マイスモールランドのレビュー・感想・評価
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川和田監督の舞台挨拶付き上映。 監督の話ではクルド人難民は日本に2...
川和田監督の舞台挨拶付き上映。
監督の話ではクルド人難民は日本に2000人ほどいるとのこと。難民問題は日本が抱える大きな課題の一つ。この映画によって現実を知るよい機会となった。
主演の嵐莉菜さんは初主演とは思えない見事な役作り。脇を固める俳優陣も素晴らしかった。監督の今後の作品にも期待したい。
日本にもあった!知られざる難民問題を浮き彫りにした衝撃作!!
「奇跡体験!アンビリバボー」の再現VTRや『日本以外全部沈没』などの河崎実作品等でお馴染み、外タレを多く抱える稲川素子事務所に所属していた際に注目を集めた嵐莉菜。
その後、事務所を移籍し、モデルとしても活躍していたが、ついに映画初出演を果たすことに。『日本以外全部沈没』のようなネタ映画で主演を務めたデルチャ・ミハエラ・ガブリエラとはまた少し違っていて、外タレ出身としては、かなり異例の出世ではないだろうか。
そんなことは置いといて、今作は日本の闇を描いた、かなり重圧な物語となっている。
埼玉には、実際にクルド人が多く住んでおり、そこにはコミニティも多く存在している。このクルドとは、かつてあった国だが戦争によって失われしまった国だ(劇中でも説明される)。今のウクライナ軍事侵攻と通じる部分もあり、また多くの戦争難民が出てしまっている現状がある。
国で地獄を味わった人たちが、移住先でも地獄を味わうというのは、あってはならないことだ。しかも世界的には安全な国として、外国人を受け入れる国として、寛容な姿勢をみせている日本で、そんなことが起きているとは信じがたい部分もあるが、近年、その日本の闇が浮き彫りになってきている。
記憶に新しいのは、2021年3月6日に、名古屋入国管理局の施設で、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなったことだ。どういった経緯で不法滞在扱いとなり、収容後もどう扱われていたのかなど、はっきりとした情報が開示されていない。
それに加え、茨城県牛久市にある出入国在留管理庁入国者収容所東日本入国管理センターの実態に迫った、ドキュメンタリー映画『牛久』(2021)も話題となった。
日本の難民に対する態度が意図的に行われているような、悪意があるとは言えないが、制度がガタガタの状態で放置されてるというのも罪であって、先日橋本徹が報道番組で「日本はウクライナの難民もどんどん受け入れればいい」と、おそらく正義感から言っていたのだろうが、正直言って、こんな管理が行き届いていない日本に受け入れたところで二次被害を及ぼすだけではないだろうか…….。とも思わせる衝撃の事実が自然に描かれている。
嵐莉菜演じるサーリャは、幼い頃から日本で育っており、ほぼ日本人として生活しているが、外見は外国人として見られてしまう。「外国人だから綺麗」みたいな意味で多用される、日本人が良かれと思って無意識に発している外国人びいき、外国人差別(外国人という表現事態がいけないのかもしれない)が、逆に疎外感を感じさせてしまう。
それも当然な話で、自分は日本人だと思っているし、ルーツといわれても前の世代の話。若い世代にとって実感などほとんどない。さらにその弟、妹ともなればなおさらだ。ちなみに自分には故郷がない、国がないという空白感は、ジャスティン・チョンが主演・監督・脚本を務めた『ブルー・バイユー』でも描かれていた。
サーリャは疎外感を感じながらも、自分なりに心の中で処理していたが、それを突き詰められるような事態に発展していくことから、日常は一気に崩れ去ってしまう。
今まで承認されていた難民申請が突如無効になり、路頭迷うことになったサーリャたち家族。埼玉から出ることができない、仕事をすることも許されないといった理不尽すぎるルールから、生活に困窮していく様子がじわじわと描かれていく。
裁判で異議を申し出ることも可能だが、それには多大な労力と時間が必要となる。難民の人々が、数か月働けないとなると、生きていくこともままならない。そこで少しでも働いてしまうと、不法行為とされて収監されてしまうのだ。
このように、「不法滞在」と言っても、犯罪に関わっているとは限らず、日本のあやふやでガダガタな制度によって「不法」とされた人々もいることを知ってもらいたい。
日本人として、 これが現状なんだと受け入れなければならない日本の暗部が見えてくるのは、観ていて非常に心苦しい。
嵐莉菜自身、幼い頃から日本で育っているのに外国人タレントとして扱われてきた経験や日常で感じることが役にそのまま反映されており、演技ではないリアルさを醸しだしている。
監督の川和田恵真もイギリスとのハーフであり、その境遇を理解しているからこそ描き出せる部分も多かったのだろう。さらにサーリャの父、妹、弟を演じているアラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデーは、嵐莉菜の実際の家族だ。
役名こそ違うものの、演じているのは自分自身でもある。特に幼いリオンにとっては、これが映画なのか現実なのかの区別がはっきりつく年齢ではないため、父親に起きる悲劇を知ったとき、動揺を隠せなかったようだ。
これは演技だから現実ではないが、現実に苦しんでいる難民の人たちが日本にはいるということを理解しなければならない……。
県境の南、荒川の西
つらい映画である。
出てくる日本人が皆浅薄で、理不尽で、非道に見える(一人を除いて)。難民ひいては移民問題は、日本のみならず世界的な課題であり、島国の日本よりもヨーロッパやアメリカの方が深刻だろう。ほかの国がもっと直接的で苛烈な反応をしているのに比べて、日本は真綿で首を絞めるようなやり方でじわじわ追い詰めていくというか…。
この映画で描かれたような個別のケースに着目すれば、在留資格を剥奪して就労を禁じ移動の自由を制限するなどというのは、義憤に駆られるしかないが、国家は大局をかざして建前を貫こうとするのだろう。最近の北欧2カ国のNATO加盟をトルコが頑なに渋った件などもこのへんの事情が影を落としている。
映画を見ている間中ずっと不安だった。どう考えても、日本の現況からすればハッピーエンドになるとは思えなかったから。案の定主人公は強い意思を示して終わるものの、収入の道が閉ざされた未来は暗澹たるものだ。
主人公の家族役が本当の家族というのは、あとで知って驚いた。主役の女の子は好演。相手役の少年が描くジャクソン・ポロック風の絵はナゾだ。妙に禁欲的で、時折公共広告機構っぽい空気が漂うのが少し気になった。
“わたしの”スモールランド
主人公は日本に暮らすクルド人の高校生、サーリャ。
彼女は、母国での政治活動に対し弾圧を受けていたクルド人の父親に連れられて日本に来た。
クルド人は、トルコを中心に何ヶ国かに居住し、“クルド人国家”というものを持たない。
まだ幼いサーリャの弟が学校になじめず、サーリャと父親は、弟の担任から呼び出しを受けた。その帰り道、父は幼い息子に、「俺たちの国はここにある」と、力強く自分の胸を叩いて見せる。
国はないが、自分のスモールランドは心の中に確かにある、と父親は言うのだ。
サーリャの家ではクルドの習慣を守り、食事にはお祈りを欠かさない。周囲にはクルド人のコミュニティがあり、彼らは同じ仕事に就き、休日には集まっていっしょに食事をする。
だが、生まれた土地の記憶も曖昧で、幼少期から日本で育ったサーリャは、父親とは違う思いを持っている。
このあたりの主人公の心情を表す脚本が巧い。
例えば、「ワールドカップ で日本を応援したかったけど、そう言ってはいけない気がした」、というサーリャのセリフは、子どもながらに友人たちの中での彼女の微妙な立場、複雑な心情を表していて秀逸。
ドキュメンタリーで事実をきちんと説明されるよりも、観る側の想像力を刺激し、共感が引き出される。
そう、サーリャには日本での生活のほうが当たり前になっている。父親には、ほとんどクルド人同士の付き合いしかないが、サーリャには同世代の日本人の友だちやボーイフレンドとの交流があり、むしろ、クルド人との付き合いに違和感を覚えることも多い。
そして彼女は、将来は小学校の先生になりたいと思っている。
そう、サーリャにとっての“スモールランド”は、むしろ、日本での暮らしや身の回りにある日常なのだ。
だが、そんな決して派手でもなく、どこにでもいる高校生の“スモールランド”は、突然乱される。
一家の難民申請が却下され在留ビザがなくなってしまったのだ(つまり不法滞在となる)。
ビザのないサーリャは大学の推薦を受けられなくなり、将来の夢を断たれてしまう。
ビザがなければ就労は認められない。サーリャがバイトを続けられなくなりばかりか、父親は仕事をしていたことが法に触れ、入管に収監されてしまう。
家族の中で、感覚の違いが表れる場面がある。
家族4人でラーメンを食べるシーン。
妹がラーメンをすすって食べていると、父親が「音を立てて食べるな」と注意する。ご存じの通り、日本人はラーメンや蕎麦うどんを、すすって食べる。
妹と弟は「すすって食べる派」だが、その場はサーリャがあいだに入って収めた。
だが、映画の終盤、収監された父親にサーリャが面会に行くシーン。
「親が入管法に従って帰国すれば、子どもたちには難民申請が認められる」という判例を知った父親は、逮捕や迫害を覚悟して、ひとりだけ母国に戻ろうとしていた。
父親は、「ラーメンは好きなように食べなさい」と告げる。そして、サーリャが使っていた自転車の置き場を教える。
サーリャは自転車に乗ってバイトやボーイフレンドとのデートに行っていた。サーリャにとって自転車は、自由の象徴だった。
父親は自分を身代わりの心に、サーリャの“スモールランド”を守ろうとしたのだ。
国や制度は、人びとが大切にしている“スモールランド”を奪っていいのか?
そして、その国は、僕が暮らす国なのだという現実が苦しい。
お父さんは宇宙人か?胸を張ってクルド人って言えばいい。
クルドから逃げてきたサーリャの一家。幼いころに日本にやってきた彼女は、クルドの文化も知っていれば日本の生活にも馴染んでいる。家族は、優しく懐の深い父と、日本しか知らない妹と弟。その家族に突き付けられた、在留カードが無効、という試練。展開はとてつもなくシリアスだけど、けしてダークサイドに落ちないのは、サーリャ自身の人間性だろう。そしてそう育てた父だろう。
祖国を追われ日本にも居場所が見つからぬ、気の毒な彼ら。でも、日本にやって来たクルド人がすべて真っ当な善人とは描いていないあたりがリアル。出てくる日本人も、もちろん親切な人もいるが、大抵は親切なようでいて、薄っぺらいし、手を貸さなし、付け込むような人たち。自分もそうならないように、せめてこの映画を見た人だけでも、もし目の前にサーリャたちのような人が現れたら、自分のできる小さなことから、手を差しのべられるといいと自戒をこめる。
切実な現状は、最後の最後までこの家族を苦しめて、選び難い選択を強いる。最後の父娘の会話は、できればクルドの言葉がよかったと思うけど。
サーリャの見つめる川の向こうの東京はまるで異国で、川は国境のようだった。
まだまだ彼女を待ち受ける困難は、続くのか。それがいま日本にいる彼らの現実。だけど、日本はあなたたちが求めるほど豊かではないんだよなあ。それも歯がゆい。
知らないという罪
かわいそうという感じで終わらせてはいけない
日本の今の映画…タイトルの輪郭が示す彼女の小さな世界の果てに
出された提示にいくつ答えを出せるだろうか。現実を問いただす訳でも、希望が見つかる訳でもない。ただ、現実を静かに受け止める。これは紛れもない、日本の映画だ。
入管の問題。実態が明らかになり始めた時から聞くようになったこの言葉。しかし、それよりもずっと前から、彼らの日常に在る話だったことは容易に想像がつく。そんな当事者と日本人の視点を組み込みながら、丁寧に綴った良作がここに。創作物としての明度を落とし、淡々と起きている“今”を向き合っていく。
本作は是枝裕和監督率いる「分福」の気鋭、川和田恵真監督の商業デビュー作品。静かに、静かに見守っていく。就労ビザの問題だけでなく、そこに関わる人たちの姿と、無力な現実。そして、日本にもはびこる今を抽出。複雑性を大切にする是枝監督イズムを感じつつ、エンドロールが終わった先、我々の感じたモノまでを繋げようと試みている。単純な善悪ではない、変化の様々な可能性を描いている。それこそが、映画の持つエネルギーだろう。
主演は嵐莉菜さん。5つのルーツを持った多感な18歳は、きっとこれまでも色々なモノを咀嚼し、見えている世界を問い続けてきたのだろう。純たる人には見えぬ世界を見て、我々に提示をしてくれた、素晴らしき女優さんだ。また、クルド人をよく分かっていない視点を優しく導いてくれた奥平大兼さんも見事。駆り立てられる想いと対比するような無力さを感じるし、その中で力になれることは何かを考えさせてれる。一緒に迷い、答えなき問いのハードルを下げてくれた彼に頼りがいも覚えた。
不思議なもので、不平等が生じている現代の難民申請問題。ミャンマーのサッカー選手、ウクライナの方は受け入れ、その他の国の方には事務的な対応をしているように感じる。無知が故の主観だ。しかし、それはきっと、日本国民も含め異国の実態を知らないからなのではないか。この作品が、解消の劇薬になるとは思わない。だが、考えることで少しでも良い方向に進めるのではないかと思う。全ての人に、光あれ。
このテーマ、にもかかわらず清々しさも感じた。力量のすごい、不思議な魅力を感じる映画。
正直、、、ちょっと覚悟して、、観に行った。
それが、、、
とても、重くて暗くて、タイヘンな、って感じになりそうなものが、、、
見事にそうはならずに、
いろんな立場の人たちのリアルを汲み入れて観る側に差し出してくれる。
当たり前のように海外の人たちとツナガル今の時代。
観て学ぶ、気付く、、考える。
そんなとても大事な、貴重な機会をプレゼントしてくれる映画。
役者さんたちも素晴らしい!。引き出した監督も素晴らしい!。これから益々楽しみ!。
音楽も素敵だった♪。音楽にも『力』を入れてるって感じた。。。
難しいーテーマ、な筈なのに、
非常に辛い現実も描かれているのに、、
救いがある。。。希望はあるって感じた、とても不思議な映画。
すごい監督さんがいるんだ!と嬉しくなった。
すごく、もどかしい。
難民問題には詳しくないので率直に、この映画を通して、二つの相反する感想を持った。
以前、ドキュメンタリー番組で、日本の難民認定は厳しいというのを観たことがある。
さらにトルコとの関係上、クルド人は難民申請が通らないそうだか、それでも日本に来るのは何故だろう。アメリカは難民指定しているらしいが。
ステレオタイプだけど難民って、陸続きの所か、ボート的なもので逃げてくるイメージ。だから弁護士などいろいろ支援者が絡んでいて飛行機で来る難民?と、ピンとこない。
本人たちは命からがらなのだろうけれど。
平泉成さんは、ソフトに演じていたけどテレビで観る限り、難民支援以外でも、人権派みたいな弁護士は、やたら攻撃的な印象を受ける。
しかし自分たちではどうすることも出来ない未成年者を残して、強制送還というのも、いかがなものかとも思う。
在留資格のために結婚という手段を取ろうにも、聡太くんはまだ結婚できないし。
お父さんが帰国する代わりに、子供達にビザを発給するという謎制度にはハァ⁉︎となったが、実際にはどうしてるんだろう。
どんなに訴えかけても、在留カードに穴開けた職員のような対応なのだろうな。激昂され、しばらく黙った後、何事もなかったかのような事務的対応は、若干怖い。
とはいえ、あの職員も悪いわけではない。
なんだか誰も悪くないというか、明確な悪者がいないのに、どうにもならないもどかしさを感じた。
配信になってからでもいいから、見ておいた方がいい
⭐️の付け方は人それぞれと思いますが、私は自分以外の人が見てた方が良いかでつけている。作品として面白かったものは他にもあるけど、本作は見ていくべき作品です。
この問題は、お金は集まらず、視聴率も取れず、選挙の争点にもなりません。人権のピットホールです。誰かこれを見た人が、たまたま変革を起こせる立場になったときに、活躍して改善していくしかありません。直ぐには解決できないかもしれないけど、日本に住む多くの人が見ておくべきじゃ無いかしら。お辞儀と挨拶の順番を習うより、この映画を見た方が道徳の授業として適当ですよ。
では、映画として良いか?辛い話なのだけど、誰も激怒しないし、号泣もしないので、セリフでは感情を伝えられないので、実は演技が難しいのだと思いますが。嵐さんのお家のご家族の皆さんは、中学生日記のような演技になっていますが、帰ってそこが生々しいです(中学生日記って何故だか脳裏にこべり付くでしょ。もちろんほめてます。)。
サヘルさんをはじめ『外国人』の出演者の皆さんもそれぞれ、色々な問題を抱えて生活してると思います。それを想像すると、何だか悲しくなります。何とか日本が嫌いにならなければいいのですが。
スピンオフとして、妹さんや弟さんが主演のドラマも見てみたいです。
日本の移民政策はあまりにも不条理で驚いた
かつての日本は単一国民で24時間モーレツに働き国威発揚してきた。今のグローバルな世界では人は国境を意識せず移動している。多くのクルド人はイラン、イラクなどの国で生まれ独立を夢見るがためそれらの国で迫害され他国へ逃げている。日本の親戚、友人を頼って家族を連れて補助を求める難民被害者。日本が難民申請を認めない国家である事は今までは治安面から必要かと思っていた。しかし、人生はあまりにも不条理。難民申請認められないと国籍のない人として、働けない、新荒川大橋も渡れない、恋愛も進学も出来ない、あまりにも不条理。私たちは日本人はノホホンと日本で暮らしていていいのか?このままでは老人しか残らない過疎の国になるのは必須。この状況を救ってくれるのは若い移民の人達ではないか。
後半ほぼ泣いてました
人種差別の作品って一杯有るが…⁈
テーマとしては分かる
解決しない結末が問題だ
同じ人間なのに不条理、しかし国という単位だからこそ成り立つ世界。地球は一つ、石は地球のもの。
深い内容で涙を誘う部分も多かったが、余りにも道徳映画すぎる。分かりやすい悪役、悪友を出して主人公を奔狼するだけ。彼氏もあんなに心のきれいな人間はいるのか?
ラストが解決しなく、主人公の心の決心で終わるなら、もう少し主人公を聖人君子にしなくても良かったのでは。
ラストの何も解決していない結末は、この難民問題の核心をついているのだと思う。
ちょこちょこ出てくる先生、おばあさん、パパ活男などはかなり良かった。
すべてにあっぱれ映画。
翔んで埼玉リアル版
川口市在住の人間として地元がロケ地ということで思わずチェックリスト入り。
川口と言えばクルド人以外にも外国人が目立つ土地柄であり、これを機に外国の文化や諸々の問題を勉強しておきたい。
いざ、MOVIX川口へ。
難民として日本で苦しい生活を余儀なくされているクルド人がテーマの作品。
文化や法律と言った様々な困難に直面するクルド人を知ることで問題の真相に迫ることができるのではと期待していた。
作品としては印象通りやはり重苦しい雰囲気で、所々笑いを誘う小ネタがあるもののシリアスな展開である。
しかし肝心のストーリーは主人公である長女の恋愛がメインであり、あまり民族問題に踏み込んだものではなかった。
コインランドリーのマナーが悪いとか。
ラーメン音を立ててすするかすすらないかとか。
隣のトトロみたいに幼い弟が行方不明になったりとか。
別にクルド人じゃなくてもいいエピソードばかり。
生活が苦しい日本人の女の子でも成り立つよなぁと。
いい話だとは思ったがどこかテーマとのズレが否めない。
非常にもやもやとした気分でエンドロールをぼんやり眺めていると…
フィクションかぁ…
なぜ避難先に日本を選んで今の境遇に追い込まれているのか、という肝心の部分が全く見えない。受け入れた政治家が悪いのか、支援者はどこに行ったのか、ただビザが切れたので帰って下さいでは困るのは当たり前である。
そういえば何故難民申請が取り下げられたのか、という理由も説明がなく謎のまま。
日本で生活を続けていたとしても肝心の問題は解決できないのだが。
クルドに誇りを持っていて今でも自分の国を想うのであれば、ただ目先の生活に縛られているだけでは何も解決しないと思う。
こと日本については外国の紛争について積極的に首を突っ込んで解決しようと考える人は皆無に等しくまさに触らぬ神に祟り無し。事なかれ主義である。
単純に帰化申請して下さい、ちゃんと納税して下さい、嫌なら出ていって下さいで終わってしまう。
そもそも難民という立場でありながら子供を3人も産んで生活が成り立つわけがないし、日本人ですら現代では結婚すらできない層が増えつつある。
生活が苦しいにも関わらずお金になるかわからないようなアーティスト指向の男と付き合っても地雷にしかならない訳で、切実さが全く伝わってこない。
まさにスモールランドというか、抱えている問題に対してあまりにも世間が狭すぎる。
果たして作り手はクルド人問題に対してどれだけの興味があるのだろうか。
と我に返ったところで「バンダイナムコ」のクレジット…
ああ…やっぱりなと。
まあバンナムが関わっているならそれこそアニメにしてアイマスのキャラにクルド人として登場させたほうがまだウケたんじゃないでしょうか。
生活苦で堕ちていくアイドルなら同人誌でも人気が出るでしょう。
正直お花畑でした。
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