モスル あるSWAT部隊の戦いのレビュー・感想・評価
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若者の無宗教に平和の可能性がある
ジャーセム隊長はイスラム国のことを「ダーイッシュ」と呼ぶ。そして蛇蝎のごとく忌み嫌う。その理由こそが本作品のモチーフであり、隊員たちが隊長に従う動機でもある。
街が戦場になるとはこういうことかと実感した。それほど市街戦は恐怖とリアリティに満ちあふれている。民間人がまだ住んでいるモスルの街は、爆撃する訳にもいかないから、人海戦術で兵士がダーイッシュと対峙するしかない。誰がダーイッシュかなどと見極めているヒマはなく、動くものがあればとりあえず撃つ。撃たれたら弾丸の来る方向をマシンガンで掃射する。
角を曲がると撃たれるかもしれない。扉を開けると、窓から外を見ると、自動車で街を進むと、マシンガンで撃たれるかもしれないし、ライフルで狙撃されるかもしれない。しかし彼らは角を曲がり、扉を開け、自動車で進む。
戦闘は唐突に始まり、唐突に終わる。確認すると仲間が死んでいる。泣いているヒマはない。戦闘が終わっても安全とは限らないのだ。ひとり、ふたりと減っていき、死んだ仲間の弾丸や現金などを持って、再び角を曲がり、扉を開ける。戦場はとてもリアルであり、恐怖であり、絶望的である。
仲間の遺体は運べるときと運べないときがある。いつかきちんと埋葬することを念じて「アーメン」を唱える。「アーメン」はイスラム教でも使うので、彼らの宗教は不明だ。新人のカーワは「アーメン」を唱えなかったから、もしかしたら無宗教なのかもしれない。
見え隠れする家族第一主義はやはりアメリカ映画だが、イラクの元警察官が登場人物の中心だけあって、作品に宗教色はあまりない。キリスト教を出せない分、イスラム教も出したくないのだろう。若いカーワは叔父が死んだからといっても泣かない。隊長から何故泣かないのかと聞かれても、わからないと答える。自分でもわからないからそう答えているのだ。このシーンは、イラクの若者が宗教からも家族第一主義からも離れているという精神性を示唆しているのではないだろうか。そしてその精神性にこそ、紛争が続く中東の平和の可能性があるのかもしれないと思った。
20年代で…
10年単位で、
名作戦争映画が出てると思っていて、
90年代であれば、『プライベートライアン』
『シン・レッド・ライン』とか、
00年代であれば、『ブラックホークダウン』『ハートロッカー』とか、
10年代だと、『ハクソー・リッジ』『ローン・サバイバー』『ダンケルク』など、
アイコン的な戦争映画があると思っている。
『モスル あるSWAT部隊の戦い』は、
20年代のアイコン的戦争映画だと思う。
ストーリーが有り、戦争の悍ましい部分をしっかり描きながら、映画としての満足感もしっかりある。
主人公の強烈な半日、
明らかに顔が変わっている。
幼い兄弟の別れや、
突然の死、憎しみしか生まれない場所で、
なにを正義として戦っているのか、
終わらない負の連鎖が、
ずっと心にへばり付く…
誰のために戦うのか?
出演者全員がアラブ系、全編アラビア語と言う異色のアメリカ映画で、なかなかの力作でした。開巻、イラク警察のSWATが市街戦であっと言う間にISを片付けてしまうオープニングは鮮やかです。秘密の任務のため危険地帯を突破する設定はよくあるけど、すごいリアルな骨太アクションの連続で、単純な構成だけに一気にお話しが展開します。一方で、戦場のど真ん中でイラン人武器商人が武器弾薬を売り込みに来たり、ドンパチの中でもムスリムのお祈りは欠かさないなど、アラブ世界独特の一風違った雰囲気がいい感じで、カーナハン監督なかなかの腕前です。最後に明らかになる任務は、アラブ圏に限らずどの国でも普遍的なテーマで、思わずグッときました。役者全員、まるでお馴染みのない方々ですが、しっかりキャラ立ちしていて熱演でした。
『キングダム 見えざる敵』の続編のようなリアルで無情な戦闘の果てに浮かび上がるSWAT部隊の使命が胸に響く力強い人間ドラマ
舞台はISIS(ダーイッシュ)との戦いで荒廃したイラクの街モスル。任官からわずか2ヶ月の新米警官カーワは麻薬と銃器の交換取引を行うダーイッシュ数名を逮捕したところで激しい銃撃戦となり目の前で叔父を殺され同僚と孤立、絶体絶命となっていたところをジャーセム少佐率いるニネヴェSWAT部隊に救出される。カーワから叔父を殺されたと聞いた少佐は、彼の部隊は身内をダーイッシュに殺された元警察官で構成されていてある指令のために行動していることを告げ、カーワを部隊に誘う。何も判らぬまま入隊を承諾したカーワはすぐさま部隊と行動を共にするが、彼らの行く先々でダーイッシュとの激しい戦闘が続き1人また1人と仲間を失っていく。
米国映画ですがいわゆる白人キャストは1人も登場せずセリフは全編アラビア語。激しい銃撃戦で幕を開け至る所で人間があっさり命を落とす地獄絵図が繰り広げられる中を、寡黙なジャーセム少佐と彼の右腕で冷静沈着なワリードに導かれた部隊はある使命のために行動しているが、入隊したばかりのカーワには明かされない。SWAT部隊とダーイッシュの戦いもデタラメで仲間が拉致されているところに平気で手榴弾を投げ込んだり、タバコと交換して手に入れた銃弾も不発だったりする。どこまでも続く廃墟の中を突き進んだ果てで唐突に使命を聞かされたカーワの表情に透けて見える感情に激しい耳鳴りを感じました。
サウジアラビアを部隊にしたサスペンスアクション『キングダム 見えざる敵』の脚本を手がけたマシュー・マイケル・カーナハンの監督・脚本作品ということで、『キングダム〜』の続編のようなリアルで臨場感に満ちた戦闘が延々と続きますが、芝居がかったドラマティックな死はどこにもなく、思想や信条に関係なくただ無駄に人命が失われ、その死屍累々の上にぽっかりと浮かぶ彼らの使命が胸に響く、実に力強い作品です。
ハンディーならではの臨場感
ハンディーならではの臨場感が凄い。
しかし、それだけである。
あらすじはとても感動的な内容であるが、戦場描写のバランスが勝ってしまい、ドラマの焚き付けがイマイチだったような印象。
惜しい。
でも、
アラブ世界での対立と涙をシッカリ伝える佳作ではある。
命を懸けて戦う理由は〇〇だった。うーん・・・
イスラム過激派ISISに支配されたイラクの都市モスルにおいて、ISISが駆逐されつつある状況下での物語です。
謎の戦闘集団がISISと戦っているのですが、理由が終盤まで明らかにされません。
最後に明らかにされた理由は〇〇。
わかったようで今一つよくわからない。
平和な日本にいては決して理解できないお話でした。
命の軽い事よ…(※注 先の大戦とは異質の軽さです)
いやはや…私自身ジャンルで言うところの戦争映画が大好きで、上映があれば観に行くんですが…
オープニングから、あれよあれよと話が進みます。このオープニングはズルいです笑 一気に世界に引き込まれます。
人種、主義、宗教、国、個人と色々絡み合い、中東は非常に複雑なんだなと思いました。(少し勉強しようかなと思います。)
ハンヴィーに乗れば、ブラックホークダウンのシーンが来るんじゃ無いかとヒヤヒヤし、路駐があればハートロッカーじゃないかとヒヤヒヤし、、、笑
結局の所、観た後は非常にリアルだったなと思う事請け合いです!!
※少しだけネタバレですが、イラン(イラク?)将校のシーンである人物が手榴弾を握る意味が後に分かります。
兵站というセリフも色んな意味があって、どっちでもOKと暗喩していて…脚本がとても良かったです。
RPGも、もしかしたら弾頭のピンを抜く表現が無かったので、隊長のカリスマ・全体を考える力の喪失を表現したのかなーと邪推します。
後、アウトポストなどの米映画では「メディーック(衛生兵ー)」があるんですが、今作(実情?)は単純に圧迫止血のみ、オプションで祈りだけです。
戦争映画が好きな方は、多少無理しても観に行くべき作品です。砂埃、砂埃、砂埃…
是非観て下さい!!
一人の若輩者が生死の修羅場をくぐり抜けて行くたびに組織内での存在感を高めて行く成長物語
イラクの都市は砂漠地帯にあるためか建物も含めて彩りに欠ける、どのシーンも茶褐色に見える。
戦闘がほぼ機関銃の打ち合いに終始し単調な感じがする。
2021年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
映像のほぼ8〜9割は激しい銃撃戦…戦争映画好きにもアピール出来る作品だと思いました。
そして、最後の最後に明かされるその任務の目的を知ると、ウルッと来るかも知れません。
これが現実だなんて…ことばが見つかりません。
間違いなく今年を代表する1作となるでしょう…。
オススメです!笑
*平日21時過ぎのレイトショー。まばらな客入り。席はガラガラ。なのに、敢えて他人様の隣席を選ぶ人って、一体どんな神経をしているんでしょうか?コロナ禍で、出来るだけソーシャル・ディスタンスを取りたいと、皆が思っているこの御時世に…。
機転をきかせて、ひとつ席を空けた所に場所を変えて座るとかなら、まだ理解は出来ますが、あくまでも自分が取ったその席にこだわるって…。
ホント、映画館に来ないでほしい…。
娯楽作ではないです。
イラク第二の都市モスルが舞台で実話ベースの戦争アクション。
会話も英語でなく現地語なので臨場感は半端なく自分が戦場に立ち会っている錯覚に陥ります。
あまりに戦場がリアルなので最後まで見ても娯楽作品の様な爽快感はなく焦燥感を感じて終わります。
家族を守るために戦うスワット部隊が殺し続ける敵にも家族がいる。殺しと憎しみの連鎖は終わらない。
エンタメ要素は少なくいですが戦場のゲリラ戦の緊迫感を味わいたい人にはお勧めします。
じゃあ目立つなよ!
イラク第2の都市モスルでダーイッシュと闘いながら既に破棄された任務を遂行しようとするSWAT達の話。
全滅したと思われていたモスル出身の精鋭警察官からなるSWATチームが、助けた新人警察官をスカウトして始まって行くけれど、何の特殊訓練も受けていないヤツ使えますか?とちょっと疑問も…まあ、彼がキーマンなるってことですね。
新人カーワの問いには答えず、存在がバレたら軍法会議にかけられるという、命令を無視した任務とは何なのか、全員親族を殺された経験を持つ部隊の復讐劇?
任務の為に猪突猛進とはならず、道すがら子供を助け、市民を助け、仲間に気を配り、町の再建を望み、ゴミを片付けと律儀で人情派な隊長が命令無視ですよ…。
戦闘のたびにメンバーを失ったり、必ずしも行動が上手く行かなかったりとリアルな攻防も見どころもたっぷり。
そしてチームの目的とそこで繋がる絆がみえた時の感情は、所謂戦争映画ではなかなか味わえないものだった。
いきなりのオープニングの銃撃戦に圧倒され‥‥
ISと元警察署の精鋭達の集団SWAT部隊との戦いを描いた実話ベースの作品。
いきなり始まる冒頭の銃撃戦は、劇場全体を揺るがすど迫力の大音響で度肝を抜かれこの先の展開に期待しテンションが上がる。
さらに荒廃しきったモスルの街並みも衝撃的だ。
その後、度重なる銃撃戦や、複雑な社会情勢を見せられ次第にフェイドアウトしていく仲間達。
そして終始アラビア語で進む展開と役者に近寄ってずっと見せられる迫真の見事な映像が、臨場感を増幅させていた。
戦争に正義があるのか?
長引く紛争により、荒廃したイラク第二の都市モスルで、新米警察官カーワがISに襲われたところを、ジャーセム少佐率いるSWAT部隊に救われた。カーワが叔父をISに殺されたと聞いたジャーセムは、彼をSWATの一員に招き入れた。少佐を頂点に十数名の元警察官から構成されるその部隊は、独自の戦闘をおこなっていたという話。
モスルの荒廃した映像にショックを受けた。
アフガンやシリアの惨状も映画で知ったので、この作品によりイラクの惨状も知れて良かった。
戦闘は迫力あり、実話ベースなので、実際にこんな状況だったんだろうな、って怖くなった。
戦争や紛争に正義は有るのだろうか?また考えさせられた。
世界の情勢を知る上でも一見の価値ある作品だと思う。
印象はちょっと地味、かな
銃撃戦など戦場の緊迫感は凄いし、キャラクターも立ってて、人間をしっかり描こうとしていることは好感が持てるが、結局メインの「この隊の本当の目的」といった重要なゴールの部分が、私の不見識も相まって最終的にもうひとつ盛り上がらないままフェードアウトした感じで終わるのは残念。
「見応え」という意味では地味な印象になってしまった。
意外な展開?
事前知識なしで激しい戦争モノと思って観たら、全然違う。イラク戦争をイラク人の視点で描いた作品。別の世界、視点を体験できるのも映画のいいところ。
正義感や任務でなく、復讐で動く兵士達は新鮮です。またアメリカ兵とも違う戦争。淡々と戦死するのがある意味リアル。そしてラストまで隠された任務内容で引っ張っておいて、あのオチは感動。
隊長の片付けグセは何かの伏線と思っていたけど…
隊長をはじめ各メンバーもいい味出してました。
How dare you!
否が応でも集中力を研ぎ澄まさなければ生きていられない。生きていたければ殺さなければならない。
分かりきったことであっても、こうしてリアルに見せつけられると、息が詰まる。
そこに至る過程も任務の目的も倫理観も主義主張も、何もかもがどうでもいい瞬間を一度でも経験したらPTSDになってもおかしくないのに、それが何度も何度も延々と続く状況。
以下は、前にも別のレビューで引用させていただいた
グレタ・トゥーンベリさんの国連での演説の一部。
現状に理解を示したフリをしていて、実際は手をこまねいているだけの世界の為政者たちに向けた言葉ですが、そっくりそのまま当てはまるように感じました。
(為政者たち…には社会システムの一員であり、選挙権も持っている私たちオトナも含まれる、と少しでも当事者意識を持つようにしたいと思います)
How dare you!
You say you “hear” us and that you understand the urgency. But no matter how sad and angry I am, I don’t want to believe that. Because if you fully understood the situation and still kept on failing to act, then you would be evil. And I refuse to believe that.
よくそんなことができますね!
あなたたちは言います。私たちの声は聞こえている、緊急性を理解していると。しかし、どんなに私が悲しくても、怒っていても、それを信じたくはないのです。もしあなたたちが本当に事態を把握していながら行動に移さないのであれば、それは悪でしかない。だから、私は信じません。
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