「今度は韓国から届いた映画愛の物語。」オマージュ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
今度は韓国から届いた映画愛の物語。
①最近発表された最新の調査では、世界20数ヵ国の中で女性の管理職・議員の数では日本はドベから二番目でドベは韓国だった。
②儒教の影響が強い国はやはり男尊女卑というか女性は家にいろ、という考えがなかなか抜けないのだな。日本も安土桃山時代まではそこまで酷くなかったのに、徳川幕府が江戸時代で朱子学なんてのを統治思想の中心においてしまったので現代に至るまでこの有り様。
韓国も儒教はもともと(というか正確には新羅が唐の力を借りて朝鮮半島を統一した後で、特に属国にされた明代・清代)からだろうけど、本家は共産主義を統治思想にした中華人民共和国になってから完全に男女平等社会になったのは皮肉な話。
③『幽霊人間』なんて“題名からして客が入らんやろ”という映画を最後に監督が出来なくなる瀬戸際に立たされている中年女性のヒロイン。
“女は夢なんか追いかけるな。夫と子供のために家にいろ。”と思いきり封建的なことを言われ、年齢的にも身体に不調をきたしている。その中で依頼された1960年代の女性監督の最後の作品の後半の声入れを行い、またその失われた部分のフィルムを捜すうちに、現代より更に男尊女卑が酷かった時代で苦しみながらも夢を追いかけていた女性たちの人生を追体験することで、もう一度夢に向かって歩き出す姿を映画ならではの手法も交えて描き出して行く。
④1960年代の韓国映画史に中の女性監督の姿を描く映画かと思いきや、映画賛歌+“女性だって夢を持って良いじゃない”という話になっているのに心が暖かくなる。
⑤然し、全く互いに関連がなく製作された筈の、“映画館と光”“光とフィルム”“フィルムと編集”を描いた『ザ・フェイブルマンズ』(アメリカ)『エンパイア・オブ・ライト』(イギリス)、そして本作『オマージュ』(韓国)が2023年のほぼ同じ時期に日本で公開されるのも一つの映画の奇跡?