「昔の映画の修復」オマージュ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
昔の映画の修復
落ち目の女性映画監督ジワン、家庭との両立も難しく、夫や息子からも文句を言われ放題、お金にも困った矢先、妙な仕事の話が舞い込んだ。
半世紀以上前の韓国の女性監督、ホン・ジェウォンの遺作「女判事」のフィルムが見つかったが音声が消えている個所がありアフレコで直して欲しい、予算は1千万ウォン(105万円)。
作業にかかるとカットされたシーンがあることも分かる。ジワンはホンの娘を尋ね台本を探し、当時の生き残りの俳優や編集者を尋ねます、当時は女性蔑視真っ盛り、辛い思い出しか聞かされません、どうにか見つけた古い映画館でフィルムを探す。謎解きミステリー調は魅力ですがテンポが今一でかったるい。テーマは女性のかかえる諸問題の方なんでしょう。
そんな最中ジワンは子宮筋腫にかかり倒れました。
後半になって映画は修復、カットされた部分は女性が浜辺で煙草を吸うシーン、当時の検閲でカットされたそうです。
タイトル「オマージュ」とは、劇中のジワン監督のモデルでもある本作の脚本・監督シン・スウォンさんの思い、パイオニア的女流監督ホン・ジェウォンさんの作品へのリスペクトを込めているのでしょう。
(脱線、「女判事」、私は未観ですが調べてみました)
韓国初の女性監督は、パク・ナモク(1923~2017)、劇中でも娘を背負って現場に立つ写真が出て来ましたね、2番目は本作のモデルにもなっているホン・ウノン(1922~1999)、劇中ではホン・ジェウォンという名に変えられているが、本作の中心となる「女判事」は1962年に作られた実在の韓国映画だそうです。この作品は、女性判事が夫に毒を盛られた当時の実際の事件を題材に、判事になった女性が劣等感を抱く夫や姑との葛藤を乗り越えていく様を描いています。男だらけの法曹界における女性判事という設定は、男だらけの映画界におけるホン・ウノン自身の境遇が反映されているのでしょう。