が新しく店長に就任するシーンにおいて)組織から1人の人間がいなくなったところで、組織には影響があまり無いことは分かるが、「1人いなくてもなんとかなっちゃう」というまなの言葉はとても哀しかった。
個人的に、「怖いけど生きてる」「みんな知らないうちにいろんなこと押し付けてる」「みんな傲慢」「自分のことを守るのに必死」「ムダなことを減らしていく」「自分が思っているよりずっと強い人だよ」という言葉が印象に残った。
想像してものと違った…
何を言いたいのか、何を伝えたいのかがわからない。
真奈とすみれの友情あったの?
真奈がすみれとの強い思いれがある表現があるわけでも、心に残る思い出があるわけでもなく、2人の関係性が浅くしか表現されてない。
すみれがいなくなった理由も後のほうで分かるけど、そこまで引っ張る必要は無かったのではないかと。
震災だからなのか。
被災者のインタビューって必要だったのか?
前後のアニメーションも必要だったのか?
すみれのワンピースやネコのポーチなどの小物はなんだったのだろうか?
モヤモヤ、スッキリしない、消化不良、不完全燃焼というような感じになりました。
ニライカナイ
一人旅が好きで、5年前に旅に出たまま帰らなかったすみれ。
真奈は大学時代からの親友である彼女の不在を未だに受け入れられずにいた。
彼女を亡き者として扱う周りに違和感を覚えた真奈は、彼女のコミュニケーション手段の一つだったビデオカメラを通して知らなかったすみれの新たな一面を知って行く。
海は
青くて
深くて
恐くて
美しい
喪失と折り合いの映画としてはドライブ・マイ・カーよりも好きかもしれない。
前評判から正直期待値を下げていたが、想像以上に良かった。
自分は千葉の内陸住みなので、幸い周りでそういった被害はなかったけれど、11年経った今でもあの日のことは鮮明に思い出される。
自分は前情報で知っていたが、できる限りこの情報は知りたくなかった。
配慮の問題があるから難しいとは思うけれど…
何も残らなければ、そこにいたこともいなかったことも証明されない。
ただし、そこにいたという周りの人の中に残る記憶を、記録するものが遺物なんだなと。
それは、この作品におけるビデオカメラだったり音楽プレーヤーだったり。
処分することは簡単だが、それはその人の存在そのものを抹消することにも繋がりかねない。
1秒後生きているとも限らないこの人生、自分の人生は勿論だが、今この瞬間から一つひとつのモノやヒトを大切に生きていこうと思った。
ただ少し残念な点も。
ビデオカメラだからと言って震災の記録ビデオみたいなのは要らなかったように思う。
悪いけどこの映画にそれは求めてない。
楢原さんが最期に「好きな曲をかけなさい」と言ってたんだから、メタリカでもPUFFYでもかけて欲しかった。
助長に感じる部分も多かった。
死人に口なし。
ましてや行方不明の人の本当の想いなど他人には分からない。
ただ、すみれは真奈のすぐ近くにいた気がする。
中川監督の美しい映像と音楽が身に染みて、じんわりと優しさに包まれる良作だった。
✳︎そういえば岸井ゆきのと浜辺美波、名前までこの作品にぴったりで好演が光っていました。
良質な邦画
私は何でもかんでも言葉で説明する作品が苦手なので、とても満足のいく2時間でした。私なりの解釈の余地があり、今後も折に触れてこの映画を思い出す気がします。映画館で見る価値のある映画でした。
ただ…宣伝文句というか、あ、そういう行方不明なのか…と思って、事前に明かされてた方がよかったような気もするし、かといって事前に明かされてたらたぶん辛いだろうと考えて見なかったな、とグルグル思ったのでマイナス1.5にしました。
映画としてはすごく満足です。ただ、私にとってもその出来事は深く刻まれていて、当事者の人とか、どうなんだろうなと…余計なお世話ではあると思うのですが。
そういうことも含めて様々なことを考えられる映画でした。私は、見てよかったです。
全128件中、21~40件目を表示