やがて海へと届くのレビュー・感想・評価
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事前情報入れないで
ただキャストに浜辺美波さんの名前があったので100キロ自家用車走らせて鑑賞しに行きました。が、思いがけずの出会いになりました。
映画後半ですが真奈たちが向かった先の草木の植生に既視感。やはり、でした。陸前高田(たかた)の景色です。東日本大震災のエピソード折り込まれているという事前情報入れてなかったので胸に響きました。
そして震災語り部の方達。お3人さんは実際の地元の方として高校生の女の子役のかたもこちらの方かと思い込んでしまいました。涙がごく自然で。
そしてもちろん岸井ゆきのさん初めキャストの皆さんも。
現状東北地方はTOHOトーホーシネマズ仙台だけですが是非各県でも公開を
いろいろ淡く優しい、ネタバレ厳禁?
主演、岸井ゆきのが沢山見られます。
それだけでも嬉しいです。
初めの方は、浜辺美波と逆の方が良いかな?も思ったけど、岸井ゆきのの方が共感しやすい。とてもよい女優さんです。浜辺美波もとても切ない役どころでした
正直、ポスターとか予告見る感じだと、Lの話なのかと思ったけど、その辺も淡い。ちょっと曖昧。
では、なぜPG12なのか、タイトルの意味。
そっちかーと思ってしまった。
ちょっと心構えができていなかったので、少し困惑。
ただ、映画としてはとても映画らしく。好きな感じです。セリフでは無い、目だけで意思が現れます。
テレビドラマやスマホの小さい画面など、ながら鑑賞では伝わらない。「あっ、そういうことか、、、切ない」と気が付きました。
同じシーンがリピートされるのですが、カメラのアングルによってどちらの表情が見えるか変わります。それで意味を知る感じです。
ポスターにもなっているあのシーンは、とても美しく。2人ともとても綺麗でした。
それと、なぜかアニメで始まり、後半にもアニメパートがあります。これにも意味がある。
最後の15分はなかなか。とても淡く優しいので分かりにくいところもあるけれど、多分、そういうことなのだろうと。切ないですね。
監督の名前を覚えました。過去の作品をいくつか観ていますが、なるほど、この作品と同じ監督かと。これが監督の持ち味なのですね。
マナーの悪い客が1人。
遅れてきて真ん中に座り、最後の良いところで出ていき、直ぐに戻ってきて、眩しいスマホ画面。そのまま耳にあて留守電聞いた?またすぐにいなくなる。
そんなに重要な電話なら、入口の壁の影に立ってればいいのに。そうすれば誰の邪魔をせずにスマホ使えるのにね。
最後の良いところで、台無しだ。
誰しも持っている人間の二面性
「私たちには、世界の片側しか見えてないと思うんだよね。」
岸井ゆきのさんが演じる真奈がある理由で姿を消してしまったすみれ(浜辺美波)のいない世界とどう向き合い、どう成長していくのかを描いた物語。
初めに言っておくとこの映画は"ガワ"だけ見せて情報を与えた上で、解釈は鑑賞者に委ねるタイプのものなので好き嫌いは別れるかもしれないです。私はこの手の行間を読ませて、尚且つ深いテーマを描いた作品は大好きなのでかなり高評価でした。しかし中盤までは細部まで練られた作りなのか、それっぽく見せてるだけなのかが怪しい感じだったのが、ストーリーが進むにつれて「そういう事だったのね…」と感嘆してしまうような作りになっていて、思わず序盤から見直したいと思うほど練られたものになっていました。
冒頭で書いたのはこの作品のキャッチコピーなのですが、これはまさに作品そのものを捉えたもので、それを上手く体現した浜辺美波さんの表現力が圧巻。目を泳がせるシーンや、杉野遥亮さん演じる遠野と話すシーンでの表情の変化は本当に言葉以上の何かを感じました。
人間誰しも親しい人にも見せない面があったり、表で見えている姿がその人の本性とは限らない。作品を通して一貫して描かれるその部分は「青くて痛くて脆い」や「桐島、部活やめるってよ」に近いところがあり、観ているうちに自分の経験に重ねてしまい、どうしても主人公の真奈に感情移入せざるを得ませんでした。
鑑賞してもなお、正直すみれが普段何を考えていたのかは推測の域を出ませんが、真奈にとってすみれはかけがえのない存在だったわけで、失って初めて気づく後悔や、虚無感、喪失感は大事な人と会えなくなった(失った)ことのある人であれば真奈の気持ちには誰しも共感できるはずです。タイトルの「やがて海へと届く」の意味が分かったとき、今までの会えなくなった人達との思い出が蘇ってきて思わず涙してしまいました…。冒頭から始まるWIT STUDIOが紡ぐ美しいアニメーションもどこか幻想的で、でも現実的で、、言葉にできないくらい魅了されましたね。
本当に素晴らしい作品でしたが、観る人によってかなり感じ方が異なる作品だと思いますので、ぜひ多くの方に観ていただき、各々の映画体験をして欲しいと思います。
人の心にも人の死にも明確な答えなんてない
迷っているならば、間違いなく観に行くべき作品であると声を大にして言いたいです。
たしかにこの映画に「明快さ」はないかもしれません。
ただ、大切な人を失うことや、相手が何を思っているかということに対して、そもそも明確な答えなんてあるのでしょうか?
本作は、その「わからなさ」そのものを見つめることに挑戦している気がしました。
そんな映画を見たことがなく、YouTubeの映画解説を2倍速で粗筋だけを追って知った気になっていた自分は、正直度肝を抜かれました。
こういう世界があるんだなと、、、
真奈がすみれを知ろうとして、すみれも真奈を知ろうとする。
全部知りたいと思うけど、そんなことはできないから、必死に想像する。
その想いの連鎖の中で人と人との関係性は結ばれている。
思えばこれまで自分はずっと「正解」を探して生きてきたなと……
見終わった後、しばらく放心してましたが、帰りの電車に揺られる中で、本作で描かれていたのは「答え」ではなく「意志」なのだと気付きました。
見終わってすぐにスッキリはしないかもしれないけど、「答え」よりも大切な何かがたくさん詰まってる映画でした。
自分は映画通でもないし、なにも偉そうに言えないですが、そんな自分の人生観が変わるきっかけを与えてくれたことに感謝です。
ありがとうございました。
上映中にもう一回見に行きたいと思います。
エモーショナルな構成が見事
すみれが遠野と同棲を始める引っ越しの日、岸井ゆきの演じる真奈が目に涙を浮かべるシーンがいいと思った。このときはそれしか考えなかった。
真奈の想いが一気に形になったシーンで実にエモーショナルなのである。
この作品は、過去を回想する形で物語が進み、穴だらけのピースが埋まっていく。そして最後にすみれのパートが入り全てが明らかになる構成は見事。
最後のすみれのパートがくる前までは、すみれとはよくわからない、謎の女性に見えるのだ。
だからこそすみれの視点というのが観ていても抜け落ちる。真奈が主人公というのもあるが、謎の女性すみれのことなど考えないのだ。
最初に書いた真奈が涙を浮かべるシーン、カメラの手前にはすみれがいる。画面には映っていなくともすみれはいる。
観ている私たちが、真奈の涙に真奈の感情を読み取ったならば、同じように見ていたはずのすみれが何も思わないはずはないんだ。
自分の感情の最後の一歩を踏み出せないままちょっとした勘違いからすれ違っていく真奈とすみれ。
真奈の気持ちに気付いたとき、少しだけ手遅れで、それを再びやり直すにはまた時間がいる。その時間を作ろうとした旅先での不幸。
真奈とすみれの溝は、永遠に埋めることができなくなってしまった。時が止まってしまった。
すれ違ったままどうにもできず、残った真奈が真実を知れたのかどうか定かではないところも切ない。
ただ事実を受け入れ前に進むしかない。
親友が旅に出かけたきり戻らない、心の葛藤のお話。 イラストに浮遊す...
詩情にあふれ 心に届く傑作
三回劇場で観ました
味わいはあせることなく、理解も深まりました
稀に見る高い次元で結実した名作と言い切っても良いのでは
発せられた言葉
口にされなかった言葉
海の描写
役者さんはメインの2人が圧巻でしたが
皆さんそれぞれ存在感がしっかりと感じられました
音楽も素晴らしいし
懐かしいパフィを浜辺美波さんが歌うシーンもあってサービスも充実
とにかくすごい純度で丁寧に作り込まれていて、鑑賞中ずっと温もりに包まれます
どのシーンもさり気ない美しさがあるのですが、クライマックスではほんとうに
息を呑むほどの美しいシーンが何度も
最初は分からないな、テンポがゆっくりだな と感じられる人もいるかもしれません
いえいえ、実は行間の味わいが凄まじいので2回3回と観れば、感動はきっと増していくでしょう
自分は、1回目は終映後のトイレで号泣してしまい我ながら驚きました
2回目はスクリーンで何度か泣けました
3回目は、残された謎の部分に辿り着きつつあると思いました
「わたしは光をにぎっている」も大好きな作品ですが、こちらはさらに熟成されていて、邦画史に輝き続ける名作の域に達していると感じます
上映館が少なくなり、寂しいしもったいない(観れば感動間違いなし)と強く思います
こういう映画をこそ、多くのひとが味わえるといいなあ!
実写とアニメーションの活かし方
生命の流転が私たちの生きる社会の日常レベルで描かれていることにおどろいた。震災の日から戻らない友人を想う主人公の旅を通して、観客がたどり着くのは、生命は自然に還り、海を経て、そこかしこに偏在しているという万物を見通す視点だ。そのことを描くためにアニメーションが決定的な役割を果たしている。震災で死んだと思われる友人は主人公にとって決定的な喪失だったはずだが、彼女の残したビデオ映像という記憶を記録する装置と、自然に還り、変化してゆく生命のあり方という二つが主人公の人生を前向きなものにしていく。固定された過去の記録映像を実写、自然に還り変化していく可塑的な生命はアニメーションで表現する。現実を切り取り固定化する実写と、変化するものを描くアニメーション。実写とアニメーションの両方の素晴らしさを最大限に活かしている。記録という点では震災の経験の語りを記録するシーンも示唆に富んでいた。しかし、記録できずに流されていったものもある。それをアニメーションで描いている。中川監督は新世代の作家の中でも本作で一つ抜けた存在になったと思う。
自分の思慮の浅さを痛感しました。
浜辺美波さん、やっぱり綺麗だなぁ。
って感じで見てたら、よく分からなかった。
もう一回見に行ってきまーす。\(^-^)/
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2回目視聴してきました。
作り手の意図が私にどれだけ伝わったのかは
分かりませんが、
忘れることも、忘れない事も、
終わったことにするかしないかも含めて、
自分の中で消化されるのを待つしか無い
気がする。
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時間が出来たので、3回目の視聴。
私にもやっと理解出来た気がする。
3回目めにして、涙が止まらなかった。
感想はテーマがテーマなだけに
控えたいと思います。
ただ、この作品の俳優さんに
岸井ゆきのさんと浜辺美波さんを
キャスティングされた事に感謝します。
有り難う御座いました。
誰にも言わずにそっと抱きしめていたい良作
大学の新入生の時に出会った女子二人をメインにして、大事な人を亡くすことの喪失感を丁寧に描いた作品。
岸井ゆきの主演。
クラブ勧誘でごったがえすキャンパスで、湖谷真奈(岸井ゆきの)はネコ🐱のポーチを拾う。強引な歓遊に戸惑いながらも断れない真奈。そこへ割って入ってきたすみれ(浜辺美波)。
新入生歓迎コンパで真奈は先輩男子からえげつないセクハラとモラハラの洗礼を受ける。すみれが機転を利かせて助け、その日のうちに二人は仲良くなる。
かねてより母親と折り合いの悪いすみれ。雨の夜に突然真奈のところに来て、一年半居候したが、敦(杉野遥亮)と同棲することになって、出て行ったらしい。
卒後、ホテルのレストランのフロアマネージャーとして働いている真奈。京都の木工インテリア製作会社への入社を考えていたが、今の部屋(広いバルコニー付きの木造アパート)を離れたくないので、断念した真奈。優しさに溢れた真奈のインテリアと植栽のセンス。互いに過干渉はしないが、互いを尊重する暮らしにすみれも居心地がとても良かったであろう。
ある日、真奈は敦からすみれの遺品整理の連絡を受ける。
活動的なすみれは3.11の東日本大震災の時に海岸線の駅のホームにいて、被災したらしいのだ。
敦の部屋で猫のポーチを見つける真奈。すみれに介抱してもらったときの青いシュシュを入れて、大事にとっておいたものだった。
「いつの間にかなくなっていたものがあるんです」
敦と真奈の会話。すみれの死をどうしても受け入れたくない真奈の気持ちが痛い。
レストランの店長の楢原(光石研)は店のBGMにこだわりをもっていた。真奈は楢原から信頼されていたが、ある日、楢原から出勤が遅れると連絡を受ける。真奈にBGMの選択を託して、自宅の風呂で首吊り自殺してしまう。すみれに続き、楢原の死に落ち込んでいる真奈にコックの国木田(中崎敏)ば有給を使って気分転換することを勧める。真奈が選んだのは三陸への旅だった。心配し、同行する国木田。訪れた土地の建物のなかで、震災で亡くした家族の思い出を語りそれをビデオカメラで撮影する人々(中嶋朋子、新谷ゆづみら)。
「親友が帰ってこないんです」
伊藤母娘の民宿に泊めてもらい世話になる真奈。
民宿の娘はずみに海岸で祖母から習ったという子守り歌を歌ってもらう。漁に出たきり帰ってこない夫への気持ちを歌った唄だった。
10メートルを越える防潮堤に佇む真奈。
冒頭の水彩画のアニメと対をなす赤いスニーカーを履いたすみれが無人駅にただずむ姿。駅のホームのおばあちゃんも浜辺美波に勝るとも劣らない上品で綺麗な人だった。はずみのおばあちゃんだったのかもしれない。
一晩寝たあとでも、映画の美しいシーンがどんどん沸いて来て止まりませんでした。
真奈を大切にしてくれた人々。
ある日突然いなくなった人々。
不器用ながらも繊細で素朴な真奈を演じた岸井ゆきのにやられました。
幼げで、虚ろで、悲しげで、それでいて強く訴えて来る眼。涙。
すみれのビデオカメラを何度も再生するシーン。
真奈はすみれの目線で確認し、知らなかったすみれの一面を感じたい。
敦は死んだあとでもすみれの秘密を見てはいけないと思うと言う。
大切な人の撮った写真やビデオ映像は捨てられない。
ノマドランドでも父親の撮ったスライドを車の中で時々見る彼女のシーンが辛かったのを思い出しました。
追記
すみれが吐けない真奈に
「噛まないでね」と言って、口に手を入れて吐かせるシーン。
新入りの下戸の後輩がさんざん飲まされた挙げ句、キモち悪い上司に駅のトイレで無理やり口に手を突っ込まれて、吐け吐けと大きな声で攻められて、翌日、もう死にたいと言っていたのを思い出してしまいました。
浜辺美波さんの手だったら、彼もどんなにか幸せだったでしょう。
大切な人を想う気持ち
映画館で、丁寧に観たい作品。出会えてよかった。
この2年で配信が台頭してきましたが、映画館で映画を観ることの素晴らしさを、
この作品の上映を通して実感しました。
監督、役者、全てのスタッフが心を込めて創り上げた映像を大きなスクリーンで堪能できること、
生活音や他者の介入なく作品に没頭できること。
「やがて海へと届く」という作品自体の素晴らしさは言うまでもありませんが、
本作だけでなく、映画、映画館自体の良さを味わわせてくれる一作でした。
作品については、
自己と他者が重なり合って生きているこの世界の中で、
何を大切にしたら良いのかを問い直される感覚がありました。
当たり前に続くと思いがちな日常は、実はそうではない面をはらんでいるし、
直接的な関連のない出来事も、自分に変化を与える可能性を持っている。
先の見えない社会だからこそ、その変化を恐れるのではなく、
実感を軸に、急ぐことなく丁寧に自分に向き合って生きていきたい、と思いました。
このタイミングでこの作品に出会えてよかったです。
ずっと大切に観つづけたいと思いました。
二人の女優さんが超綺麗で胸がいっぱいになる美しい作品
二人の女優さんと海が主役の美しい映画。
絶対に映画館のスクリーンで観るべき作品。
流れる時間も映像も音も映画館のためのもの。
題名にふさわしく海の映像が素晴らしい。
いろんな表情を見せる海。
海は人間を遥かに超えた永遠の存在であり、みな最後は海に帰っていくのだという感じ。
海辺にいい感じで風が吹いてて、浜辺美波さんの髪が海の風に揺れてるのがとても美しい。
初めて観た女優さんだけれど、もう名前がこの映画にぴったり(笑)だし、すごく綺麗で素晴らしい女優さん。いろいろ微妙な表情の変化と今この年頃でしか出せない眩しい輝き。
とにかく本作のいちばんの魅力はなんと言っても主演の二人の女優さん。
岸井ゆきのさんも浜辺美波さんも役になりきって役を生きていて素晴らしい。
二人のツーショットが美しすぎてすごい尊みを感じる。
二人それぞれに想いを語るスタイルの原作小説をベースにしながら、本作では魅力的な俳優さんたちの演技とか、様々な表情を見せる海の情景とか、ビデオカメラがお守りになっているようなすみれのキャラ設定とか、大震災の被災者の方々のインタビューシーンといった映画向けのアレンジも含めて映画ならではの独自の表現が物語の魅力を増していると思った。
なんと言っても原作より主役の二人がイキイキと生きている感じがするのがすごく良い。役への愛を感じるし。
特に作中のビデオカメラとか留守番電話の使い方が印象的。
声とは、きっと写真よりもずっと生々しくその持ち主のことを思い出させてしまうものではないか。
もう絶対に会うことがかなわない人がいて、でもその人の声はビデオや留守番電話に残っていて声が聞けるという状況では、なかなかその人のことを忘れられないし、その人がこの世界にもう存在しないこと自体もなかなか信じられないだろう。
この映画観ながらそんなことを感じた。
本作はこれまでの中川監督のいろんな作品がこだまのように響きながら、更にいろんな新たなチャレンジを重ねてる意欲作だと思う。
量産型の映画に比べるとかなり実験的要素があるし明るい内容の作品ではないので賛否両論分かれると思うけれど、僕は観てて楽しかったしスターシステムの映画を無難にまとめずにけっこう攻めてるのがすごいなと思った。
浜辺美波さんが美しすぎて心を奪われてしまうので彼女とのデートで行くには危険かもしれないけどw、美しくて素晴らしい作品だと思う。
音楽のような映画
過ぎ去った昔の友人に無性に会いたくなる
観終わってすぐ、アニメーションの美しさと、岸井ゆきの演じる真奈の演技に圧倒されて言葉が出なかった。
浜辺美波の周りには、既にあの世に行っているかのような、怖さにも近い透明感が常に漂う。
帰り道にふと、学生時代のサークルの仲間に会いたくなった。
真奈にとってすみれは、(物理的にも)絶対に帰ってこない存在となり、彼女はその事実と向き合った。
初めはその事に感動していたけれど、自分にも(物理的には会えるけど)もう会わなくなってしまった、会うことをやめてしまった恋人や友達がたくさんいる事に気が付いた。
それは悲しい事なのかもしれないけれど、彼ら彼女らがいて、今の私がいる。
真奈のように、大きな暴力に友人を奪われた訳ではないけれど、社会人になって一人でやっているつもりだった自分も、これまで過ごして来た人との時間や、これから
過ごす人との時間という、大きな世界の中に包まれて生きているのだと思い直す。
だから、会ったところで今更何にもならないかもしれないけれど、あの頃の友達とまた時間を過ごしたいと強く思った。
30歳の今、とても大切な作品になりました。
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