「人類最期の物語」ドント・ルック・アップ こうばしいさんの映画レビュー(感想・評価)
人類最期の物語
人類はコミュニケーションができたからこそ、繁栄ができたとどこかで聞いたことがある。自然環境や外敵などに、皆で協力して問題に対処できたからだと。
結果、共通認識しやすい危機は激減した。しかし、認識と相性の良くない物事についてはどうだろうか?瞬きの暇もないあっという間に起こる危機、変化がなく思えるほどじわじわゆっくり起こる危機。そして誰も知らない密室が絡み合って進行する人的危機。
認識できないため、一人一人は事実を誤認する。目についた共通誤認に身を委ねて満足する。それを横目にひと握りの権力者の考えが、社会全体の意思決定として強行される。その結果が全ての人に降りかかり、危機がはっきり認識できた時にはあとの祭り。
コミュニケーションで繁栄した人類は、コミュニケーションで自滅する。滑稽で恐ろしい、人類の最期。それを提示してくれる、現代人が観ておいて損はない映画。
今の世界情勢を思うと、フィクションだと笑うことはできない。社会のありように向き合うことは、大事。
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