「見上げてごらん夜の星を」ドント・ルック・アップ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
見上げてごらん夜の星を
天文学者のランドールと教え子の大学院生ケイトは巨大な彗星を発見する。
そして、それはほぼ100%の確率で地球に衝突するという衝撃の事実も発覚した。
2人は大統領やメディアにその緊急性を訴えるが、現実離れした話にちゃんと取り合って貰えない。
半年後の衝突までに人類は最善策を取って生き延びることが出来るのか。
ネトフリ未加入なので劇場で。
よく作ったな、この作品。
皮肉に皮肉に皮肉。
確実にあの人やあの企業のことを言っているでしょ、みたいなのが大量発生していて、訴訟もんのブラックジョークにある意味ヒヤヒヤしながら観た。
先日直径1キロ近い小惑星が地球に再接近するというニュースがあった際に、この映画がよく話題に上がっていた。
実際自分はあの時、もしかしたら地球が滅亡するんじゃないかと危惧していたので、この映画は非常に現実的で恐ろしかった。
無事軌道を外れたので今こうして生きているけれど、いつその非常事態が来るかは分からない。
確かに死は怖い。
だけど、地球に産まれた以上地球で死ぬ覚悟はいつだって出来ている(と虚勢を張ってみる)。
・文系VS理系
文系の自分は理系の学者を見下している節があると気付き、また自分が嫌になる。
最初の大統領たちのように、専門用語ばかりで数字に厳しく正確な学者の話を鼻で笑っている自分を見つけたから。
・闇堕ちサイエンティスト
メディア出演が増え、広告塔になったり、政府の言いなりになったり、少しずつ道を踏み外していく学者たち。
ランドールは不倫、ケイトもストレスから問題を頻発させる。
そう考えると、本当に尾身さんとかよくやっているなと。
・Just Look Up VS Don't Look Up
一つの国家、はたまた世界が2つに分断される構図は、まさに米大統領戦。
歌手が支持を表明したり、経済至上主義だったり、家族を使った演説だったり、SNS炎上を逆手に取った支持率アップだったりが、まさについこの前のアレで…
メキシコをチリに置き換えてるし笑
・現代アメリカや現代世界へ向けた強烈な批判
SNSによる社会的影響、GAFAの台頭と侵略、AIによる情報管理、差別問題などなど、本当にこんな赤裸々に描いていいのかと思うようなブラックジョークの数々。
今のSDGsの取り組みも、隙あらば利益を得ようとする劇中のBASH社のようになってませんか?
アメリカ人はヒーローが好きだから、わざわざヒーローを用意するっていうのも、思いっきり刺さってそう。性格悪〜w
・豪華キャスト
ディカプリオが見れば見るほどディカプリオに見えなくなってくる。
メリル・ストリープの某〇〇〇〇風大統領もハマり役だった。
問題発言しちゃう時代遅れのロン・パールマンも良き。
アリアナ・グランデさすが歌ウマ‼︎
ティモシー・シャラメは今回も存在感抜群、チョイ役かと思ってた。
・万物破壊
彼らのあの最期の晩餐が1番多幸空間だった。
金と権力を纏っていた奴らが冷凍保存で生きながらえたとしても、なんとも滑稽な生まれたまんまの姿でブロンテロックに食われるのがオチ。
地球最後の男になってしまった息子くんなんか、もっと哀れ…
自由の国アメリカ。
こんなものが作れてしまうのがNetflixなのか!
猛毒なので人は選びそうだけど、色々とすごい映画だった。
こんな気持ちで劇場を後にすることもなかなかない。
隕石よ、
いつでも“ドント”来い(来るな)!