「城ヶ崎先輩の顔芸」四畳半タイムマシンブルース uzさんの映画レビュー(感想・評価)
城ヶ崎先輩の顔芸
自分をアニメの沼に引き摺り込んだ作品のひとつ、『四畳半神話大系』。
森見登美彦氏の文体を、見事なまでの映像表現で魅せるのみならず、オリジナル部分にもその雰囲気を引き継ぎ、原作への理解と愛の強さに感動したものです。
今作は『サマータイムマシンブルース』と『四畳半神話大系』の悪魔的融合の果てに生まれた小説の映画化。
原作はもちろん『サマータイムマシンブルース』も映画のみながら視聴済のため、話の筋は分かりきっている。
それなのに、何故にここまで面白いのか!
アニメーションの楽しさに溢れた映像、早口に詰め込まれた台詞の中でも機微に富んだ演技、違和感なくシーンに添う音、メリハリのある色遣いetcetc...
変わらぬ原作愛と映像センスに、何も言うことがない。
占い婆さんが大家さんで出てきたのも、そうきたかと思った。
また、モノクロの中に明石さんの赤いコートが映えるシーンは、初期の中村佑介へのリスペクトにも感じて嬉しくなる。
『四畳半神話大系』を知っているかどうかで、小津の印象が大きく変わるであろう、その塩梅も見事。
あるシーンでの城ヶ崎先輩の顔が今回一番のツボです。
難しい言葉を格式張った言い回しで、その実くだらないことしか言っていない、初期の森見テイストがやはり好きだ。
語りだすとキリがなくなりそうなので、とりあえず最高だったという雑な言葉で締めさせていただきます。
公開があとひと月早ければ、より良い余韻を感じられたであろうことだけが少し残念。
初見でも楽しめる作りにはなっているので、是非そこから両原作まで辿ってみてほしい。
uzさん、共感&コメントありがとうございます。
「単語や言い回しのチョイスがどうしても追いつけない」のはおっしゃるとおりです。文才の差はいかんともしがたいものがあります。といっても、実は原作未読なのですが…😅