「アイデアや思い付きだけを投げ掛けておいて、後はそちらで解釈してくださいという不親切さに取り残される」やがて海へと届く tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アイデアや思い付きだけを投げ掛けておいて、後はそちらで解釈してくださいという不親切さに取り残される
親友を亡くした女性が、深い喪失感から立ち直って行くという映画なのだろうが、結局、何が言いたいのか分からなかった。
ごく個人的な、小さな話なのかと思いきや、途中から震災という大きな話になる展開には、何よりも違和感を覚える。それまで、私小説的に、主人公の心の機微を丁寧に描いていただけに、せっかくのその流れが、ここで転調してしまうのはもったいない。
最初と最後のアニメーションも、視点(焦点?)を変えた同じシーンの繰り返しも、ドキュメンタリー調のインタビューのシーンも、何をやりたいのか、何を訴えたいのかが伝わってこない。猫のポシェットや、ビデオカメラや、青いワンピースやらの小道具も、効果を発揮していないし、伏線にすらなっていない。
二人の女優が、とても良い雰囲気を出しているだけに、この語り口は、とても残念だ。
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