「【”安住の籠の中を選ぶか、自分の翼を信じて飛翔するか・・”ミュージカル作家ジョナサン・ラーソンがブロードウェイに飛翔する前後を描いた作品。】」tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”安住の籠の中を選ぶか、自分の翼を信じて飛翔するか・・”ミュージカル作家ジョナサン・ラーソンがブロードウェイに飛翔する前後を描いた作品。】
ー ジョン(アンドリュー・ガーフィールド:元々、ビロードのような声の持ち主だが、劇中披露する歌の数々が素晴しい。特にピアノソロ曲。)は、ミュージカル作家の卵。
もうすぐ、30歳になるが、ナカナカ道は開けない。
だが、彼の安アパートには、親友でゲイを公認するマイケル(ロビン・デ・ヘスス)や、美しい彼女のスーザン(アレクサンドラ・シップ)が、彼を支えていた。ー
◆感想
・1990年1月。
ジョンが、ブロードウエイの視聴会が近づく中、焦る気持ちを”tick tick・・・・”という時計の音が絶妙に表現している。
・彼の親友、マイケルは俳優になるという夢を諦め、今ではビジネスで成功している。
電気代も払えないような生活を続けながら、夢を叶えようと奮闘するマイケルを支援する。
ー が、彼がビジネスマンとして成功した姿を見たマイケルは素直に”有難う”と言えず・・。ー
・恋人のスーザンも、新しい土地で新生活を送る事を決める。
ー スーザンは、彼に止めて欲しいし、ジョンも別れたくない・・。芸術を選ぶのか、恋を選ぶのかか・・。ー
・漸く、ブロードウエイの視聴会に臨む、ジョン。
ー この前のシーンの、ジョンが曲が作れない中、プールで泳ぐシーン。プールの底の仕切り線が、何時に間にか、音符になっていく。
曲が下りて来た瞬間の表現として、実に上手い。ー
・視聴会には、ミュージカル作家の大家で、彼の実力を認めるソンドハイムの姿も。
だが、本当に来て貰いたいスーザンの為のリザーブ席は空いたままだ・・。
ー 全ての曲が終わった後の万雷の拍手。曲を聴いていたジョンの脳内には、ボーカルソロを歌うカレッサの姿が、ビルの屋上でジョンに対して歌うスーザンの姿に変わっていて・・。
美しきシーンである。ー
<万雷の拍手を得た視聴会。だが、彼の元には賞賛の声は届くが、講演の話は来ない。女性プロデューサーが言った言葉。
”貴方の”スーパーヴィア”は素晴らしいけれど、時代に合わないのよ。次作の準備をしなさい。”
途方に暮れるジョン。8年もかかって作ったのに・・。
そこに掛かって来たソンドハイムの電話・・。
親友のマイケルがHIVに侵された事実を知った時に、涙ながらに謝るジョン。
彼の30歳の誕生日に、白紙の五線譜のプレゼントを持ってきてくれたスーザン。
ー ジョンの成功は、彼らや一緒にダイナーで働いた友人達会ってのモノである事が、この作品ではキチンと描かれている。ー
今作は、彼の苦闘する姿と、1991年に彼が苦闘した姿をミュージカルにした「tick tick...BOOM」での彼の誇らしげな表情とステージパフォーマンスが交互に描かれる。
人間の善性に溢れた、ミュージカル作品である。>
・NETFLIXオリジナル作品が、戻って来た。
先週は、今までにない視点で撮った西部劇「ザ・バーダー・ゼイ・フォール」
来週は、ベネディクト・カンバーバッチ主演の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
これらの作品を配信前に、劇場で上映してくれるイオンシネマには、感謝しかない。
ラーソンは周囲で支えていてくれる人たちに恵まれていた。というか、才能があっても周りに支えてもらえるような人柄が無ければ成功しないんだなとつくづく思わされました。