「熱くてハゲしい映画に減点方式は似合わない」BLUE GIANT にげたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
熱くてハゲしい映画に減点方式は似合わない
元々原作の読者で、映画化となりいそいそと映画館に足を運び観た本作。
漫画の作中で「素晴らしい」と描写されていた曲が、映像化されてみると意外と響かず...
なんてのはよくあることですが、この作品は蓋を開けてみれば
「また観たい!」どころか「また聴きに来たい!」と思える音楽映画に仕上がっていました。
音楽が本当に熱い!かっこいい!
実際のライブ会場で音楽に浸っているような視聴体験ができるのは映画館ならでは。
評判いいみたいだし配信されだしたら観るか、では本作の魅力の半分も味わえないかと。
映画ではカットせざるを得なかったであろう原作の前半部分のエピソードを、
自分のすべてを出し切ることをモットーにする主人公の演奏に回想として重ねるなど
構成の巧みさもあり、うまく一本の映画のストーリーに再構築されていました。
原作未読でも問題ない、ただ4巻まで読んでるとより味わい深い、という感じです。
槍玉に挙げられがちな演奏中の3DCGや、挿入される脇役達のエピソードの唐突感など
マイナスな所、気になる所もあるといえばありますが、
その時、その場所、その人の音を奏でるジャズに「正解」はないのでしょうし、
そんな音楽を描いた本作に減点方式はそぐわない気がします。
大の真っ直ぐさに熱くなり、
雪祈の苦悩に胸が苦しくなり、
玉田の意地に涙を誘われ、
JASSの演奏に心打たれる。
それでいいじゃないか!それでこそジャズ!
...などと偉そうに語りましたが、ジャズという音楽ジャンルは全くの素人です。
「これをジャズと思ってもらっちゃ困るよ」と詳しい方にはお叱りを受けるかもしれませんが
私のような門外漢にも鮮烈な「ジャズ」の印象を残してくれた素晴らしい映画でした。