「白鳥推しの澤江さんの生き様。」私は白鳥 ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
白鳥推しの澤江さんの生き様。
毎冬飛来する白鳥に魅入られた男性が、ある年に羽根を骨折してシベリアに戻れなくなった白鳥を見守る様子をメインに追ったドキュメンタリー。
見終わって思うのは、白鳥のドキュメンタリーというよりは、この還暦近い男性、澤江さんの生き様を追ったものだったんだなと思う。
澤江さんは白鳥をただ見て愛でるだけではなく、自然や野生への介入に慎重になりながら、必要と思うところではひっそり手を差し伸べ、必要と思う設備(8万円のボート!)を買ったり、車をだめにしたりしながら白鳥を見守る。白鳥に自分を重ねたり、感情移入して涙を流したりしながら。
今風に言うなら澤江さんの白鳥への想いは、アイドルやキャラクターに対するのに似た「推し活」なんだと思う。
澤江さんは話し方やその内容を見るからに善良な方なんだけど、還暦近くで自営業で家族がおられなくて、だからかある程度自由に白鳥の様子を見に行ったり、食べ物を与えたりする。
「私は白鳥」というのは澤江さんの言葉だけど、ここからもわかるように、飛べずに仲間と離れて一羽で過ごす白鳥に澤江さんはかなり自己投影されていて、何だか観ていて切なくもなってしまった。
誰かの幸不幸は他人が測れるものではないとわかりつつ。
あと一つの劇場公開作としては、ドキュメンタリーとはいえもう少しテーマや主題を明確にしてほしかった気もする。ラストはここで終わり!?という感じは否めかった。
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