「翔んで埼玉リアル版」マイスモールランド みりぽんさんの映画レビュー(感想・評価)
翔んで埼玉リアル版
川口市在住の人間として地元がロケ地ということで思わずチェックリスト入り。
川口と言えばクルド人以外にも外国人が目立つ土地柄であり、これを機に外国の文化や諸々の問題を勉強しておきたい。
いざ、MOVIX川口へ。
難民として日本で苦しい生活を余儀なくされているクルド人がテーマの作品。
文化や法律と言った様々な困難に直面するクルド人を知ることで問題の真相に迫ることができるのではと期待していた。
作品としては印象通りやはり重苦しい雰囲気で、所々笑いを誘う小ネタがあるもののシリアスな展開である。
しかし肝心のストーリーは主人公である長女の恋愛がメインであり、あまり民族問題に踏み込んだものではなかった。
コインランドリーのマナーが悪いとか。
ラーメン音を立ててすするかすすらないかとか。
隣のトトロみたいに幼い弟が行方不明になったりとか。
別にクルド人じゃなくてもいいエピソードばかり。
生活が苦しい日本人の女の子でも成り立つよなぁと。
いい話だとは思ったがどこかテーマとのズレが否めない。
非常にもやもやとした気分でエンドロールをぼんやり眺めていると…
フィクションかぁ…
なぜ避難先に日本を選んで今の境遇に追い込まれているのか、という肝心の部分が全く見えない。受け入れた政治家が悪いのか、支援者はどこに行ったのか、ただビザが切れたので帰って下さいでは困るのは当たり前である。
そういえば何故難民申請が取り下げられたのか、という理由も説明がなく謎のまま。
日本で生活を続けていたとしても肝心の問題は解決できないのだが。
クルドに誇りを持っていて今でも自分の国を想うのであれば、ただ目先の生活に縛られているだけでは何も解決しないと思う。
こと日本については外国の紛争について積極的に首を突っ込んで解決しようと考える人は皆無に等しくまさに触らぬ神に祟り無し。事なかれ主義である。
単純に帰化申請して下さい、ちゃんと納税して下さい、嫌なら出ていって下さいで終わってしまう。
そもそも難民という立場でありながら子供を3人も産んで生活が成り立つわけがないし、日本人ですら現代では結婚すらできない層が増えつつある。
生活が苦しいにも関わらずお金になるかわからないようなアーティスト指向の男と付き合っても地雷にしかならない訳で、切実さが全く伝わってこない。
まさにスモールランドというか、抱えている問題に対してあまりにも世間が狭すぎる。
果たして作り手はクルド人問題に対してどれだけの興味があるのだろうか。
と我に返ったところで「バンダイナムコ」のクレジット…
ああ…やっぱりなと。
まあバンナムが関わっているならそれこそアニメにしてアイマスのキャラにクルド人として登場させたほうがまだウケたんじゃないでしょうか。
生活苦で堕ちていくアイドルなら同人誌でも人気が出るでしょう。
正直お花畑でした。