劇場公開日 2022年6月3日

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「「ファーストガンダム」で1話完結の「ククルス・ドアンの島」だからこそ実現できた、新しい劇場版ガンダムの形。」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「ファーストガンダム」で1話完結の「ククルス・ドアンの島」だからこそ実現できた、新しい劇場版ガンダムの形。

2022年6月3日
PCから投稿

「機動戦士ガンダム」が放送開始から43年を経ても、これだけの認知度があるのは、いかに革新的なアニメーションなのかを物語っていると思います。
これは、モビルスーツというロボットの魅力的な形を作ったり、アムロ・レイやシャア・アズナブルといった代表的なキャラクターが生まれたことも大いに関係があるのでしょう。
これらの有名キャラクターが、現在も「名探偵コナン」などの作品に大きな影響を与えていることを知らない人もいるのかもしれません。
この最初の「ファーストガンダム」以降に、様々な「ガンダム」シリーズも生まれましたが、やはりこの「原点」となる「ファーストガンダム」の人気がダントツに高い現実もあります。
ただ、「ファーストガンダム」の世界観を描くと、自ずとキャラクターデザインは制約が出てしまうため、最新の「閃光のハサウェイ」と比べると「時」の流れを感じてしまうのは仕方のないことなのでしょう。
とは言え、本作では特にモビルスーツの描き方を中心にかなりクオリティーが高くなっています。
そして、見慣れてくると、キャラクターデザインも自然な感じに見えてきます。
「思い出補正」という概念があり、人は昔のことを知らず知らずに美化してしまう面もあります。これは、私も気を付けているつもりですが、やはり「ファーストガンダム」では「思い出補正」をしているのだと思います。「以前見た時はもっとキャラクターデザインが魅力的だった」と思ったりしますが、改めて当時の映像を見てみると、「43年前の映像」という現実が如実に出ていて、本作ではかなり現代化したのだと判断できます。
本作は「シン・機動戦士ガンダム」とも言える作品で、「ファーストガンダム」の1話(第15話)が独立した内容で題材も良いため、これをリメイクし108分に拡大しています。
私はこのリメイク構想は成功したと考えています。1つの作品として魅力的にするため時系列を無視したり、「ドラゴンボール」のようにユーモアを取り入れるのは作品のメリハリをつける上で良いと思っています。
物語自体も軍のエースパイロットが戦場で「護るものを変える」という深いもので、ククルス・ドアンが後半でアムロに問いかける言葉や、アムロが最後にククルス・ドアンに提案する言葉の重みは、本作を名作へと昇華させています。
本作のように独立した物語はまだあるので、それの映画化も期待したいです。

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細野真宏