劇場公開日 2022年9月23日

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「羊飼い夫婦の『スプライス』かと思ったら『パンズ・ラビリンス』でした」LAMB ラム よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0羊飼い夫婦の『スプライス』かと思ったら『パンズ・ラビリンス』でした

2022年9月25日
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鑑賞方法:映画館

羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアが飼っている一匹の雌羊から産まれたのは羊ではありませんでした、という話。“アダ“と名付けられた少女はすくすくと成長し、という辺りまではヴィンチェンゾ・ナタリ監督の『スプライス』みたいかな程度の期待をしていたのですがそれにしては様子がおかしい。ちょっとしたサスペンスはあるもののすぐに解決してしまうし、途中から物語に加わるイングヴァルの弟ペートゥルが物語をまぜかえすかと思いきや全然そんなこともない。雄大にも程があるアイスランドの牧羊地での淡々とした生活をボーッと眺めていると微かな前振りの後に訪れる唐突な展開にビックリ・・・要するに、これは説明的な描写を一切排除した『パンズ・ラビリンス』。アダはオフェリアなんですね。これはビックリしますわ。

マリアを演じるノオミ・ラパスの存在感が圧倒的ですが、それと拮抗するのが馬、羊、犬、猫といった動物達。彼らの“演技“の重厚さにも呆気に取られます。

とにかくアイスランドの風景が壮絶なので、スクリーンで観るのは大正解でした。

よね