劇場公開日 2021年11月12日

  • 予告編を見る

「今週(11/12)は作品数が少ないので本命~準本命になりそうだけど…。」アイス・ロード yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今週(11/12)は作品数が少ないので本命~準本命になりそうだけど…。

2021年11月13日
PCから投稿

今年174本目(合計238本目)。

大阪ステーションシネマさんで2本目(10分差)。
この映画はストーリーとしてはものすごく単純で、いかに基地に「カギになるアイテム」を届けるか?という、とても単純なストーリーになっています。ただ、それで100分近く描くのは無理なので色々ひねりも入っていますが、そのストーリー(氷上を走る車の話)で、突然隕石が落ちてきたり宇宙人が出てきたりするのも支離滅裂なので、その「ひねりの筋」もだいたい予想はできて、その通りになってしまいます。
それを良しとするか「ひねりなし」にするかは微妙なところですが、今週はアニメ作品枠がないようで(?)、ストーリーの筋のわかりやすさも手伝って、お子さんと見に行くなら結局本作品ということになるのだと思います。

ストーリーの筋というのはもう単純すぎて、しかも上記に書いたように「ネタバレとなるひねり」もわかりやすいため、何がネタバレで何がネタバレでないのかというのも簡単なのですが、とはいえ、まだ公開2日目なので、余り多くは書かないことにします(とはいっても、多くの方は開始30分くらいで、「ふーん、なるほどね…」ということになると思うし、それで当たっているし、ひねりのひねりというのはないので、「混乱する度合い」というのはほぼほぼないと見て差し支えないです)。

一方、やはり下記(採点)において気になるように、妙に混乱する部分や疑問点もないわけでもなく、そこは少し気になりました。

------------------------------------------------
(減点0.2) この映画は「アイス・ロード」です。ストーリーは上記に書いた通りです。ただ、それ「だけ」だと余りにも味付けがないので、色々工夫はされています。その中で、やはりわかりにくい点があります。

多くの方が書かれている通り、登場人物の中には「通院を必要とする病気」を持っている方がいます。その部分は(日本でいうところの)心療内科・精神科などとして描かれるのですが、医師が突然「502条に従って処理した」という謎の表現をするところがあります。502条って何なんでしょうか…(法律名や州法など一切登場せず、ただ単に「502条」と言ってくる)。

 どうにもわからないので終了後色々調べてみたのですが何に相当するのか不明で、まぁ、ストーリーの筋からすると、自然と思われる解釈は、「緊急時には、保護者(や、後見人など。日本では、精神疾患をお持ちの方などにつく、当事者のサポートをする方)の同意なく、医師の判断で治療ができる」という趣旨の条文が書かれた法律なのではないか(実在する法律か架空の法律かも不明)と思うのですが、ここがかなり混乱します(突如こういう話を始めるので、シアター番号が間違っているか不安で、スマホで(大阪ステーションシネマは、スマホでチケットがネット予約できます)シアター番号を確認していた方も数名いた模様)。これはもう帰責性は低いと思います(正直、突如そういう話をするので、別の映画の字幕と混ざっている放送事故ではないかと思ったくらい)。

(減点0.2) もはやネタバレでも何でもないですが、本映画は結局のところ「氷上での車の移動」というのがテーマになっています。それだけではなく、色々なもの(救助道具や、救急箱、その他。ネタバレになるのでそれ以外は省略)を投げたり、滑らせたりする描写があります。

ここで気になったのが、「氷上でものを滑らせる描写」です。この映画の舞台はカナダです。カナダといえば、リアル世界では、冬季オリンピックの正式種目、カーリングの強豪国です(メダルの数も一番多い)。カーリングの物理理論は完全に解明されていないように、「氷上で物を動かしたときの動き」は、理論通りになるとは限りません。カーリングのようにブラッシングしない場合でさえも、氷上では摩擦関係が複雑なので、理論通りにはならないのです(だから、大学入試の物理でもこの論点は出題ミス指摘が続出するので、氷上で物を動かすという問題設定は、難関大学まで含まてほぼ見ない)。

ただ、ストーリーとしては「温度がこれ以上を超えると氷がとけてしまう」とか、「氷がとけても移動ができるように車間間隔をこの程度にする」といった科学的な話は出てくる割に、この話(氷上で物を動かしたときの話)は一切出てこず、この点(カーリングは日本でも有名なので、知っている方も多いはず)を気にすると、中途半端な状況になってしまいます。
ただ、その話を厳密にし始めると、一気に微分方程式論がどうとかという話になってしまうので仕方がない点もあり、「どこまで厳密に描写するのか」という点は微妙かなぁ…とは思います(要は中途半端であり、物理的な話も一部出るので、出すなら全部出す、出さないなら全部出さないで統一しないと、要は大人の事情でそういう複雑な理論は全部オミットしたということを察知しろ、という点を理解しないとどうしようもなくなる)。

-----------------------------------------------

yukispica