「束の間の平穏」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
束の間の平穏
シン・エヴァンゲリオンで完結したのを受けたのだろうかガンダムも40年ぶりの映画化だからシン・ガンダムかと期待が膨らむがこちらも大人の都合に子供たちを巻き込む不心得映画。
カナリア諸島の無人島アレグランサ島、無人の筈が20人もの戦争孤児たちが古い灯台で暮らしている、灯台守の家族だったのだろうか、面倒をみているのはタイトルにもあるククルス・ドアン、かってはジオン軍のエース・ファイターだったが親たちを巻き込んで殺してしまった贖罪意識なのだろうか、原作ではドアンも孤児院出身だから子供たちが他人ごとに思えなかったとみるべきか。
偵察に来たガンダムはドアンのザクに倒されるが負傷したアムロを助けたのもドアンでした。
しばらくは島での孤児たちとの共同生活が描かれます。ドアンの心意気に感銘してアムロも軍を離脱、二人で孤児たちを守って行きましたであれば、今どき立派な反戦映画になったでしょう。
束の間の平穏も打ち砕かれ、島は再び戦場と化すことに・・。あとは推察通りの展開でアムロは復帰、よってガンダムの戦いは終りませんでした。ミサイル発射を間一髪で食い止めるのが007以来の見せ場なのにあっさり看過、連邦軍の迎撃ミサイルで撃破というのも珍しい。
腑に落ちないのはアムロがドアンのザクを海に捨てます、なまじ武装するから敵を呼ぶとの理屈でしょうが戦争がまだ終わった訳では無いので防御は必要でしょう。
敵と思っていたジオン軍にも優しい心根の人間がいることに気付いたならアムロも戦争の無意味さに気付いて逡巡するかと思いきやあっさり復帰。アムロ達は子供たちに見送られて島を去りますが、島には医療も教育施設もありません、先々のことを考えれば連邦政府が面倒をみるべき事案でしょう、まあ、戦時下の稀有な美談を見せたかっただけの浅い脚本に思えてしまうのは残念でした。