「地球壊滅を丸々コメディにした英断に感心。ここで言うコメディとはおふざけという意味ではなく、真実を直視しようとしない人間の愚かさを思い切り御猪口っているから。」ドント・ルック・アップ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
地球壊滅を丸々コメディにした英断に感心。ここで言うコメディとはおふざけという意味ではなく、真実を直視しようとしない人間の愚かさを思い切り御猪口っているから。
①ケイトが「そんな部署、ホントにあるの?」と言ったら「『The Planetary Defenece Coordination Office is a real place. 』(実在します。)」と画面に表示された時に、この映画は面白くなる、と直感した。②当代の映画界を代表する大女優のメリル・ストリーブとケイト・ブランケットとがお馬鹿な役を嬉々として大真面目に好演。メリル・ストリープをちょっと見直した。③メリル・ストリープと、第2のメリル・ストリープと呼ばれていたジェニファー・ローレンスとの共演が面白い楽屋落ち。私はジェニファーの方が好きですけど。④ジェニファー・ローレンスは相変わらず上手い。彼女のコメディアンヌとしての特徴は本人が真剣であればあるほど周囲とズレが生じてくるところだと思うのだが、地球壊滅の危機を深刻に受け止めて必死になっているのに周りが真剣に受け止めてくれないことにキレてしまいビョーキ扱いされるケイトにはピッタリだ。これが、同じく達者なコメディアンヌだけれどもエマ・ストーンが演じたら随分映画の印象は変わった筈。⑤こういう映画は少しでも演出が弛んだり脚本におかしなところがあれば直ぐに馬鹿馬鹿しくなってしまうリスクがある。その点、本作は演出もテンポが良いし脚本にも大きなミスもない。然し、それ以上に映画を見続けたいと思わせるのがレオナルド・ディカプリオの大好演。うだつの上がらなかった大学教授が何故かマスコミ受けし、アメリカで一番セクシーな科学者等と浮かれ上がった挙げ句、浮気までしてしまう。最初はケイトと同じく人々に真実を伝えようと必死になっていたのにいつの間にか迷走していまう男を深刻に演じている筈なのに何故か可笑しい。そう、コメディを成功させるには本人は真剣だけれども周りから見れば可笑しい、という高度な演技が必要なのだ。二人の大きな子供を持つというオッサンを演じるようになっちゃったんだなァ、デビュー時から見ているこちらとしては感慨ひとしおだが、『Once Upon a Time in Holywood』といい本当に良い役者になったものだと思う。⑥ステーヴン・ジョブスや新SNS機器開発者を御猪口ったような唯我独尊の天才オタクを演じるマーク・ライアンスの、映画のテンポと微妙にずれているような口跡も何故か可笑しい。