「アメリカという国を、上から下まで皮肉り倒す」ドント・ルック・アップ ちんさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカという国を、上から下まで皮肉り倒す
2021年 12月30日
映画館で観たかったのですが、見損ねたと思っていたら、Netflixに登場したので鑑賞。
レオナルド・ディカプリオが大好きなので、ワクワクしていました。
■映画全体の感想
とにかくアメリカという国を、これでもかというくらい皮肉っています笑
政治家への皮肉だけではありません。政治家に良いように転がされている国民への皮肉も満載です。
地球の緊急事態だと言うのに、目の前の選挙や中国・ロシア、ポピュリズムに必死になっている姿は痛快です。
笑えねぇと思いながら笑ってました。
本当に彗星が地球に迫っていたとしても、こんな感じになるんだろうなぁと思いました。
映画全体として、ジャンルとしてはSFになると思いますが、ブラックコメディの要素が強く、楽しく鑑賞できます。
■印象に残っている場面
映画全体を通して、国民の危機感のなさが印象的でした。
彗星が地球にぶつかろうとしているのに、ケイトとミンディ博士以外は全く危機感がありません。
大統領は中間選挙とスキャンダルの払拭で頭がいっぱいどころか、彗星を選挙や中国ロシア対策に利用しようとする始末。
頭の弱いポップ歌手はマナティと彗星を紐付けて歌を出す。
国民はシャベルの値段や、上を見るのか下を見るのかを気にしたり、祈り始めたり、全く現実が見えていませんでした。
現実に起こっていることが頭の処理能力を超えて、身近な事柄に矮小化するしかないのだろうなぁと思いました。(日常性バイアス的な?)
■映画を観て思うこと
ミンディ博士は、最初は自分がチヤホヤされて正気を失いかけますが、終盤で正気に戻り、テレビで叫びます。
以前アメリカのニュース番組を皮肉った映画がありましたが、アメリカのニュース番組は真実を伝えるという意識よりは、いかに大衆を操るのかに主眼があるように思いました。
メディアをつかった政治的なポピュリズムは当たり前になりました。みんな自分は操られていないと思っているけど、実は手のひらの上で転がされている、思考停止した大衆に成り下がることに安住しているように感じます。
本作は彗星が地球にぶつかるというテーマでしたが、問題はそこではなく、如何に政治家やメディアに報道する内容にメディアリテラシーを持って生きることができるかが問われています。
この映画を観てそのように思った私もまた転がされているのかもしれませんが、、、、笑