「マズルフラッシュで 目がチカ チ カす …。 かゆい うま」バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
マズルフラッシュで 目がチカ チ カす …。 かゆい うま
1996年にPlayStation用ゲームとして産声を上げたゾンビ・アクションゲーム、『バイオハザード』を実写映画化。
2002年〜2016年にかけて全6作品作られた、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画とは繋がりを持たないリブート作である。
製薬会社「アンブレラ社」が引き起こしたバイオハザードにより地獄と化した街「ラクーンシティ」を舞台に、街からの脱出を図るクレア&クリス兄妹とその仲間たちによる死闘が描かれる。
各メディアで酷評されまくっている本作。
どれだけ酷い出来なのかヒヤヒヤしながら観賞してみたのですが、意外や意外、普通に楽しかったです!😆
ちなみに私は『バイオハザード』シリーズを一作もプレイしたことがございません!
旧映画シリーズも『1』だけしか観ておらず、それもどんな内容だったかほとんど覚えていない。
登場人物の名前だけはうっすら知っているという、ほとんど真っ新な気持ちで観賞した人間のレビューとなりますので悪しからず。
『バイオハザード』といえばゾンビを銃でバンバン撃ちまくるというイメージがあったのですが、本作はそういったアクション要素よりもむしろホラー要素を強く押し出している、といった印象。
冒頭の孤児院のシーンから、良質なホラー映画的な雰囲気がプンプンしてくる。
雨が降り続く街、ラクーンシティの描き方は抜群に良い。
陰気臭い寂れた地方都市の感じが痛いほど伝わってきたし、髪の抜けた親子や目から血を流すおばさんなど、不気味な要素がたっぷり。
こういうヤバい街描写は大好物なので、もっとたっぷり見せて欲しかった。
開始から1時間くらいはほとんどアクション要素はなく、ちょっと物語の立ち上がりにもたついているな、という印象も受けたのだが、恐怖映画としての盛り上がりを丁寧に積み上げていると思えたので、個人的にはそこまで気にならなかった。
本作の主要キャラクターは全部で4人。
かつてこの街の孤児院で育ったクレア&クリスのレッドフィールド兄妹と、ダメダメな新米警官レオン・S・ケネディ、銃の扱いに長ける婦人警官ジル・バレンタイン。
この4人は原作の人気キャラクターらしい。
ゲームファンからすると、その再現度に不満もあるようなのだが、ゲームに思い入れのない自分にとっては中々バランスの良い4人組だと思った。
本作の良いところはこの4人を始め、誰一人として事態の全容を掴んでいないところ。
内通していた警察署長やウェスカーですら、一体何が起こっているのか把握できておらず、混乱のどん底に突き落とされる。
この登場人物たちの混乱っぷりが観客の心情とリンクするため、とにかく臨場感がある。
「え、これ今どうなってんの?何が起こってますのん?この後どうすれば良いんですのん?」という興味の持続が続き、クライマックスまで退屈しなかった。
主要キャラクター4人がバラバラに行動し始め、最後に全員が一つ所に集結するという展開。
全員ちゃんとした見せ場があり、キャラクターも立っていた。もっとこの4人の戦いを見ていたいと思えたし、4人が集合したところは結構燃えました!
地下列車に乗っての脱出や、ロケットランチャーぶっ放しなど、ゲーム原作ならではの荒唐無稽なバカバカしさも楽しい。
ゾンビ映画なんて、ゾンビがワーッと襲ってきて、キャーキャー言いながら怖がって、最後にボカっとボスを殺せばそれで合格💮
ちゃんと怖くて、ちゃんと楽しけりゃそれで良い。それ以上のものを望んでいないし、この映画はそれをクリアーしていると思いますよ。
ただ、まぁやっぱり手放しでは誉められない問題もある。
はっきり言って、終盤に色々詰め込み過ぎ。
特に問題なのは本作のラスボスであるウィリアム・バーキン博士。
この人のキャラが薄過ぎて、なんか知らんオッさんがモンスターになって襲ってきただけにしか思えなかった。
一応この人クリスの育ての親なんだから、もっとクリスとの関係性なんかを深掘りすべきでしょう。
あれだけ正体を引っ張ったリサ・トレヴァーが、ただのお助けキャラでしか無かったのも残念。別に登場させなくても物語上問題ないやんけ。
人皮マスクという強烈なルックスのキャラクターなのだから、もっと活躍の場面が見たかったし、もっと重要な役割を彼女に与えてあげてほしかった。
孤児院から逃げだした後のクレアがどうやって生き延びたのかもよくわからんし、クリスがなぜ人体実験の対象にならなかったのかもよくわからん。
クリスやクレア、ジルなどラクーンシティで育ったキャラ達のバックボーンが殆ど描かれていないので、正直物語に入り込みづらかった。
あとはちょい画面が暗過ぎ。
何が起こっているのか分かりづらい場面が多々あった。
それと、あのマズルフラッシュの演出は流石にナシでしょう😅
目がチカチカしすぎて頭おかしくなるかと思った…。
前半のホラー展開がGOODだっただけに、後半のゴチャゴチャ感には勿体なさを感じてしまう。
いっそのこと、完全にホラーに振り切って映画化してしまえばもっと評価は上がったかも。
とはいえ、個人的にはこの映画は普通にアリ👍
興行成績的に続編が作られるかどうか微妙なところだと思うけど、『2』があれば観てみたいと思えるほどには楽しめましたよ。
むしろ原作を全く知らない人にオススメかも〜。