「アトラクションに乗った様な映画」バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ 91 takeさんの映画レビュー(感想・評価)
アトラクションに乗った様な映画
見終わって思ったのは、原作1,2を同時にジェットコースターの如く追体験した感覚でとても面白かったです。
この作品はゾンビ映画好き+バイオハザードシリーズファン向けの映画ではありますが全く分からない内容ではないし、モンスターパニックホラーとして新規のお客さんでも楽しめるのではないでしょうか。
今回は製作側にいるポール監督のミラ・ジョボヴィッチ主演に過去6作のバイオハザードを見ている人はストーリーはすんなり入ってくると思います。
グロテスクな描写が苦手な人はちょっと注意です。
ただもちろん賛否両論は否めません。しかし個人的には大満足。
感想ですが、若干ネタバレ含む程度ではありますが参考程度に↓
【映像技術】
B級感が否めない=低予算だったとしても、その中での工夫が映像には出ていると思いました。
バイオハザード1と2の原作に沿ったカット撮影、1998年の架空の町を演出する映像技術、これに関しては個人的にはとても好印象です。
洋館に入ってくるシーンや警察署のエントランスなど若干原作ゲームより狭く感じますが再現レベルが非常に高くサブタイトルにある通り本当にラクーンシティに来た様な感覚になりました。
ゾンビ犬、リッカー、G第2形態などのモンスターの再現もゲームと引けを取らない程良いものになっていたと思います。CGと特殊メイク両方使っていると思うのですがこれがなかなか怖い。
ゾンビに関してはところどころロメロ映画を感じさせるようなゾンビが出てきます。ちょっと古さを感じますが、1998年を丸ごと演出したと考えると悪くないです。むしろ良い。
洋館のゾンビと街のゾンビに統一性が感じられなかったのですが、TウイルスとGウイルスが同時に流出した事、町の水が汚染されている事、感染の度合いの考察からゾンビを使い分けている様でこれはちょっと説明不足かなと思いましたが、この使い分けが逆に段々と町の住人がゾンビ化していく様が強く表現されており、とても怖くて良かったです。
ゾンビの戦闘においては警官だけどこんな化け物たちと戦うのは初めてだよって感じなアクションですがそこがリアルで良かったです。
クリスが途中銃からナイフとライターに切り替えて戦うところは怖すぎてこれぞホラーと思わずにはいられなかった。
明暗の強調、大きな音、叫び声のビックリ要素ってベタなんですけどホラー映画の醍醐味のひとつだと思います。
レオン絡みでギャグかと思わせるシーンがありましたが個人的にはああ言う演出は好きです。とくにレオンが音楽聴いてる最中のシーンはちょっと笑ってしまいました。
【原作と今作のキャラの相違】
キャラクターに賛否両論がかなりあり、得にレオン、ジル、ウェスカーなどにそれが強く出ていますが、原作ゲームの彼らはどこか人間離れしている理想像が強いキャラクター達だったのに対し今回の映画ではより人間味が強まったキャスティング、キャラ設定改変だったと思います。
個人的にはウェスカーはサングラスかけてほしかったと思いしましたが最後にそこは裏切らなかった。むしろ自然なサングラスの必要性にかなり好印象です。ゲーム版ではただかけているだけの印象だったので。
原作ではただただ自分の目的のために他人を犠牲にする男だったのですが、今回はかなり人間味が強く、次回作があるとしたら果たしてどういう立ち位置になるのかかなり気になります。
ジルも原作より男勝りな性格であるものの裏切られたりすると悲しんだり、バカにされている後輩を励ましたりと見た目は違うけどちゃんと本来ジル・バレンタインが持っているものを演じきっていると感じました。白人黒人問題は正直いらないです。誰が演じてもちゃんとジルが演じられているならそれで良い。
レオンに関してかなり賛否が分かれていると思うのですが、これは恐らく原作ゲーム4以降のレオンの印象がかなり強いからだと思います。
しかし、2のレオンは本当に新米警官なんです。これも2の新米臭さを少し誇張しすぎかなとも感じましたが話が進むに連れて新米ながらも市民であるクレアと共に脱出を試みる姿は確かにレオンでした。
あとクリスとクレアは全く見た目も演技も違和感なかった。この二人はベストなキャスティングだったと思います。
今作は見た目を合わすのではなく本来キャラクターがもっていた個性に新しい要素を加え、雰囲気もおさえており、それを演技に出していた点がとても良かったです。しかもキャラの服装も原作と寄せていてもそれを強調させない着こなしはこれはもう見事です。
ブライアン・アイアンズにすら愛着がわきます。この人は海外ドラマゴッサム見てる人ならわかりますが署長役には抜擢です。
ちゃんと俳優、女優の演技や見た目、原作キャラとどこまで合わせてどこを削るかのバランスをよく考えないとここまで調和のとれた演技やキャラクター性は撮れないと思います。
【ストーリーは急ぎ足】
ストーリーは1と2を融合させることによって生じる壁をなんとか切り抜けた感じです。
特に辻褄が合わないところはなかったかと思います。
確かに1時間40分くらいなのでかなりの急ぎ足でウイルスの説明やリサ・トレヴァーの説明なども一切なく、知っている用語が出てきても深くはつっこまず伏線みたいな扱いになっていたり、やはりゲームの内容を知っていないとちょっとキツイかもしれませんが、このレビューで荒れている様な感覚にはならなかったです。
ただあますことなくバイオネタをつっこんでここまで短くまとめたのはかなりすごいと思います。しかしどうしても急ぎ足なのは否めない。
【字幕or吹き替え、どっちで見るべき?】
これは吹き替えよりも字幕で見る事を強くオススメします。
見なくてもわかる人はわかると思いますが、声優さんは全員実力派の人たちですが、キャスティングがよくわからない。レオンの俳優の演技や声質からして何故高い声の梶裕貴さんに無理させるのか。
ジルの沢城みゆきさんは大ファンなので聴いてみたいと思ったけどこれも女優の演技やキャラの設定からしてかなり挑戦的な気がします。
ここだけでもかなり気になったので自分は字幕で見ました。
もともと原作ゲームも英語の吹き替え字幕からスタートしていたので違和感はなかったです。
日本語版はサブスクで配信されたら見ようと思います。
【最後に】
ヨハネス・ロバーツ監督のバイオハザード愛がかなり伝わってきました。
自分がもし好きな原作を使用して自分なりの解釈で映画を撮らせてもらえるならこう撮るとう強い意志、雰囲気、色が映像に強く出ていたのでとても良かったです。
もし次回作を作るなら絶対見に行きたいです。