「“ノン・バイナリー”を受け入れられなかった世代とそれを受け入れる世代」ユンヒへ あささんの映画レビュー(感想・評価)
“ノン・バイナリー”を受け入れられなかった世代とそれを受け入れる世代
韓国、小樽を舞台に、初恋の記憶を手繰り寄せるーー。二人の女性の静謐なラブストーリー。韓国から小樽へ、小樽に降り積もる雪のように静かに優しく想いが募る。
韓国ではこれまでにも女性同士の恋愛について真正面から描かれることはなかったという。物語からもユンヒはジュンとの関係が許されなかったと語られていた。時には「精神科へ行け」などと言われたり、同性愛者への理解がない当時の韓国社会からの抑圧が伝わってくる。
またユンヒは大学に進学できなかったり(ユンヒの兄は大学へ進学)兄の紹介ですぐに結婚しているなど、男尊女卑が強い国 韓国の様子をよく表しているが、日本はさらに韓国よりも酷い。2021年の「ジェンダー・ギャップ指数ランキング」では日本は120位の史上ワースト2位、韓国は102位と日本よりは高いものの、世界的に見ても両国の「男尊女卑」度合いの高さがわかる。
物語のキーパーソンの娘のセボムが抜群の存在感を発揮しているが、セボムの反応や対応からも20数年経ちようやく同性愛やLGBTQなどにも理解が示されるように。18歳のセボムはZ世代と呼ばれる世代で、この世代はLGBTQなどにも理解がある。ユンヒの学生時代と20年以上経った娘の世代の対比も面白い。
結局のところ、本作の手柄は叔母のマサコと娘のセボムですね。
ちょっとはに噛みながらもお互いを慈しむマサコとジュンのハグをするシーンにはもらい泣きしてしまった。
ユンヒが元夫の再婚を喜ぶシーンには共感、なんていうか…情として本気で幸せになって欲しいっていう(本当に愛する人への感情とはちょっと違う感じすごくわかる)。夫の涙にまたジーンときて、、。
押し黙って見てしまうような静寂な美しい小樽の街と雪景色。
あぁ、私の好きな作品だわ。見てよかった。
今晩は
今作は、私、とても好きでして・・。
抑制したトーンの中で仄かに匂わされる二人の女性の禁断の恋。
そして、その思いは年月を経ても二人にとっては、忘れ難く・・。
ユンヒの夫が娘に”何で離婚したの・・”と聞かれ”お母さんと居ると、哀しい気持ちになるんだ・・”と答えるシーンは男にとっては切なくて。
故に、ユンヒが夫から”再婚するんだ・・”と言われた時の、安堵と、申し訳なさが綯交ぜになった表情はグッときましたね。
ユンヒの娘とボーイフレンドの行動。ジュンの叔母の行動も沁みました。
お客さんがとても少なくて、残念でしたが、静謐で抒情性溢れる作風は好きでした。では、又。返信不要です。