「もうちょっと明るく作ってほしかった」アリス&ピーター・パン はじまりの物語 デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
もうちょっと明るく作ってほしかった
クリックして本文を読む
セットやCGの作り込みがすごい。さすがアンジーが出るような映画は予算が潤沢だなー。アリスたちが暮らしている家、周辺の緑、妖しい質屋、どれもうっとりする。草木に囲まれたベンチにピーターとアリスが座っている、それだけのシーンがとても美しかった。
ピーター・パンやアリスや三月ウサギやフック船長が、私たちの思い浮かべる通りの姿で現れるときはちょっと感動するし、そういう経緯でこうなるのか、みたいな伏線回収ぶりも楽しい。
ただ、ストーリーは結構つらい。ラスト10分ぐらいまでは、ファンタジーを封印してピーター・パンやアリスを語るとどうなるか、みたいな感じで展開していくんだけど、家族がいがみ合い傷つけ合うシーンが多くて、全体に暗かった。
アリスの伯母のエレノア(アンナ・チャンセラー)を好きになれたらもう一段面白かったかもしれない。ゴージャス美人で、意外にかわいいところもあるんだけど。階級意識が強くて妹の夫をいつまでも認めず蔑んでいたり、アリスに女の子らしさを押し付けすぎたりする旧態依然の価値観が残念。
アリスの両親も“貧しいけれどいい人”というだけの描き方にはなっていない。父親のジャックは優しいけれど弱い人だし、母親のローズも何か辛いことがあるとその場を離れたりお酒に逃げたりして問題の解決を図れない人だった。
子どもがいないエレノアに、カウンターパンチとはいえ、ひどいことも言うし。「子どもを育てた経験が(ありましたっけ?ないですよね?われわれの教育に口を出さないでいただきたい)」とか「母にならなければ分からない」とか。
もうちょっとファンタジックで楽しい映画が観たかったので今の気分にはちょっと合わなかった。
コメントする