劇場公開日 2022年6月3日

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「作画崩壊していたテレビ版の方が、遥かに良い話であったと感じてしまうとは・・・」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0作画崩壊していたテレビ版の方が、遥かに良い話であったと感じてしまうとは・・・

2022年6月3日
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ククルス・ドアンが何者で、どういう経緯で子供たちと島に住んでいるのか?それを示唆するような短い回想シーンはあるものの、きちんとした説明が一切ないため、物語に入り込めない。アムロが、ドアンに会った時、そのことを尋ねてもよさそうなものだが、それもない。もしも、「ドアンが脱走兵で、子供たちが戦災孤児であることなど、ガンダムのファンならば知っていて当然」などと、作り手が考えているのなら、思い上がっているとしか言い様がない。
そうこうしているうちに、ストーリー上のアラが、次から次へと気になってくる。
ドアンは、連邦のGMにしても、後からやってきたガンダムにしても、それを倒したら、追加の兵力が送り込まれて、島での生活が脅かされることになると予見できたのではないか?だとすれば、どうして「やり過ごす」という最善の策をとらなかったのか?あるいは、とれなかったのか?
島は荒涼としていて、ろくな植物も育ちそうにないが、やぎ一匹と釣った魚だけで、どうやって20人もの人間が食べていけるのか?
フラウ・ボウやカツ・レツ・キッカまで、島に行く必要はあったのか?なんの見せ場もないまま撃破されるガンキャノンや、損壊するスレッガーのGMは、何のために出てきたのか?単なるやられキャラだとしても、ガンダム1機を救出するのに、被った損害が大き過ぎやしないか?
ジオンは、弾道ミサイルの発射施設を、ドアン一人に管理させていたのか?もし、ドアンが反乱を起こして施設を占拠したのであれば、ジオンは、大規模な部隊を送り込んで、全力でその奪還を図るのではないか?
ドアンは、島がジオンにとっての重要な戦略拠点であることを知りながら、誰にも邪魔をされずに、子供たちと平穏に暮らせると思っていたのか?そもそも、なぜ、そんな島に、子供たちと住んでいるのか?
ドアンは、なぜ、弾道ミサイルを無力化したのか?そのことと、島の子供たちを守ることとは、何の関係もないのではないか?ドアンのやったことは、(連邦にとっては都合のいい)ジオンに対する妨害工作でしかないのではないか?
いずれにしても、物語としては破綻しているとしか考えられず、せっかくのアニメーションのレベルの高さが、作品の質に結び付かない残念な例になってしまったと思わざるを得ない。

tomato