劇場公開日 2021年12月10日

「『アルマゲドン』をパロッたトランプ批判」ドント・ルック・アップ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 『アルマゲドン』をパロッたトランプ批判

2025年9月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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楽しい

驚く

2021年のコロナ禍で公開されたため、日本での公開は殆ど無く、Netflixで配信された、レオナルド・デカプリオ主演作品。6か月後に、彗星が地球に衝突する事を発見した、天文学者とそのインターンが、その危機と衝突回避に向けて東奔西走する物語。『アルマゲドン』をパロッたようなストーリーだが、狂い始めている現代社会を、ブラック・ユーモアを交えたコメディー・タッチで描いている。

そのブラック・ユーモアの背景には、トランプ政権に対する皮肉が色濃く表れていると言える。大統領こそメリル・ストリープが演じる女性大統領だが、アメリカを分断した弱者に振りかざした権力と傲慢さ、そして、そのバックの資金源にイーロン・マスクの様なIT企業の大富豪がついている等、トランプ政権そのもののシチュエーション。彗星衝突の危機回避より、自分第一主義的の言動による、どうしようもないアメリカ大統領を投影している。

天文学者ランドールの教え子のケイトは、新しい彗星を発見したが、その進路を計算すると、地球への衝突コースにある事が判明する。その衝突危機を世界に発信しようと、アメリカ大統領との対談やテレビ番組へと出演と東奔西走するが、全く相手にされず、空回りに終わる。しかもケイトは、SNSで狂人扱いされ、世間からつま弾きとなって行く。そんな折、ようやく事態を呑み込み、思い腰を持ち上げたアメリカ政府だったが、大統領のパトロンの打算によって、思いもよらない衝突回避の方向転換を図っていく。

衝突6か月前だと言うのに、こうした作品ではよくある緊迫感や緊張感、危機感はな全く無く、むしろ、クスッと笑えるユーモアやブラック・シーンが先行していく。しかし、クライマックスの衝突シーンは、それまでの流れとは一変、パロディー作品には似つかわしくない終末を迎える。但し、その後のラストのラストは、しっかりと笑いを取ってクレジット・ロールを迎えた。

本作の凄さは、その出演者の豪華さにある。主演のレオナルド・デカプリオ、ヒロイン役のケイトには、『ハンガーゲーム』のジェニファー・ローレンスが演じている。しかし、その脇を固めるのが、ケイト・ブランシェット、メリル・ストリープ、ティモシ―・シャラメ、ロン・クーパー、マイケル・チクリス、クリス・エバンス、そして世界の歌姫アリアナ・グランデまで出演。一人でも主役を演じられる豪華俳優陣が総出演となっている。

bunmei21