「カテゴリーを超えた独自の世界観を持つ作品」LAMB ラム Toruさんの映画レビュー(感想・評価)
カテゴリーを超えた独自の世界観を持つ作品
第74回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」受賞のアイスランド映画ということに惹かれて鑑賞。
日本語のキャッチコピーは、「禁断のネイチャー・スリラー」子羊を我が子として育てるという荒唐無稽な設定ながら、この軽々しいコピーとは程遠い、全編現実味を帯びた描写でストーリーは進む。
アイスランドの荒削りな大自然に囲まれ、人里離れた山あいにポツンと建つ家と羊小屋。そこに住む夫婦。雄大ながら寂寥感のある寒々しい景色と巧みな演出の中、俗世から切り離された夫婦を描いたドラマに没入していく。
そこには、義弟、羊の他に一緒に暮らす牧羊犬や猫が脇役として登場。この脇役たちが、ストーリーを更に盛り上げていく。そして衝撃のラストへ。
アイスランド映画ならではともいえる不思議な空気感は、自身のこれまで見てきたどの映画とも被ることがなく衝撃的。カンヌで問題作と評価されたこの映画には、カテゴリーを超える独自の世界だった。
スリラー、ホラーとは異なる、奇妙で重厚なドラマ。羊好きにとっては、微妙な映画。
コメントする