ナイトメア・アリーのレビュー・感想・評価
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世界観いい&衝撃エンディング
デルトロ監督の作品は、シェイプ・オブ・ウォーターを見てたんですが、この作品も、前半のお伽話的世界観が、いい雰囲気を醸し出していて、物語に引き込まれます。
ただ、中盤、ケイト・ブランシェットが登場して以降の展開が、グダグダな感じで残念。
ケイト・ブランシェット扮する心理カウンセラーが、どういう目的で、主人公を陥れようとしてたのかが、今一わからなかった…
字幕の日本語訳が、本来のセリフの意味をちゃんと訳せてないのでは?という事が時折あった気も。
最後の衝撃的なエンディングはなんか寓話的で、この作品のお伽話的世界観に合っていて、とても良かったです。
ケイトの底の無さ
欲望にその身を焼かれていく、因果応報の物語。
少し丸みが出た気もしますが、ブラッドリークーパーの色気は健在。
そしてケイト・ブランシェットがまた物凄い雰囲気を出してくるんですよ。
この二人のせめぎ合いが実に見応えがありました。
今までのデルトロの作風とは一転、とてもシリアスな人間模様ですが、カーニバルの不可思議な空気にはやはりダークファンタジーを感じさせます。
途中で結末が何となく見えてはくるものの、その転がり方が見応えありました。まさに転がり落ちるよう。
そしてラスト、これは見事な締め方でしたね。
またブラッドリーの笑顔が最高なんですよ。このカットで何だかこの作品全部に納得できるようでした。
改めてケイトの底の無さとブラッドリーの演技の幅、それとデルトロの作風の広がりを感じた作品でした。
斬新で奇抜な悲劇的ミステリー
ダークな映画
結局 最後は こうなるのか
レトロな雰囲気で ずーーっと二時間見入ってしまいました
妖艶な ケイト ブランシェット でしたが、 やはり怖い。
因果応報とは こういう事を 言うのでしょうか?
物悲しい 久しぶりに 映画らしい映画を 見た気分で 良かったです。
鑑賞動機:デル・トロ7割、出演者2割、題材1割
「奇妙なもの」は出てこないけどギレルモ監督の作品だ
これは、入れ子ですか?
ドミノ式の宿命に翻弄される人生!
暗い時代で、まさに太平洋戦争が始まる頃(1940年代)のアメリカのお話です。一言で言えば、サスペンス・スリラーなのですが、個人的には宿命論を根底に置いての、因果応報的なストーリー展開に見えました。宿命の原点的なものは、憎んできた父親を凍死させ、その遺体と家を焼き尽くすという残酷なものです。もう一つの原点は、しばらく仕事をしていたサーカスの見せ物の獣人との出会いです。それらの原因がドミノ式につながり、最後に獣人の姿になるのです。しかし、私は単純に行いの報いというイメージはありませんでした。ただ、本当にドミノ式に繋がっているだけなのだと、この作品を俯瞰して観ていました。そして最後まで行き着く間に、脚光を浴びる興行師(詐欺師)になり、成功を収めます。しかし、ある時を境に奈落の底に向かって突き進みます。破滅のカントダウンにハラハラドキドキが止まりませんでした。それでもそんな暗さも、花を添える妖艶な女性たちの登場で、バランスの良い面白い傑作になっていると思います。
自分はこんなもんじゃない!
——第二次大戦の少し前の不穏な時代——
当てもなくたどり着いた”カーニバル”一座で働くことになったスタン。自分の才覚に気付くと、恋仲になったモリ―と共に一座を抜け、もっと上客を相手に商売しようと試みるが・・・
妖しさ(怪しさ)満点の見世物興行。獣人(という触れ込みの人間)は「自分はこんなんじゃない」と訴える。「私にはここがお似合い」と言うモリ―。「君も僕もここには似合わない」と返すスタン。獣人の嘆きはスタンがずっと抱えてきた心の内の声でしょう。
本作を観て思ったのは、”因果応報”、”おのれをわきまえろ”、”人の忠告を聞け”です。
人は一度境界線を越えると歯止めが利かなくなって、戻れなくなるのでしょうか?
いえ、引き返すチャンスは何度もありました。
でも、つまらない欲や意地やプライドが、立ち止まって考える事をさせませんでした。
本作は説教臭いわけではなく、ダークなサスペンスです。面白いと言えます。監督の好みであろう不気味な映像美は細部まで作り込まれています。
ただ、私にはちょっと気持ちが悪い映画でした。
私は、例えば金魚や犬を、生存にはあまり向かない形態の新種を作ってまで愛でる、という感覚が理解できません。本作にそういうものを感じました。(それ自体は公に認められていて、悪い事ではないですが)
あと、一座には白人しか居なかったようなのは違和感でした。「グレイテストショーマン」では黒人も一緒に働いていましたが。
脇を締めれば巧い人。
このキャストで、デル・トロで、これ?
ってのは正直言って、ある。いや、コレがデル・トロじゃなきゃ、すごく良かった!って思えるんでしょうけど。なんせ。期待値、かなりの高さだったもんで。
タブーを冒し、人を騙して生きて来た男が、騙されて獣人となる立場に転落する。自業自得の物語りです。これは天罰なのか運命なのか。諸悪莫作の「戒め」の物語りは、見終わった後、諸行無常を感じざるを得ません。あな哀し。
でも、デル・トロなのに...
もうちょっと。こう。何か、欲しかった。
ってだけ。
フツーに良かったけど。
期待は、フツーじゃないんですもん。
次は、はっちゃけ映画に戻るとか。
一作だけで良いんでw
読心術は出来ても人を見る目はなかった
ルーニー好きのツレに誘われて観に行きました。
デルトロといえばパンズラビリンスが好きな作品てくらい。
この作品は寓話的に野心家が踏み越えちゃいけない領域に手を出しその報いを受ける話。そうなってしまうまでに何度も何度も踏み止まるチャンスはあった。主人公は悪人ではなく獣人に対しても憐れみを感じたり良識があるのは窺い知れる。また最後の表情、台詞によって自分でも今やめておけばと思う事があったのは想像がつく。
金、名声に惑わされると今まで自分を見守ってくれた人の言葉も入らなくなるし、成功する度に大事な何かを見失う。
読心術でファムファタルの心を折ればそりゃ倍返しに合う。スキルを身につけた事で奢り高ぶると関わってはいけない人との接触機会は増えるもの。人を見る目は大事だ。
スピリチュアルな領域は神(またはその様な何か)が決める事であって人間が決める事じゃない、人がコントロール出来ない事に手を出せば必ずその報いを受ける。
あるか無いか不確定なものはわからないが業は巡る。
成果主義への偏り、数字が全て、質や人情を見失いつつある現代に見て欲しい作品。
人生なんてこんなものだ
「衣食足りて礼節を知る」という。しかし宿無しの着たきり雀には縁遠い話だ。
ブラッドリー・クーパー演じる主人公スタントン・カーライルの物語は、父親との凄絶な別れからはじまる。怪しい大道芸人集団に入り込んでからは、欲望と野望に引っ張られるがままに物語が転がる。
本作品の舞台は1930年代である。世界恐慌で人々が一気に貧しくなったが、人は何にでも慣れる。貧しさに慣れて、乏しさに耐える。運のいい者は仕事にありつき、当面の衣食住を得るが、いつまで続くかは分からない。
何かの才があれば、それを活かして生きていけるかもしれない。場合によっては金持ちになれるかもしれない。ここにいたら暫くは凌げるかもしれないが、ジリ貧だ。いずれ誰もが食えなくなる日が来るだろう。行くも地獄、残るも地獄。ならば行く方に賭けてみよう。男なら多分そう思う筈だ。
恋は唐突に訪れる。若い女の艶やかに光る黒い髪と赤い唇は男を魅了し、男が放つギラギラした欲望に、女は自尊心を満たされる。しかし問題はその先だ。男が本当の意味で自分を満たしてくれるのかどうか。裏切らない誠実さがあるかどうか。堕落してしまわない意志の強さがあるかどうか。女は不安に震えながら旅立つ。
男は塀の上に登る。塀の内側は恐ろしい闇だ。決して広くない塀の上を、男は歩いていく。自分は猫だ。軽やかに歩き、決して内側に落ちることはない。
女は塀の外から男を見ている。いつ落ちてしまうかもしれない不安にかられ、早く塀から降りてほしいと願う。しかし男は下りてこない。それどころか、塀の上を自分よりもずっと軽やかに歩く牝猫と出逢い、互いに匂いを嗅ぎ合う。牝猫は察知する。男は野良犬だ。決して猫ではない。不器用な足で塀の上を歩く。そして牝猫よりもずっと上手に歩いていると勘違いしている。馬鹿な野良犬だ。間違いなく内側に落ちるだろう。その日はそれほど遠くない。
本作品には人間の欲望があり、自信と不信と希望と絶望がある。恐怖があり、酒への逃避がある。肉親との確執があり、憎悪と怒りがある。そして物語となる。本作品には人生が詰まっているのだ。150分という長時間の映画だが、波乱万丈のストーリーと無駄のない演出のおかげで飽きることがなかった。獣人の伏線で誰もが結末を予想できたと思う。いいラストシーンである。人生なんてこんなものだ。
めざめのカーニバル
せっかく春めく季節となってきたのに、雪の降るシーンが多くて寒くなってしまいました。150分もあると、結構トイレが近くなって困っちゃいます。そんな時欲しくなるのが膝掛け!もちろん毛糸のブランケット。毛布にくるまってる場面もありましたね。
見世物小屋というと、江戸川乱歩の作品や『エレファントマン』などを思い出してしまいますが、ホルマリン漬けの胎児とかの標本はエグすぎ。それを管理しているウィレム・デフォーも不気味さ満開だし、ロン・パールマンだって怖すぎ。どうせなら頭に大根の輪切りを乗っけておけばいいのに・・・などと『ヘルボーイ』をついつい思い出してしまいます。
いや、カーニバルってのは楽しいもんだよ!そんなに暗くしてどうする。と、頭の中では榊原郁恵の歌がぐるぐる回ってきてしまいました。踊りたいの夜明けまで、星空のもとでふたり♪まわれまわれ、メリーゴーランド。好きな曲「スターダスト」も吹っ飛んでしまうくらい頭の中は郁恵ちゃんとなりました。
そんなこんなで後半は電気人間モリーと共に独立したスタン。ショーの客だったリリス・リッター博士がイチャモンつけてきます。バッグの中身当ててみなさいよ・・・これはなぜだか読めてしまった。特別なモノですもんね。まぁ、オチも終盤になって読めましたけど。
気に入ったのは読心術とか占い師とか霊媒師とかってありきたりで誰でも当てはまることを言う手口だったこと。俺の知り合いにもいる!ちょっと違うけど、必ず相手の親のことを切り出す奴。今の時代ならメンタリストって感じ?
「酒は絶対に飲まない」と言ったのなら、やっぱり飲んじゃだめ。想像するに、スタンは大酒飲みの父親から虐待を受けていたのだろう。そして介護疲れ・・・なんだか現代においても通用しそうなテーマも隠されていたような。さすがに見世物小屋はないけどね・・・
寿命を縮めるアルコール
バスで寝てしまい辿り着いたサーカスの見世物小屋で仕事をすることになった男が拗らせる話。
前作も原作も知らずに観賞。
見世物小屋でみたギークに始まり、様々なショーをみる中で、アイデアを膨らませ、読心術を教わりメンタリストになっていくストーリー。
その2年後がメインだけど、そこに至るまで1時間ぐらい?
メンタリストは良いけれどスピリチュアルなところに走るなよと。
わかりやすい成功と破滅の物語で、締めに至るまでなかなか面白かったけれど、ちょっと自分には長過ぎて、山場前少しダレた。
ハッピーエンドじゃないけれど、オールドスタンダードというか、ストーリーのまとめ方という意味では終わりよければ全て良し…なのかな。
前半と後半のテイストが違うので注意
今年85本目(合計358本目/今月(2022年3月度)27本目)。
コロナ問題は日本では一応全面解除されましたが、それでも長い映画です。
序盤はある移動(?)サーカス団(というか、倫理的にどうか…と思える、後述)、後半はうってかわって全然違う話になります。
これも結構びっくりしたのですが、元小説があるようで、それがある以上、あることないこと書けないので仕方がないのかな…という状況です。
やはり他の方が書かれている通り、前半後半でテイストが大きく違うので、そこをどう取るか、だと思います。一貫性がないと思う人もいるでしょうし、映画代1枚で2つのテイストを観ることができたと思う方もいらっしゃるからです。
なお趣旨的に誰が犯人だの、どういうトリックがどうこうだのということを書き始めると一気にネタバレであり、そこはカットします。
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(減点0.2)
元小説があるのは確かだし、過剰な「言葉狩り」は私も賛同はできませんが、「見世物小屋」といった表現、さらに「小児麻痺」「低身長症」といった語まで出るのは、うーんどうなのか…とは思えます(日本では人権意識の高まりもあって、およそ観ることはありません)。
かつ、これについて説明も注意書きもないので…。
(減点0.1)
途中でタロット占いが話題になりますが、いわゆる「ハングマン」(吊られ人)に書いてあるタロットには le perdu と書いてあります。しかも字幕なしの状況。
ここはフランス語で perdre (~を失う/敗れる)という動詞の過去分詞で、定冠詞(le/la)とあわせて「敗者」を意味する語です。
ここも字幕がないのでわかりにくいかな…とは思います(仏検3級くらいあればわかりますが、英語では推測はできません。語源が違うから)。
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シェイプオヴウォーターはいい映画だったけど、この映画は好きではない...
シェイプオヴウォーターはいい映画だったけど、この映画は好きではない。世界があまりに貧しい。見ていて全く幸福もカタルシスもやってこない。妻だけが救いか。俳優だけ見たくて見た。主演の人も力はあるけど、もともと好きな人ではない。この世界にピッタリの俳優だ。
とはいえ、シェイプオヴウォーターから類推するに、ラストの人獣については、監督はそこにむしろ同一化しているというか、単なる敗北と描いてないふしもある。読心術とは、ペテンのように見えて、真実に近づくテクニックだし、それは、カウンセリングもそうである。最も不幸なのはカウンセラーで、それに比べれば、逃げ続けていても彼の方がピュアなくらい。
赤ん坊の造形に監督のエネルギーが注ぎ込まれているのがわかる。父親に対する底しれぬ憎しみも本来的には回収されていない。まだ次の映画がいるのだろう。
観客の9割はオチに早い段階で気付いているのだから、もう少し短めで…
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