「【ロシアが実効支配する北方領土・国後島の現状を、ロシア人住民達へのインタビューも含めて描いたドキュメンタリー。荒廃した島の状況や、島民の余りの貧しさに愕然とする作品でもある。】」クナシリ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ロシアが実効支配する北方領土・国後島の現状を、ロシア人住民達へのインタビューも含めて描いたドキュメンタリー。荒廃した島の状況や、島民の余りの貧しさに愕然とする作品でもある。】
■映画公開が2021年であるので、取材は2010年代後半であろうか。
ロシアの辺境には行ったことが無いので何とも言えないが、島内の荒涼とした風景や廃屋の多さ、そして誰も片付けようとしない投げ捨てられた廃棄物の数々に驚く。
更には、島民が語る自身の生活の貧しさ(中には、浄化槽がないトイレの家もある。)と、行政が機能しているとは思えない状況である。
対岸の僅かな距離にある北海道の大地から、夕暮れに赤々と人々が暮らす明かりが見えているのに対し、国後島の夜は暗い。
目立った産業はない。老人たちは土を掘り、日本人が使っていた生活用具を掘り出して売っている。
クナシリを支配する立場の市長らしき男は、”日本が先に平和交渉をするべきだが、ここは第二次世界大戦終了時に、我々が得た土地だ。”などと言っているが、彼がいる建物の時計の針は止まっているように見えるのである。
今作を観ると、ロシアの国というのは、自国民に対してもひどい扱いをしている事が良く分かる。老人は言う。”プーチンがこの風景を見たら、なんて言うかね。”
ロシアは国としての体制が、最早老朽化しているのだろうな。
一番思ったのは、”1946年以降に国後島を強制退去させられ、島に戻りたいと願っている人たちが、この映画を観たらさぞや落胆するだろうな・・、”という事である。
コメントする