「ヘコむな!ツッパれ!」BLUE GIANT サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
ヘコむな!ツッパれ!
これは、予想外の力作。
評価が高いために急遽鑑賞したのだが、めちゃくちゃいい映画でした。ジャズの素晴らしさ、美しさを丁寧に伝えながら、3人の友情や夢に突き進む強い闘志をしっかり描く。ここまで胸アツな映画とは...今年は映画館で見るべき映画が多いな〜。
山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音という配役が最高に上がる。3人とも、声優力バツグン。声のハリにジャズに対する強い思い、熱量が感じられ、感情移入しまくり。他2人は音楽をやっていく中でぶつかる壁がすごくよく描けていたが、主人公はほぼ無く、そこにはちょっと物足りなさは感じてしまった。でも、キャラクター自体は非常に魅力的でした。
この映画では多くの演奏シーンがあるが、どのシーンも凄まじい迫力で圧巻。あまりの破壊力に、涙腺ダムは崩壊。彼らの想像を絶する音色に何回だって泣けてしまう。音楽とは、こんなにも神秘的なものだったのか。ジャズとは、こんなにも人を動かすものだったのか。「ラ・ラ・ランド」に次ぎ、ものすごい体験をすることが出来ました。これは映画館必須。「トップガン マーヴェリック」と同じくらい、配信では意味が無い作品です。
洗練されたアニメーション技術にも、同時に圧倒される本作。3Dアニメーションにはまだ違和感を感じるものの、漫画では表現しきれない、映像作品である為に出来る演出にこれまた涙が止まらない。特にラストシーンなんかは、鳥肌と涙に襲われ、そんな稀有な体験に自分でも驚いてしまう。これが、自分が、映画界が、求めていた音楽映画だ。
セリフの一つ一つが、観客の心を揺さぶり、胸に突き刺すもので、青春映画としての質も並じゃない。エピソード不足は否めないが、こんなにも胸が熱くなり、踊る作品を見せてくれたことに、鑑賞からしばらくだった今でも興奮が抑えられない。米アカデミー賞に選出されるんじゃないかレベルの技術が詰まっています。
期待しすぎると、ちょっと物足りなさを感じてしまうかもだが、〈体験〉という形で鑑賞して欲しい。これこそ、IMAX上映をするべきであろう。多くの人の目に止まって欲しい、素晴らしい作品でした。是非とも、いや、絶対に劇場でご覧下さい。