ドント・ルック・アップのレビュー・感想・評価
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仰天エンドに深い衝撃
観終えた時、ふと「マーズ・アタック!」を思い出した。不条理で壮大な人類の危機、コミカルなタッチであぶり出される人間の愚かさ、それと豪華キャスト。大好きな作品だ。
中盤までは結構グダグダなノリが続く。ミンディ博士とケイトが訴える巨大隕石の警告を、大統領は政治の道具にしようとし、ワイドショーはゴシップネタと同列の扱い。一向に隕石襲来の危機感が伝わらない。
そもそも博士とケイトもすぐ取り乱したり不倫に手を出したりと、ちょっと余計な挙動が多い。そんなことしてる場合じゃないでしょう。6ヶ月のタイムリミットは、見ていてじれったくなるほど無為に過ぎてゆく。
アルマゲドンのパロディっぽいネタやらGAFAのCEOを何人か混ぜたようなスマホ会社社長やら出てくるのは単純に面白かったが、基本的にはどこまでも皮肉たっぷりの描写で冷笑を誘う感じだ。アリアナ・グランデが朗々と歌うあたりまでは、正直ちょっと盛り上がりに欠けるなーなんて思っていた。台詞や会話の呼吸の途中でばっさり切って次にいく、という編集が多かったせいもある。
それが終盤、まさか本当にマッケイ監督、やってしまうのか!ディカプリオもいるのに!(?)てな空気になってからの飛ばし具合は、痛快の一言。愚かな人間達の末路。比較的良心的な人達はある意味救いがある。一方メリル・ストリープの扱いが本当に酷すぎて(誉め言葉)爆笑。
ラストで私の本作への評価はジャンプアップした。エンドロール後のおまけもあります。
この作品で描かれた人間達の反応は、よく考えるとかなりリアルだ。
誰もが正常性バイアスの中にあって理解出来ないものを軽視し、隕石を自分の目で見るまで危機感を覚えない。見えた時はもう遅いのに、手遅れになるまで現実を直視出来ない。
権力者は危機をも政治の道具と捉えて「上を見るな」と言い、群衆はそれに簡単に扇動される。確実な方法を取らなければ命に関わる局面で、資産家は隕石のレアメタルに目が眩む。
似たような状況は、既に過去の別の危機の中で断片的に現出していたのではないか。
「上を見るな」この言葉をタイトルにしたのは強烈な皮肉だ。真実から目を反らせ、とでも言い換えられそうだ。鋭い諷刺の刃の切先は、登場人物の愚かさを他人事のように笑っていた私にも向けられている気がした。
隕石とは限らないがいつか本当に世界が終わるとしたら、こんな風に混沌として人類がバラバラなままの、終わる覚悟が出来ていない雰囲気の中で終焉を迎えるのかもしれない。
それにしても、役作りだろうが(…だよね?)すっかりだらしない体型になってオーラを消し朴訥とした研究者と化したディカプリオ、クセが強い話なのにこれだけ豪華メンツでやたらお金のかかりそうな絵面の作品を撮ってしまうNetflix、相変わらずすごい。
Anchorman and Vice Strewn Together
This overwhelmingly anecdotal environmental sci-fi thriller comedy is masterful in combining genres to make for one humorous modern Twilight Zone episode. The films lead stars give the film a serious side while the Trump era administration caricatures in the White House comprise a twist of dark satirical comedy and Satanic reality. DiCaprio leads the (pre-credits) end with Titanic finesse.
2021年を象徴する“今”がこれでもかと詰まったブラック・コメディ
最低最悪なことがどれだけ進行していても見ないふりをしていたい大衆心理、そのためならどんな不合理な陰謀論にも乗せられる人間の愚かさ、それを利用する政治や資本家の厚顔さ、すべてが現在進行系の現実そのままだと感じさせる切迫感。本当に笑うに笑えないブラック・コメディで、ただただ悄然とする以外にこの映画の鑑賞法はないのかも知れないとさえ思う。
とはいえ初回は笑わせてもらったし、二回目は腐った現実の代わりにフィクションでこの世界を焼け野原にしてくれたカタルシスに感動して泣いたし、三回目はもはや達観レベルで水のようにサラサラと自分の中に入って流れていった。観るたびに違う顔を見せてくれる多層的な映画であり、ハリウッドの現在最強のスターたちによる最高の悪ふざけだとも思う。
ディカプリオの演説は当然『ネットワーク』だろうし、実際ディカプリオ本人のたっての願いだったそうだが、あの渾身の熱演をぶった切る乱暴さもさすがアダム・マッケイだと思う。最高。
気候危機、トランプ政権、パンデミック…狂っていく世界を“彗星”に託して笑いのめすブラックコメディ
これまで報道、金融、政治といった特殊な業界の現実や裏側を描いてきたアダム・マッケイ監督が、今度はなぜSF? と観る前は疑問に思ったものだ。だが、監督はSFディザスタームービーを撮りたいわけではなかった。
インタビューで語っているが、着想の原点は、2019年にデイビッド・ウォレス・ウェルズ著『地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実』を読んだことだったという。温暖化という危機に今行動を起こさなければ、地球はとんでもないことになる……それを人々に理解してもらうにはどうしたらいいのか。そう考えながら構想に着手し、あるときジャーナリストのデビッド・シロタ(本作の原案に名を連ねている)との会話で、温暖化への今の対応は「彗星が地球に衝突しても、誰も気にしないようなものだ」という例えを聞き、これなら映画になる!と確信したそうだ。
レオナルド・ディカプリオが演じる天文学者とジェニファー・ローレンスの大学院生がホワイトハウスに急遽呼ばれるあたりまではSFサスペンスっぽい導入だ。しかし、半年後に彗星が衝突するというのに、延々待ちぼうけを食わされ、ようやく大統領に直訴できてもまともに取り合ってもらえず、ボンクラ息子の補佐官はさっぱり役立たずだし……というあたりで、ああこれはトランプ政権時代の悪夢を笑いのめすつもりだなと合点がいく。
マッケイ監督はまた、脚本執筆中にパンデミックが起き、現実のディザスターが世界規模で広がっていくのを目の当たりにしたことで、脚本にクレイジーさが足りないと感じ、当初のものより「15%クレイジーさを足した」と語っている。コロナ禍による世界の混乱ぶりもまた、本作の笑いに反映されたわけだ。
いやはやそれにしても、出演陣の豪華なこと。元々はパラマウント配給の予定だったそうだが、2020年2月にNetflixが配給権を買い取ったことで、おそらく俳優の出演料にあてられる予算が潤沢になったからだろう、それ以降続々と大物スターのキャスティングが決まっていった。Netflixの勢いを感じさせる一本でもある。
環境問題が巨大彗星に形を変えて地球を破壊しに来る!?
巨大彗星が地球に向かって突進して来ていることを、何とかして周知させようと奔走する天文学者とその教え子。しかし、政府にもメディアにも全然危機感なし。これ、一昔前ならば、例えばアメリカ大統領が緊急事態宣言を発令し、人々が安全地帯に向けて逃げ惑うディザスタームービー&ヒューマンドラマにもなり得ただろう。『アルマゲドン』『ディープ・インパクト』等々。しかし、まじめに地球の未来が危機感を持って語られる今はそうは行かない。巨大彗星が環境破壊の象徴にも、または、パンデミックにも置き換えられるからだ。
アダム・マッケイはそんな全く笑えない状況を、逆にブラックな笑いに転嫁することで観客の危機感を増幅させる。まさに、笑いながら震えるの極致だ。
勿論、オスカー受賞者を多数揃えた配役は映画ファンのお楽しみだ。無責任な大統領を演じるメリル・ストリープ、冷酷なTVキャスターのケイト・ブランシェット、環境活動家のグレタ・トゥーンベリを彷彿とさせる大学院生を演じるジェニファー・ローレンス。そして、危機を周知させるつもりが喧騒に取り込まれ破綻していく天文学者役のレオナルド・ディカプリオ。これは環境保護をライフワークにしているディカプリオにとって、運命的な1作だったに違いない。
ディザスターSFと思いきや
ドント・ルック・アップ
空を見て、目を逸らさないで
最初はただのパニック映画かと思っていましたが、気づけば笑えないほど現実的で、むしろホラーのように感じました。
彗星が地球に衝突するというシンプルな設定なのに、そこに映し出されるのは「見ようとしない人間たち」の姿。ニュースもSNSも、全部が現実から目をそらすためのエンタメに変わっていくのが恐ろしくて仕方ありませんでした。
皮肉や風刺が強い作品ですが、テンポがよくて誰でも見やすく、笑っているうちに背筋が冷えるような感覚になります。セリフの一つひとつが鏡のようで、笑いながらも「自分も同じかもしれない」と思わされました。
映像も美しく、静かな絶望を感じさせるカットが多く、最後まで飽きずに見られます。
コメディと社会批判をここまで自然に混ぜ合わせた映画はなかなかありません。
何かに対して目をそらしてはいけないと思わせてくれる作品でした。
皮肉たっぷりだが考えさせられる
地球滅亡の危機を目前としながらも、アメリカ大統領にとっては中間選挙、ニュース番組司会者にとっては視聴率という具合に、つい自身が直接関係している目の前のことに目線が向いてしまうあたり、やはり皆、等しく人間なのだなとクスリと笑ってしまった。
映画「アルマゲドン」のように核弾頭を搭載して彗星を破壊する動きで、ようやく地球救済の動きが出てきたと思ったら、資本主義者と言うかグローバリストと言うか、地球の運命と天秤にかけて、彗星に眠る膨大なレアメタル欲しさに計画を中止に持ち込んでしまうところが現実的で、笑うに笑えないところが面白い。
きっと現実世界には、今回の作品とは内容は違えど、似たり寄ったりのことが多く起きていて、昨今の世界的な反グローバリズムを見ると皆も感じているのかなぁって思った次第。
最後のオチも含めて面白かったです!
『アルマゲドン』をパロッたトランプ批判
2021年のコロナ禍で公開されたため、日本での公開は殆ど無く、Netflixで配信された、レオナルド・デカプリオ主演作品。6か月後に、彗星が地球に衝突する事を発見した、天文学者とそのインターンが、その危機と衝突回避に向けて東奔西走する物語。『アルマゲドン』をパロッたようなストーリーだが、狂い始めている現代社会を、ブラック・ユーモアを交えたコメディー・タッチで描いている。
そのブラック・ユーモアの背景には、トランプ政権に対する皮肉が色濃く表れていると言える。大統領こそメリル・ストリープが演じる女性大統領だが、アメリカを分断した弱者に振りかざした権力と傲慢さ、そして、そのバックの資金源にイーロン・マスクの様なIT企業の大富豪がついている等、トランプ政権そのもののシチュエーション。彗星衝突の危機回避より、自分第一主義的の言動による、どうしようもないアメリカ大統領を投影している。
天文学者ランドールの教え子のケイトは、新しい彗星を発見したが、その進路を計算すると、地球への衝突コースにある事が判明する。その衝突危機を世界に発信しようと、アメリカ大統領との対談やテレビ番組へと出演と東奔西走するが、全く相手にされず、空回りに終わる。しかもケイトは、SNSで狂人扱いされ、世間からつま弾きとなって行く。そんな折、ようやく事態を呑み込み、思い腰を持ち上げたアメリカ政府だったが、大統領のパトロンの打算によって、思いもよらない衝突回避の方向転換を図っていく。
衝突6か月前だと言うのに、こうした作品ではよくある緊迫感や緊張感、危機感はな全く無く、むしろ、クスッと笑えるユーモアやブラック・シーンが先行していく。しかし、クライマックスの衝突シーンは、それまでの流れとは一変、パロディー作品には似つかわしくない終末を迎える。但し、その後のラストのラストは、しっかりと笑いを取ってクレジット・ロールを迎えた。
本作の凄さは、その出演者の豪華さにある。主演のレオナルド・デカプリオ、ヒロイン役のケイトには、『ハンガーゲーム』のジェニファー・ローレンスが演じている。しかし、その脇を固めるのが、ケイト・ブランシェット、メリル・ストリープ、ティモシ―・シャラメ、ロン・クーパー、マイケル・チクリス、クリス・エバンス、そして世界の歌姫アリアナ・グランデまで出演。一人でも主役を演じられる豪華俳優陣が総出演となっている。
非現実とは言えなくなってきてないか?
天体衝突物といえば、
ディープインパクトやアルマゲドン、
地球最後の日あたりかな?
当時見たころは、
最後の日は何するかなぁとか
こうすれば回避できるんじゃないかなんて
素人ながらに考えてもみたが、
いずれも「フィクション」として観てた。
もちろん今作もエンタメではあるのだが…。
なんだかそれでは片付けられない時代に
なってきたような…。
惑星消滅に比べれば、
ウイルスによる人類半減も、
戦争勃発も文明破壊も
国家消滅も、
そして自分がいなくなってしまうことなんかも、
「たいしたことない」って
思えるのだろうか。
そんな日が間近に迫った時、
「ルックアップ」と叫び
現実に対して抗い続け地獄の正解を
生き続けようとするのだろうか。
それとも
「ドントルックアップ」と叫び、
現実に目を背け、他力本願で
私利私欲の妄想を夢見るのだろうか。
いまのところ、
私にはまだ答えが出せない。
こんな映画が埋もれてた
アメリカは政治を絡めた自国批判の映画が本当にうまい
巨大彗星(すいせい)が地球に衝突する可能性を必死に訴える2人の天文学者。だが、情報が氾濫する世界では、誰ひとりとしてその警告に耳を貸そうとせず...(公式サイトより)。
「毎日、人類の危機に関する報告が来る」と辟易するメリル・ストリープ演じる大統領閣下は、選挙を控え、権力死守にしか興味がなく、メディアは視聴率争いと過剰なコンプライアンス意識から極端に楽観的なスタンスで物事を報じ、SNSは虚実が入り混じった情報空間でファクトチェックも科学的考察もへったくれもない。当初は天文学者としての使命感に燃えていたディカプリオ演じるミンディ博士も期せず時の人となりうっかり選択を誤り、彗星の発見者であるジェニファー・ローレンス演じる大学院生のケイト・ディビアスキー(彗星の名前はディビアスキー彗星)は狂人扱いされ、虚無化する。
本作を「フィクション」と一笑に付せるほど現実が健全かというとそんなことはないわけで、「シビル・ウォー」のようにシリアスではなく、「アメリカン・フィクション」のようにコメディタッチで描いてくれてほっとするが、アメリカは政治を絡めた自国批判の映画が本当にうまいと思う。日本映画にはあまり見かけないジャンル。
2時間20分を超えるまあまあな大作だが、エンタメ的な要素、テンポの良いストーリー展開でそこまで長さを感じさせない(が、もうちょっと短くできたかもしれないとも思った)。製作陣は遅々として進まない気候変動対策への警鐘と本作を位置付けており、公開時は団体とタイアップしてキャンペーンをサポートしたとのこと。しかし、「ROMA」がアカデミー賞を獲った2018年の衝撃から、Netflixオリジナル作品がわずか数年でこんなオールスターキャストの映画を次々と世に送り込むようになるとは、予想だにしていなかった。
地球の危機をド派手なブラックジョークで包む
リアルなのかブラックなのか
ジワジワと近寄る〈人類滅亡の危機〉! 彗星よりもジワジワなのが地球...
ジワジワと近寄る〈人類滅亡の危機〉!
彗星よりもジワジワなのが地球温暖化だ。
コメディー色とディストピア感のバランスが絶妙で〈楽しめる方〉と〈恐怖する方〉のバランス感覚が奇妙なくらいに絶妙に演出している。その感覚はまさにアメリカ的で、多分 舞台となる国が違うとテイストが変わるのだろう。
日本人でアメリカ映画を沢山観てきた私は観てて〈恐怖する側〉になった。
〈見ないふり〉が楽だけど危機が目前まで迫って来ると、慌てふためく人々や、理性を捨てて脱線する人々も絵描く。全てアルアルな出来事だ。たぶん。
〈現実を見上げよう〉の考えの人々だと、最後に何をするか?、誰と過ごすのか?、自分だけ生き残れる術はないか? 等など「怖楽しい」(こわたのしい)。
まさにタイトル通りの主張が全編にあって、良い意味でイライラさせられる。
しかもイライラ・キャラのほうが多くて皆が大御所俳優なのでたちが悪い。
しかし主人公2人も凄く人間的で駄目駄目な部分をしっかり描く。
「人生 楽しめた勝ち」って感じの映画。
マスコミ民主主義の弱点をつく作品。 大衆の心理とは何か。
ディカプリオ作品は基本チェックするので。
やはり、観ました!
面白いエンタメ作品でした!
ディカプリオが演じる[男のダメな所、クズな所]いつも好きです笑
作品が貫くテーマとして、
【人は真実を見ようとしない。】
政治はポピュリズム。
政治は非合理。
政治は愚かだ。
それを揶揄した映画でした。
確かにこのようなシチュエーションになった時、
世界は、世論は、大衆心理は
こうなるんだろうな。
という感じがした。
政治家の支持率、
マスコミの視聴率史上主義、
スポンサーへの忖度、
YouTubeの登録者数、
こんなくだらん『人気取り』は
神の目、大宇宙の真理からすれば、
砂つぶにもならない。
太陽とアリ。
科学で解明されていない宇宙の神秘、人間の可能性、本当にまだまた知らないことだらけ。
『目に見えるものがすべて』だと勘違いしている人が多い気がする。
目に見えないもの、小さな脳で理解しえないものは全て否定。ちがうだろ。
信仰や霊界、神仏、こういったものを面白ろおかしくする風潮は良くない。
科学万能だと勘違いしている人類はもっと『謙虚』にならないといけない。
そう思わせてもらえた映画でした。
映画最高!
全211件中、1~20件目を表示















