劇場公開日 2022年4月1日

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やがて海へと届くのレビュー・感想・評価

全122件中、21~40件目を表示

4.5派手さはないが染み染み見入ってしまう

2022年4月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

中川龍太郎監督らしい作品です。
いつも通り、風、波、風景、日光を生き生きと描写し、寡黙な演者が目の動きや表情、仕草で感情を表現していく様は絶妙です。心の襞をうまく表現してるなと感心します。

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ちゆう

4.5今、観てほしい映画

2022年4月3日
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鑑賞方法:映画館

 突然目の前からいなくなった親友すみれ。その喪失感を抱えながらも、自分は友人のいったい何を知っていたのかと葛藤する心情を、岸井ゆきのさんが見事なまでに表現してくれています。終盤は、すみれの人として普通に悩んで生きていた生、その後のアニメーションにつながる現実。友人の思いは自分に届き、自分の思いは海へと届く、そんな再生の物語だと思います。
 美しい映像と丁寧なつくりで、気持ちにも時間的にもゆとりのある時にじっくり観てほしい映画です。今、作って欲しかった映画、今、観てほしい映画です。

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chapo

4.5原作を読んでないので、わからないが、震災津波の問題と、親友の問題が...

2022年4月2日
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鑑賞方法:映画館

原作を読んでないので、わからないが、震災津波の問題と、親友の問題がうまく統合されていない。みなみちゃんはとてもよくて、ゆきのちゃんが好きだけど、何でもないボーイフレンドを選んでしまうあたりをうまく演じていた。ゆきのちゃんは十分主演を張れるいい女優だということが証明されたけど、二人の関係もとても良かった。二人の顔がとても近づく長いカットは素晴らしい。後半、みなみの側からのカメラワークのシーンが素晴らしい。そして、ラストシーン。カメラを通してしかみなみちゃんがコミュニケートできなかった回路が、ラストでは生きてくる。
ボーイフレンドはやはりつまらない奴ではある。

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えみり

4.5事前情報入れないで

2022年4月2日
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ただキャストに浜辺美波さんの名前があったので100キロ自家用車走らせて鑑賞しに行きました。が、思いがけずの出会いになりました。
映画後半ですが真奈たちが向かった先の草木の植生に既視感。やはり、でした。陸前高田(たかた)の景色です。東日本大震災のエピソード折り込まれているという事前情報入れてなかったので胸に響きました。
そして震災語り部の方達。お3人さんは実際の地元の方として高校生の女の子役のかたもこちらの方かと思い込んでしまいました。涙がごく自然で。
そしてもちろん岸井ゆきのさん初めキャストの皆さんも。
現状東北地方はTOHOトーホーシネマズ仙台だけですが是非各県でも公開を

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なうなぱぱ

4.5いろいろ淡く優しい、ネタバレ厳禁?

2022年4月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

主演、岸井ゆきのが沢山見られます。
それだけでも嬉しいです。
初めの方は、浜辺美波と逆の方が良いかな?も思ったけど、岸井ゆきのの方が共感しやすい。とてもよい女優さんです。浜辺美波もとても切ない役どころでした

正直、ポスターとか予告見る感じだと、Lの話なのかと思ったけど、その辺も淡い。ちょっと曖昧。
では、なぜPG12なのか、タイトルの意味。
そっちかーと思ってしまった。
ちょっと心構えができていなかったので、少し困惑。

ただ、映画としてはとても映画らしく。好きな感じです。セリフでは無い、目だけで意思が現れます。
テレビドラマやスマホの小さい画面など、ながら鑑賞では伝わらない。「あっ、そういうことか、、、切ない」と気が付きました。
同じシーンがリピートされるのですが、カメラのアングルによってどちらの表情が見えるか変わります。それで意味を知る感じです。

ポスターにもなっているあのシーンは、とても美しく。2人ともとても綺麗でした。

それと、なぜかアニメで始まり、後半にもアニメパートがあります。これにも意味がある。

最後の15分はなかなか。とても淡く優しいので分かりにくいところもあるけれど、多分、そういうことなのだろうと。切ないですね。

監督の名前を覚えました。過去の作品をいくつか観ていますが、なるほど、この作品と同じ監督かと。これが監督の持ち味なのですね。

マナーの悪い客が1人。
遅れてきて真ん中に座り、最後の良いところで出ていき、直ぐに戻ってきて、眩しいスマホ画面。そのまま耳にあて留守電聞いた?またすぐにいなくなる。
そんなに重要な電話なら、入口の壁の影に立ってればいいのに。そうすれば誰の邪魔をせずにスマホ使えるのにね。

最後の良いところで、台無しだ。

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だるまん

4.5誰しも持っている人間の二面性

2022年4月2日
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「私たちには、世界の片側しか見えてないと思うんだよね。」

岸井ゆきのさんが演じる真奈がある理由で姿を消してしまったすみれ(浜辺美波)のいない世界とどう向き合い、どう成長していくのかを描いた物語。

初めに言っておくとこの映画は"ガワ"だけ見せて情報を与えた上で、解釈は鑑賞者に委ねるタイプのものなので好き嫌いは別れるかもしれないです。私はこの手の行間を読ませて、尚且つ深いテーマを描いた作品は大好きなのでかなり高評価でした。しかし中盤までは細部まで練られた作りなのか、それっぽく見せてるだけなのかが怪しい感じだったのが、ストーリーが進むにつれて「そういう事だったのね…」と感嘆してしまうような作りになっていて、思わず序盤から見直したいと思うほど練られたものになっていました。

冒頭で書いたのはこの作品のキャッチコピーなのですが、これはまさに作品そのものを捉えたもので、それを上手く体現した浜辺美波さんの表現力が圧巻。目を泳がせるシーンや、杉野遥亮さん演じる遠野と話すシーンでの表情の変化は本当に言葉以上の何かを感じました。
人間誰しも親しい人にも見せない面があったり、表で見えている姿がその人の本性とは限らない。作品を通して一貫して描かれるその部分は「青くて痛くて脆い」や「桐島、部活やめるってよ」に近いところがあり、観ているうちに自分の経験に重ねてしまい、どうしても主人公の真奈に感情移入せざるを得ませんでした。

鑑賞してもなお、正直すみれが普段何を考えていたのかは推測の域を出ませんが、真奈にとってすみれはかけがえのない存在だったわけで、失って初めて気づく後悔や、虚無感、喪失感は大事な人と会えなくなった(失った)ことのある人であれば真奈の気持ちには誰しも共感できるはずです。タイトルの「やがて海へと届く」の意味が分かったとき、今までの会えなくなった人達との思い出が蘇ってきて思わず涙してしまいました…。冒頭から始まるWIT STUDIOが紡ぐ美しいアニメーションもどこか幻想的で、でも現実的で、、言葉にできないくらい魅了されましたね。

本当に素晴らしい作品でしたが、観る人によってかなり感じ方が異なる作品だと思いますので、ぜひ多くの方に観ていただき、各々の映画体験をして欲しいと思います。

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ちーたら

4.5人の心にも人の死にも明確な答えなんてない

2022年4月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

迷っているならば、間違いなく観に行くべき作品であると声を大にして言いたいです。
たしかにこの映画に「明快さ」はないかもしれません。
ただ、大切な人を失うことや、相手が何を思っているかということに対して、そもそも明確な答えなんてあるのでしょうか?
本作は、その「わからなさ」そのものを見つめることに挑戦している気がしました。
そんな映画を見たことがなく、YouTubeの映画解説を2倍速で粗筋だけを追って知った気になっていた自分は、正直度肝を抜かれました。
こういう世界があるんだなと、、、

真奈がすみれを知ろうとして、すみれも真奈を知ろうとする。
全部知りたいと思うけど、そんなことはできないから、必死に想像する。
その想いの連鎖の中で人と人との関係性は結ばれている。
思えばこれまで自分はずっと「正解」を探して生きてきたなと……

見終わった後、しばらく放心してましたが、帰りの電車に揺られる中で、本作で描かれていたのは「答え」ではなく「意志」なのだと気付きました。

見終わってすぐにスッキリはしないかもしれないけど、「答え」よりも大切な何かがたくさん詰まってる映画でした。

自分は映画通でもないし、なにも偉そうに言えないですが、そんな自分の人生観が変わるきっかけを与えてくれたことに感謝です。
ありがとうございました。
上映中にもう一回見に行きたいと思います。

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アイスマン

4.5

2022年3月31日
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鑑賞方法:試写会

中川龍太郎監督の“春”な感じがこの映画にもやはりあった。

春な光、春な空気、春な風、春な風景、映画の要所要所に散りばめられている感じで、気づくとそこにふと入り込んでしまう感じがいい。

そして、もちろん、ただ季節的な意味だけではく、誰かに会ったり、誰かと別れたり、誰かを失ったり、何かを取り戻したり。

こんな季節だから、また観たくなってしまう。

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marumaru

4.5美しかった…

2022年3月31日
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鑑賞方法:試写会

ただひたすら美しかった。それぞれの俳優の魅力が引き出されていた。特に浜辺さんの意外な魅力には必見。分からない部分もあったので、もう一度見たい。

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jami jami

4.0☆☆☆★★★ 《震災に散った多くの人々を悼む鎮魂歌》 原作読了済み...

2024年3月16日
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☆☆☆★★★

《震災に散った多くの人々を悼む鎮魂歌》

原作読了済み。

原作は如何にも【純文学】と言っていいくらいに、1つ1つの描写力が細かく。その細かさ、(悪く言ってしまうと)その回りくどさから。読みながら、時として「ちょっと…何を言いたいのか?が分からない、、、」と、困惑する内容でした。

おそらくですが、原作通りと言えるのは、、、

・仲良しになったすみれとの出会いと関係性。

・一緒に暮らしていたすみれが、彼氏と共に暮らし始め、やがて、、、

・真奈が勤める飲食店の店長の話(光石研の楢原さんは原作にピッタリあてはまっていた。)

この辺り(細かく言うともう少しありますが)が、原作とほぼ同じくらい。
それ以外の描写は映画オリジナルと言って良いのでは?と感じました。

それだけに。原作で描かれていた、数多くの枝葉と言える。〝 あっちへ行ったり・こっちへ行ったり 〟と言った【回りくどさ】は。仲が良く好きだった《親友》の真の姿を追いかける事で、信じたくなかった。でもその悲劇を認める事で、新たな一歩を踏み出さなければいけない。自分自身を変えなければいけない…との決断に至るシンプルな話に置き換えていたのは、作品として良かったのではないかと思いました。

そんなオリジナル要素の中では、最近公開された『余命10年』の中にも取り入れられていた《ある記憶メディア》
原作には無いこの記憶メディアの存在によって。原作だと、真奈の視点のみから語られて行く内容だけに。すみれの存在は、どこかヒッチコックの『レベッカ』の如く、【亡霊】に近い雰囲気を読みながら感じてはいたのですが。後半に至り、この記憶メディアを通す事で。真奈の視点から、一気にすみれ視点へと逆転するので。(すみれ亡き後の)今後に対する真奈の「前に進んで行かなければ!」…との決断に至る経過に、大きな影響を与える【存在感】が浮き彫りになっていきます。

この記憶メディアこそは、すみれの真の姿が否応なしに記録されていた。
東京と言う都会に、1人取り残されて生きる真奈にとって、すみれはとても大きな存在だった。
しかし、その記録に残っていたすみれの姿は、自分に対して見せて来たこれまでのすみれの姿では必ずしもなかったのだろう。

「本当のすみれを知りたい!」

それを知らなければ自分は前には進めない。

《女の子から女性へ》

そんな時期へと差し掛かっている時期の〝 ある種の百合っぽさ 〟
自分の事を唯一理解してくれている…と思っていたすみれの突然の不在感。その辛い想いは、今また好きだった(人への接し方の心地良さから得られる安心感で)楢原店長の不在感によって、再び自分の心はざわついてしまう。
そんな心の揺らぎを描写していたのかも知れません。

中川監督作品は、まだ数作品しか観てはいないので、まだ多くを語るには至りませんが。これまで観て来た作品では、何となくですが、〝 水 〟に対する拘りがあるのかなあ〜と言った漠然とした印象があります。
だからこそ【震災】が大きく関わるこの原作に、監督自身の拘りからの映像化だったのかな?…とも。
多くの《詩的な映像》と併せ、印象深い描写はとても多かった。

そしてもう1つの原作との大きな違いが、作品中でのすみれの最期と言える震災を受けた土地での、(脚本の存在する)映画的なドキュメンタリーと(おそらくは)本当のインタビューとの融合。

思えば原作を読んでいて、1番印象に残った箇所がありました。

「なんだっけ、そうだ。ええと……このあいだの震災も、そうじゃないですか。震災を忘れない、風化させない。忘れないって、なにを忘れなければいいんだろう。たくさんの人が死んだこと?地震や津波ってこわいねってこと?電力会社や当時の政権の対応にまずい部分があったねってこと?いつまで忘れなければいいの?悲惨だったってことを忘れなければ、私や誰かにとっていいことがあるの?」

〜略〜

「ここまで津波が来たから次の地震の時にはもっと高くまで逃げなくちゃいけないとか。有名な大きな会社でもこんな不手際があるかもしれないから、チェックする機関を作らなきゃいけないとか。そうゆうのは教訓だよね。教訓は少しずつ社会の仕組みに吸収して、忘れるとか忘れないとかより、当たり前のものにしていかなきゃいけない。だから、忘れない、ってわざわざ力んで言うのはもっともやーっとした……死んだ人はくやしかったよね、被災者がかわいそうだよね、私たちみんな一緒だからね、みたいな感じでしょ。でも、戦争とか体験してないし、私は身内を亡くしたわけでも、家が流されたわけでもないんだから、ほんとはぜんぜん一緒じゃない。だんだん、忘れないって言葉が、すごくうさんくさく思えてきたの」
(原作本152〜153頁より)

それまで読んでいた原作の部分で、ここの描写に来た時に、思わず雰囲気が違う感じに思えた部分でした。
映像化された作品でも、明らかに雰囲気が変わる描写がありました。それこそが、作品中でのすみれの最期と言える震災を受けた土地での、(脚本の存在する)映画的なドキュメンタリーと(おそらくは)本当のインタビューとの融合と感じる場面。

最後は主な出演者達による、震災被害に遭った人々を代弁するかな様な無言のメッセージ。
この描写を作品の最後に取り込み挿入した事で、多くの震災行方不明者に対する、、、

〝 貴方達の事を愛しています。貴方達の事は決して忘れません。 〟

そんな死者を悼む想いに溢れた作品へと昇華していたのでは…と思っています。

だからこそ、その強く願う想いこそは、、、

『やがて海へと届く』…と。

2022年4月8日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン13

オープニングとラストに描写されていたアニメーション。
あくまでも個人的な考えなので、大いなる勘違いの可能性がありますが。この場面に【輪廻転生】の匂いを感じたのですが果たして…

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松井の天井直撃ホームラン

4.0別の日、真奈の勤め先のレストランの店長(光石研)の訃報が入る。 なんだこの物語は? ミステリーかサスペンスなのかな? そのまま物語は続く。

2024年2月3日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

怖い

動画配信で映画「やがて海へと届く」を見た。

劇場公開日:2022年4月1日

2022年製作/126分/PG12/日本
配給:ビターズ・エンド

岸井ゆきの30才
浜辺美波22才
杉野遥亮
中崎敏
鶴田真由
中嶋朋子
新谷ゆづみ
光石研

この映画を見てみようと思ったのは、
偶々、Youtubeで予告編を見たからだ。

浜辺美波のことは「君の膵臓をたべたい」(2017)で知ったのだが、
これはオレが見る2本目の浜辺美波出演映画である。

岸井ゆきのという女優は認知していなかった。
だが、出演作を見てみると、門脇麦主演の「二重生活」(2016)がある。
見た作品なのだが岸井ゆきのを見た印象記憶がない。

おそらく浜辺美波よりも芸歴は長く、出演作も多いと思う。
30才で大学1年生を演じられるのだから比較的童顔である。

真奈(岸井ゆきの)とすみれ(浜辺美波)は大学の新入生歓迎コンパの勧誘の場面で初めて出会う。

酔った真奈をすみれが介抱する。
その日から2人は親友同士になったように思う。

2人の日々の会話劇が続く。

しかし、すみれはいつしか行方不明になったようだ。
詳細は判らない。

わからないまま物語は進む。

すみれのボーイフレンド(杉野遥亮)とすみれの実家を訪れた真奈。
そこにはすみれの遺影と位牌。
すみれは亡くなったのか?

別の日、真奈の勤め先のレストランの店長(光石研)の訃報が入る。

なんだこの物語は?
ミステリーかサスペンスなのかな?

そのまま物語は続く。

真奈は勤め先の同僚のコック(中崎敏)と震災のあった町を訪れた。

どうもすみれは一人旅の旅先で津波に巻き込まれて行方不明になり、
亡くなったと推測されていた。

この場面から先はずっと大事な人を失った真奈のせつない気持ちがラストまで描かれる。

原作の小説と、この映画の制作意図はわからない。

印象的ないい映画だと思った。
岸井ゆきのという女優も今回大きく印象に残った。

満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。

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ドン・チャック

4.0いかに喪失と向き合っていくか

2022年4月30日
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手の温もりが伝わるアニメーションで幕を開ける冒頭から、この映画が一体どのような境地や風景へと我々をいざなおうとしているのか、すぐには想像がつかない。ミステリアスとも浮遊的とも言いうるタッチで浮かび上がるのは、二人のヒロインが人知れぬ思いを抱えながら歩み続ける人生だ。なぜあの時、彼女は声をかけてくれたのか。なぜ彼らは無二の友になれたのか。そして私(主人公)は親友のことを一体どこまで知っていたのかーーー。他人の心を理解するのは難しい。ましてや当人が亡くなると、残された者はこの答えなき問いをずっと抱えることになる。それは時に悲しくて、苦しい。しかし本作は、ずっとその人を思い続ける、忘れない、という一つの決意と寄り添いを優しく、尊く描いていく。若き女優たちの移ろいながら葛藤し続ける存在感に魅了された。そして観賞後はなぜか自分の人生における”もう二度と会えない人々”の思い出がなぜか強く思い出された。

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牛津厚信

4.0ニライカナイ

2022年4月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

一人旅が好きで、5年前に旅に出たまま帰らなかったすみれ。
真奈は大学時代からの親友である彼女の不在を未だに受け入れられずにいた。
彼女を亡き者として扱う周りに違和感を覚えた真奈は、彼女のコミュニケーション手段の一つだったビデオカメラを通して知らなかったすみれの新たな一面を知って行く。

海は
 青くて
 深くて
 恐くて
 美しい
喪失と折り合いの映画としてはドライブ・マイ・カーよりも好きかもしれない。
前評判から正直期待値を下げていたが、想像以上に良かった。
自分は千葉の内陸住みなので、幸い周りでそういった被害はなかったけれど、11年経った今でもあの日のことは鮮明に思い出される。
自分は前情報で知っていたが、できる限りこの情報は知りたくなかった。
配慮の問題があるから難しいとは思うけれど…

何も残らなければ、そこにいたこともいなかったことも証明されない。
ただし、そこにいたという周りの人の中に残る記憶を、記録するものが遺物なんだなと。
それは、この作品におけるビデオカメラだったり音楽プレーヤーだったり。
処分することは簡単だが、それはその人の存在そのものを抹消することにも繋がりかねない。
1秒後生きているとも限らないこの人生、自分の人生は勿論だが、今この瞬間から一つひとつのモノやヒトを大切に生きていこうと思った。

ただ少し残念な点も。
ビデオカメラだからと言って震災の記録ビデオみたいなのは要らなかったように思う。
悪いけどこの映画にそれは求めてない。
楢原さんが最期に「好きな曲をかけなさい」と言ってたんだから、メタリカでもPUFFYでもかけて欲しかった。
助長に感じる部分も多かった。

死人に口なし。
ましてや行方不明の人の本当の想いなど他人には分からない。
ただ、すみれは真奈のすぐ近くにいた気がする。
中川監督の美しい映像と音楽が身に染みて、じんわりと優しさに包まれる良作だった。

✳︎そういえば岸井ゆきのと浜辺美波、名前までこの作品にぴったりで好演が光っていました。

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唐揚げ

4.0幻想的な世界観に魅了される

2022年4月16日
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鑑賞方法:映画館

消えた親友が残した忘れたくない大切な思い出と親友の裏に隠された秘密を描いた物語。
主演・岸井ゆきの×浜辺美波の共演は見応え充分で時間も忘れてスクリーンにグイグイ引き込まれた。
冒頭とクライマックスに差し込まれているアニメーションパートも印象的で発想が素晴らしい。圧倒的な映像美と幻想的な世界観が観るものを魅了する満足度の高い作品。
2022-68

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隣組

4.0残された方々の言葉でもあるかと

2022年4月11日
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最後の ゆきのさんの言葉(台詞)
(残された方々の言葉でもあるかと)
そして
言葉にはなって無いがそれに続くアンサーを促す言葉が脳内で再生され
視界が滲みました…。
そしてそして、
新谷ゆづみ さん演じる伊藤羽純にヤられました!
彼女のシーンだけで一つの物語・映画を感じました。

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ZOE9

4.0思い出すこと忘れること、これからもよろしくね

2022年4月11日
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 アニメパートがとても沁みる。オープニングに登場した台詞「電車は来ないよ」・・・どんな意味があるのかさっぱりわからなかったけど、最後に解明される形です。そして気になる小物“猫のポーチ”。これも終盤に明かされます。

 最近見た浜辺美波はTVドラマ「ドクターホワイト」でしたが、このドラマでは演技が微妙すぎて、テーマ曲「心という名の不可解」のAdoにハマってしまいました。おかげで最初はうるさいだけだと思っていた「うっせぇわ」も好きになりました。

 この作品の音楽がとても良かったことも忘れてはならない。まるで海の底にいるかのような環境音楽と優しいスキャットが全体を彩っているのです。メタリカが好きな店長(光石研)がフレンチの店ではジャズをかける。そしてPUFFYの「これが私の生きる道」とバラエティに富んでますが、それぞれの性格すら表現しているかのようでした。一方で浜辺美波演ずるすみれは「チューニングすること(周波数を合わせる)」ことで色んな人に溶け込むことができるという設定。

 東日本大震災の津波を扱っているにもかかわらず、どこかオブラートに包んだ優しさも感じられた。行方不明のままだと死は受け入れられず、亡き人として扱う母親や元恋人に違和感を感じざるを得ない真奈。線路が水没する幻想的な風景も送る側からすれば堪らないのに、忘れることと記憶に留めるという境目に立つ真奈。答えは明示されないものの、大切な人を失った経験がある者にとってはそれぞれの答えがあるものだ。

 時間軸が曖昧すぎるところが難点といえば難点。2005年の新入生オルグでのいい感じの出会いから2011年の悲劇。それから5年後の真奈の様子。うまくいってもダメになっても、それがあなたの生きる道。などと奥田民生の歌詞を思い出し、再生の道を歩まなければ・・・

 ネットで調べてみたら、アニメ版『君の膵臓を食べたい』で僕の読んでた本が『やがて海へと届く』とあったんですが、本当ですか?

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kossy

4.0W主演女優の存在感

2022年4月10日
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コージィ日本犬

4.0やがて海へと届く

2022年4月9日
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冒頭アニメーションからのスタート

不思議な世界観に引き込まれる。

現実とリンクしているからか、ノンフィクションなの?っと思うようなリアルな描写があったり物語の内容は現実的なのに演じる2人の心情が理解出来てるのか…

もう一度見てみたくなる

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まきまき

4.0キミスイにも通じる、残されたものの思い

2022年4月8日
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本作の原作の帯に「君の膵臓を食べたい」の原作者の住野よるさんがコメントを書かれています
「キミスイ」では家族でも恋人でもない桜良の死を受け止めきれない「僕」が彼女の自宅で涙を流す場面がありました  本作も友人であるすみれの死を、恋人や母親以上に受け止めきれない主人公の涙がありました  短命で亡くなった桜良もすみれも演じたのが浜辺美波さんであり、彼女の生前の笑顔が、「僕」と「真奈」に深い思いを「共病文庫」「ビデオカメラ」を通して残していく
まったく異なる2つの小説ではあるけれど、大切な人の死がもたらすものの大きさを思います
後半バス停ですみれを見送るあの場面が、最期の別れとなるのでしょうが、その最期を予感させるやりとりがあったことを思うと、もう一度観たくなります  中川監督が描いてきた作品の朝倉あきさん、松本穂香さん、衛藤美彩さんとは違う、残されたからこその強さのようなものを岸井ゆきのさんは演じられていたように思いました  浜辺美波さんは今や東宝の大スターではありますが、こういった使われ方をすることは、今後の女優業を重ねていく中でいい経験をされたと思います
(4月7日 TOHOシネマズなんば にて鑑賞)

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chikuhou

4.0「岸井ゆきのの表情、光石研の渋さ」

2022年4月5日
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知的

今年36本目。

岸井ゆきのの表情が凄い。2019年4月の「愛がなんだ」が印象的でしたが今作もいい。後、光石研の渋さ。自分も音楽好きでジャズは聴かないが音楽好きのおじさんは渋さが出ていいなあと。亡くなった人がいても想いは届く、そんな映画だと思います。

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ヨッシー