「怖くて美しいR15指定の童話。」LAMB ラム mamiさんの映画レビュー(感想・評価)
怖くて美しいR15指定の童話。
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怖いと言うよりは不穏、雄大で美しい大自然は孤立した場所としての不安と神秘を感じさせる。ホラーというよりリアルで美しいR15の童話だと思った。
賛否分かれるらしい半人半獣の出てくるラストもわたしはすごく好き。いろんな子ども向けの有名な童話も、リアルに描けばこんな感じで不気味なものなんじゃないかな。本国イタリア製作の「ほんとうのピノッキオ」も美しくも不気味だった。このラムは血も流れるからもっとほんとに怖いけど。
静かで台詞も説明も少なく、変にショッキングにも作らず、何か起こりそうでも最後までは起こらないで淡々と見せる。そして「娘」の見せ方がうまい。わたし、片手以外はすべて「羊」の身体だと思ってたので、あの抱っこされたときのぬるん、とした背中やお尻があまりに異形で忘れられない。「羊」だからしゃべれない、でも可愛らしい声は出す。人間が言ってることはわかる。
ふだんはきっと「わたしはパパやママに愛されてるニンゲン」と思って暮らしてきたんだろうけど、成長してきて、家にいる動物たちの顔を見たり、鏡で自分の顔を見たり、羊の群れの写真等を見て何かを感じ、気づき始める…そこへあの「お迎え」。突拍子もない物語なんだけど、その辺は丁寧に描いていて好感が持てるし、お陰で地に足ついたお話になっている。徐々に可愛くなって可愛がり始める叔父とか、トラクターの中でいろんな思いが溢れて泣いてしまう夫とか。
勝手な想像だけど、マリアはアダちゃんを探しに行きそうな気がする。
パンフ買えばよかったなー
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