「原作リスペクトは舞台のビジュアルだけ」バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ スネーク・オーガニックミントさんの映画レビュー(感想・評価)
原作リスペクトは舞台のビジュアルだけ
実に酷い映画でした。
ふんだんにネタバレしながら扱き下ろします。
タイトルの通り、原作を再現しているのは舞台のビジュアルだけです。
登場人物は全員漏れなく改悪されています。
1人ずつ書いていきます。
レオン:見た目は髭面のインド人かアラブ人に。原作では経験が足りないながらも朴訥なところが良かったのに、タダの頼りない新米ダメ警官に。
アンダーソン版のレオンも何故か髭生やされてたなあ。向こうの感覚だと長髪サラサラヘアーの男は男らしくないとかあるのかな?
ジル:見た目は浅黒いクリクリ長髪ヒスパニック系?黒人?原作では芯が強くも優しさと正義感を持つキャラだったが、粗野ではすっぱな商売女みたいに。しかもウェスカーに惚れている。
ウェスカー:原作の特徴的な見た目は一切反映されておらず、タダの気の良さそうな兄ちゃんに。街を出る為のお金欲しさにクリスとジルを裏切る…と言うか見捨てるだけで黒幕ではない。
クリス:見た目は一番再現度が高いけど、見た目も活躍も地味。それもそのはず原作で彼の中核を成す正義感や使命感といったものが一切感じられない。
クレアと共にアンブレラが実験体を用意する為に運営する孤児院で育つ。
クレア:老けてる。おばさん。クリームシチューとか作りそう。原作の母性や慈愛は感じられず、ただの気の強い女に。
子供の頃の体験からアンブレラのやっていることを知っているが、告発もせず何故か今更帰ってくる。
ブラッド:ヴィッカーズとしか呼んでもらえない。オリジナルでのヘタレキャラも、re3での仲間思いな一面も描かれず、ただヘリ操縦して墜落する人。
アイアンズ署長:猟奇的趣味は無くなりタダの性格破綻者に。
リサ・トレヴァー:話通じるんだ…クレアと同じ孤児院で育ち実験体にされて怪物に。人皮マスクは健在だがクレアとは仲良しだったのでリッカーから守ってくれて道案内までしてくれる。そこまで自我と理性保っててそのマスクはどうなの?
リッカー:随分とスリムに。
エイダ:最後だけ登場。ウェスカーに裏で指示を出していた。見た目は如何にも「アメリカ人が考えるアジアンビューティ」なツリ目。黒人のステレオタイプ押し付けはバッシングするけどアジア人はどうでも良いという、あちらのポリコレの欺瞞を体現する存在。
で、これだけ原作をぐちゃぐちゃにしているが、警察署のビジュアルなどは確かに原作再現。
お話は「街からの脱出」という大筋は変えず、上記のキャラを出す為だけに淡々と進む。
アンダーソン版の私物化は大嫌いだが、画作りや展開の緩急などはしっかりしていたのだと要らん気付きを得る始末。
さて、バイオハザードの魅力は何でしょうか?
一つ、魅力的なキャラクター
二つ、見た目も設定も醜悪ながら怖いもの見たさで見てしまうクリーチャー
三つ、探索、謎解きによって武器が増えていく拡張性、成長性
キャラクター。上記の通り良い所がオミットされまくりで同姓同名の別人です。
クリーチャー。ゾンビ、犬、リッカー、リサ、Gしか出てきません。良かった、ハエの遺伝子を組み込まれた受精卵を仕込まれて出産する女性も、脳内物質を抽出するため麻酔無しで手術された若者も居なかったんだ…
探索、謎解きによる武器の拡張。最後まで初期装備です。G相手にハンドガンパンパンしてます。ロケランは何かその辺に落ちてる。
本当にゲーム好きか?この監督。
ところで、映画内設定だとアンブレラは既にラクーンから撤退しているそうです。
キメラ、ハンター、タイラントなど、研究によって生み出されたBOWは登場せず、ウィルスの流出で偶発的に発生したゾンビ、犬、リッカー、そして街に残ってバーキンが研究していたG、設定的に例外のリサしか登場しないというのはこれが原因でしょうか?
そんな所だけ原作設定に拘っても意味無いって…
勘弁してよ…