「TRUCK TRUCK TRUCK」アイス・ロード おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
TRUCK TRUCK TRUCK
鑑賞後に調べたのですが、本当にあるんですねアイスロード。冒頭で紹介されますが、厚さ80センチ程度の氷でできた道で、そこを巨大トラックで走るようです。国によっては、氷の厚さや走行速度に制限をかけ、安全を確保しながら使用しているようですが、30tの巨大トラックで走るなんて自分なら絶対ごめんです。
鉱山のガス爆発事故で地下に閉じ込められた作業員たちを救うため、重さ30tの装置を運ばなければならない。現地の滑走路は短くて輸送機はダメ、重すぎてヘリもダメ、残された輸送手段は陸路しかない。救出のために30時間以内に届けなければならず、春になって閉鎖中のアイスロードを使うしかない。本作は、そんな危険な仕事を引き受けたトラック運転手の話です。絶体絶命シチュエーションのなか、さらに暗躍する人物のおかげで、輸送は困難を極めます。
そんな物語の状況説明を序盤でテンポよく描き、あとはもうこれでもかというほど、考えられるすべてのピンチを盛り込んでいます。おかげで、息つく暇もありません。トラック同士の激しいチェイスやアクションも見応えがありましたが、それ以上におもしろかったのは氷上や雪上でのトラックの挙動です。トレーラー部分を巧みにドリフトさせての走行はなかなか見る機会がなく、とても新鮮でした。また、横転からの引き起こし、スタックへの対応、牽引、トレーラー内からの脱出等も、巨大トラックならではのシーンでおもしろかったです。できれば、運転席まわりや巨大トラックならではの特殊機能なんかも見られるとさらによかったです。
主演のリーアム・ニーソンは、70歳近い年齢にしてこのアクション!ロケも実際にカナダで行い、氷の浮かぶ水中にも入ったというので驚きです。一方で、不器用ながらも弟を思う姿も胸を打つものがありました。その弟ガーティ役のマーカス・トーマスも、PTSDを抱えた凄腕整備士を好演し、物語に奥行を与えていました。ヒロイン的ポジションのタントゥー役は、知らない女優さんで、先住民という立場が強調されつつも、それがストーリーにはあまり絡んでなかったような気がしました。しかし、後で知ったのですが、アイスロードは先住民にとってかけがえのない道のようで、彼女の存在も重要だったのかもしれません。
全体的におもしろい作品でしたが、ちょっとだけ残念だったのは、多少のご都合主義が気になったことです。ダイナマイトで氷が割れなかったり、ガス欠だったトラックが少量のガソリンでけっこう走ってたり、橋が落ちたのにマイクが反対側にすんなり渡れていたり、重傷だったはずのタントゥーがわりと元気だったりと、ちょいちょい引っかかる部分がありました。
それにしても、ガーティが気の毒でした。いじめられるわ、薬漬けにされかけるわ、殴られるわ、水に落ちるわ、トラックに押しつぶされるわで、なんだか切なかったです。ケンワースに乗せてあげたかった…。
若井さん、共感&コメントありがとうございます。レビューを上げておられないようなので、こちらに返信します。
「マイケルコリンズ」「シンドラーのリスト」ともに未鑑賞です。どちらも難しそうですね。でも、「シンドラーのリスト」はタイトルだけは知っていて、機会があれば観てみたいと思っていました。