ユンヒへのレビュー・感想・評価
全9件を表示
おばさんと娘のナイスアシスト
韓国で高校生の娘セボムと暮らすシングルマザーのユンヒに、日本で暮らす友人ジュンから手紙が届いた。20年以上も連絡を取っていなかったユンヒとジュンには秘密があった。ジュンからの手紙をユンヒが見る前に盗み見したセボムは日本でジュンと会ってみようと思い、ユンヒを強引に誘い、日本の小樽へ行った。さてどうなる、という話。
禁断のレズなのだとなかなかわからず、最初はジュンとユンヒが姉妹なのかと勘違いして観てた。
主役はジュンとユンヒなんだけど、ジュンが出せなかった手紙を投函したジュンのおばさんと盗み見し日本へ行こうと言った娘のセボムのどちらかが居なかったらジュンとユンヒは会えてなかったわけで、2人がナイスアシスト、って感じだった。
雪景色の小樽は美しく、しみじみとした切なさもあり、良い作品だった。
かつて愛し合っていたが別れを余儀なくされた二人の女性。一人は韓国で...
かつて愛し合っていたが別れを余儀なくされた二人の女性。一人は韓国で一児の母、もう一人は日本で獣医となるが、シングルマザー、異邦人、そして性的少数者としての孤独を抱えている(直接的には描写されない痛みが伝わる)。そんな二人の日常が、それぞれの家族のちょっとしたおせっかい(あるいは好奇心)によって変化し、時を経て再び邂逅するさまが静かに描かれる。触媒となった前者の高校生の娘と後者のおばさんの演技がとてもよい。
映画の半分が日本パートで、製作陣の背景を知らないが、会話の台詞だけでなく交わされる情緒にも全く違和感がなく、丁寧に作られていると感じた。
帰って「ラブレター」を観てみたら(名作ですね)、冬の小樽、法事、坂の住宅街、カメラなどのオマージュににんまりした。
“ノン・バイナリー”を受け入れられなかった世代とそれを受け入れる世代
韓国、小樽を舞台に、初恋の記憶を手繰り寄せるーー。二人の女性の静謐なラブストーリー。韓国から小樽へ、小樽に降り積もる雪のように静かに優しく想いが募る。
韓国ではこれまでにも女性同士の恋愛について真正面から描かれることはなかったという。物語からもユンヒはジュンとの関係が許されなかったと語られていた。時には「精神科へ行け」などと言われたり、同性愛者への理解がない当時の韓国社会からの抑圧が伝わってくる。
またユンヒは大学に進学できなかったり(ユンヒの兄は大学へ進学)兄の紹介ですぐに結婚しているなど、男尊女卑が強い国 韓国の様子をよく表しているが、日本はさらに韓国よりも酷い。2021年の「ジェンダー・ギャップ指数ランキング」では日本は120位の史上ワースト2位、韓国は102位と日本よりは高いものの、世界的に見ても両国の「男尊女卑」度合いの高さがわかる。
物語のキーパーソンの娘のセボムが抜群の存在感を発揮しているが、セボムの反応や対応からも20数年経ちようやく同性愛やLGBTQなどにも理解が示されるように。18歳のセボムはZ世代と呼ばれる世代で、この世代はLGBTQなどにも理解がある。ユンヒの学生時代と20年以上経った娘の世代の対比も面白い。
結局のところ、本作の手柄は叔母のマサコと娘のセボムですね。
ちょっとはに噛みながらもお互いを慈しむマサコとジュンのハグをするシーンにはもらい泣きしてしまった。
ユンヒが元夫の再婚を喜ぶシーンには共感、なんていうか…情として本気で幸せになって欲しいっていう(本当に愛する人への感情とはちょっと違う感じすごくわかる)。夫の涙にまたジーンときて、、。
押し黙って見てしまうような静寂な美しい小樽の街と雪景色。
あぁ、私の好きな作品だわ。見てよかった。
フィルムカメラと紙巻たばこ
中村優子と瀧内公美が二人で道を歩くシーンがあるんだけど「二人は惹かれ合ってるんだ」って分かるのね。直接的な台詞はないんだけど。それで自然なの。「クィアの恋だ」って感じじゃなくて、「ジュンとリョウコは互いに好きなんだ。うまくいくといいな」って感じる。(しかし『分かってるけど何も言わないで』と遠回しにジュンが言い、二人の恋は発展しない。このシーンもすごい。)
心象描写を台詞以外でやるのがすごいんだよね。クライマックスの『ユンヒ?』も長い間をつかって、みつめあって涙を流すだけっていう。すごい。
小樽から戻って写真を整理すると『笑ってる写真が一枚もない』って娘に言われるんだけど、本当のラストに、食堂の仕事に応募するときは笑顔。色々と抱えていたものがおろされて、人生が始まるんだと思ったよ。
旦那さんが再婚を報告するシーンもいい。厳しい対応をしていたユンヒが『良かった。本当に良かった』と安堵して、旦那さんは『お前も幸せになってくれ』と言って泣く。観るほうが色々と解釈できるシーンで良かった。
煙草を吸うユンヒがかっこいいんだよね。カッコよさの表現に煙草を使うのは久しぶりに観た。それと娘が写真を撮るのもフィルムカメラ。
なんでフィルムカメラと紙巻たばこを使うのか分からないけど、ユンヒとジュンの高校時代の恋愛に戻るから、舞台装置としてその頃のものを出してるのかな。
最後のユンヒからジュンへの手紙で、ユンヒの辛い人生が語られるのね。周囲の無理解(しかし、時代背景を考えるとそう言い放つのも厳しい面はある)によって、多くの人が不幸になる。別れた旦那さんもかなり辛いね。
でもそれは、クィアの恋だからじゃないね。
ヘテロ同士の恋だろうがなんだろうが、周囲が認めずに強引に二人を引き裂くと誰かの幸せを奪うことがある。このケースでは、周囲が認めない理由がたまたまクィアの恋だったという風に観てて思った。
クィアの恋を扱いながら、そこを目立たせず、自然に描いてきたのが、監督の力量がすごいと思ったよ。
"セボム、ナイス!"な映画
主人公ユンヒ役の女優さんは、なかなかの名演でした。
秘めた思いを、胸の中のずっと奥に落とし込み、人生に疲れ果て、無意味に生きている様が、スクリーンを通してまざまざと伝わって来ました。一切笑わない、物憂げとも悲しげとも違う、正に魂の抜けたような顔貌(表情)…美人が美人に見えない…。
女性同士の同性愛を扱っていますが、報われない愛情とそれに絶望した人間の悲しさという、普遍的な愛についての物語だと思いました。
*男性目線から言うと、別れた旦那がユンヒに再婚を報告に行きますが、その時の男泣きは、かなり胸にグッと来ましたね。
*台詞がところどころ不自然というか、「あぁ、韓流だなぁ…」と、なんだか物語の深みを損なってしまっているなぁと、ちょっと残念でした。
変に"オシャレ"にする必要はないんですよねぇ…個人的な見解ですけども(笑)
例えば、「雪はいつ止むんだろうね」…でしたかね?(笑)北海道・小樽で、その言葉はあまりにも不自然というか…格好良すぎる台詞は、気恥ずかしさしかありませんでした(笑)
*パンフレットはもう要らないかなと思ったんですが、800円の割に意外に紙数が多かったので、思わず買ってしまった(笑)
メチャクチャ良かった!
何が良いかってユンヒの娘のセボムがとっても可愛い(笑)
そして終わってみれば彼女が主役だった印象。
韓国のユンヒが小樽にいるジュンと再会するストーリー。
二人の関係が良く解らなかったけど、ストーリーが進むにつれ解って行く展開。
直接二人の関係を表す場面は無く、セリフなどからその関係を伝える感じがジワジワ来る。
ユンヒがセボムと小樽に旅行に行くんだけど、セボムが全てを段取りして再会させるストーリー。
セボムのラブストーリーが平行して進む胸キュンシーンも良かった。
列車の車窓から見える雪景色の海岸が美しい。
小樽の町並みも雪にまみれて綺麗。
小樽の観光スポットを敢えて映さないのも良かったです( ´∀`)
何か検閲でもあるのか
と思うくらい、もどかしい。
これは切なさというのかな?
娘はわかっているよ。
おばさんもわかっているよ。
世界は変わるし、自分に嘘ついて自分でないものとして生きるのはしんどすぎる。
韓国にルーツがあることすら隠さなければいけない国だから、かな?
【"私達は間違ってはいなかった・・。"日韓の女性の20年に亘るお互いへの想いを、静謐で叙情的なトーンで描き出した作品。小樽の雪降る街の夜景の美しさも、作品に趣を与えている作品でもある。】
- 今作品は岩井俊二監督の「Love Letter」に着想を得たとあるが、作品設定及び漂う静謐な気品、哀しき叙情性など、成る程と思わせるシーンが多数ある。ー
◆感想
・遥か昔、韓国で過ごしていたユンヒ(キム・ヒエ)と今は小樽に住むジュン(中村優子)との関係性が徐々に明らかになる過程の描き方の巧さに、魅入られる。
- 敢えて、昔の彼女達の関係を描いていないのも良い。ー
・ジュンが、何度もユンヒに対して書いていた手紙。けれども、投函できない手紙。
ある日、叔母(木野花)は、その手紙を見つけ、雪の降る中、ポストに投函する。
- ジュンが独身を貫いていた理由も、仄かに分かる。-
・ユンヒの娘セボムが別れた夫(ユ・ジョンミ)に聞いた言葉。
”お父さん、何でお母さんと別れたの・・””お母さんと居ると寂しくなるんだよ。・・”
- 自分を愛していない女性との結婚生活は、辛いよなあ。
この夫の健気な姿にも男としてはグッとくる。
そして、後半ずっと元夫に辛く当たっていたユンヒが、彼から他の女性と結婚すると言われ、 静に微笑む姿。-
・セボムが、ジュンの手紙を盗み見したシーン。
- 日々閉塞感を感じながら生きている母親の姿を見て、決断した小樽への旅。
優しき娘であり、優しきセボムのボーイフレンドの姿。-
・ユンヒとジュンは同じ町、小樽に居るのにナカナカ会えない。
嫌、ユンヒは自らの意思で会わない・・。
・動物病院を営むジュンのかかりつけの女性(瀧内公美:個人的に嬉しい。)と、ジュンとの関係性。
- 勝手に、あの女性はジュンの事が好きなんだろうなあ、と思いながら鑑賞。ジュンが彼女に言った言葉。
”隠したいことは、最後まで隠した方が良い。私は、韓国に居た事を隠して生きているから・・。”-
・だが、セボムは迷う母の姿を見て一計を案じる。
- 雪舞う中、ユンヒとジュンが小樽の運河に掛かる橋上での出逢いのシーンは白眉である。
涙を流して、且つて愛した人を見つめる二人。ー
<そして、韓国に戻ったユンヒが、新しき一歩を踏み出す姿。
その姿をセボムとボーイフレンドは優しく見つめる。
面接を受ける料理店の前で、”緊張してる?”と母に聞きながら、セボムが撮影した母の写真。
そこには、小樽では一枚も撮影出来なかった、笑顔の母親の顔が有った・・。
雪降る街をメイン舞台にした二人の女性と、彼女達と関係を持つ人々の姿を叙情性溢れるトーンで作り上げた作品である。>
.
20年前、愛し合いながらも別れなければならなかったユンヒとジュン。時を経て再会した二人のせつなさが伝わる。あの頃に想いを馳せ、愛し合い、楽しかったこと悲しかったことが胸に去来する。とまあ、私がいくら色恋にうとくても(ミミズかタコのレベル)、前半寝てしまっていても上記のことぐらいは分かる。
悲しいラブストーリーだけど、なんとか2人を会わせようとするユンヒの娘セボムが空気を和ませるし、ジュンの叔母さんのマサコのまなざしも暖かくて心地よい。あえて二人の過去の思い出のシーンが無いのも良い。
[ 追記.1/8(土) ]ねたばれチェック欄□に ✔️を入れる ✅
[ 追記 1/12(水) 再鑑賞.]
前回少し寝てしまったし、起きててもボンヤリ見てたところも有るのでもう1度見ることにした。冒頭ジュンの叔母マサコが、ジュンが書いた手紙(ユンヒ宛)をジュンに内緒でポストに入れる。ユンヒの娘のセボムは母宛の手紙をこれまた勝手に読んでしまう。こうして当人たちが知らないところで物語が始まる。20年のときを経て二人は再会するが、一生会わなかったのかもしれないと思うと胸が詰まる。再会してからの描写も多くはないけど、運河沿いを二人で歩く場面での会話も 「久しぶりね」 「そうね」 だけなのにもう充分胸がいっぱいになる。
セボムとボーイフレンドのホンワカ・ノホホンとした場面は、暗くなりがちな雰囲気を和らげてくれてホッとする。
星3→4。
前回寝たのはセボムとボーイフレンドがハグしてるのをユンヒに見つかった辺りの3分ぐらいと判明。( 30分ぐらい寝たと思ってた )
2022/1/7(金) city1
. 1/12(水) 晴 city1
全9件を表示