「過ぎ去った昔の友人に無性に会いたくなる」やがて海へと届く ばばろあさんの映画レビュー(感想・評価)
過ぎ去った昔の友人に無性に会いたくなる
観終わってすぐ、アニメーションの美しさと、岸井ゆきの演じる真奈の演技に圧倒されて言葉が出なかった。
浜辺美波の周りには、既にあの世に行っているかのような、怖さにも近い透明感が常に漂う。
帰り道にふと、学生時代のサークルの仲間に会いたくなった。
真奈にとってすみれは、(物理的にも)絶対に帰ってこない存在となり、彼女はその事実と向き合った。
初めはその事に感動していたけれど、自分にも(物理的には会えるけど)もう会わなくなってしまった、会うことをやめてしまった恋人や友達がたくさんいる事に気が付いた。
それは悲しい事なのかもしれないけれど、彼ら彼女らがいて、今の私がいる。
真奈のように、大きな暴力に友人を奪われた訳ではないけれど、社会人になって一人でやっているつもりだった自分も、これまで過ごして来た人との時間や、これから
過ごす人との時間という、大きな世界の中に包まれて生きているのだと思い直す。
だから、会ったところで今更何にもならないかもしれないけれど、あの頃の友達とまた時間を過ごしたいと強く思った。
30歳の今、とても大切な作品になりました。
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