劇場公開日 2021年10月8日

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「国岡を愛でる映画。」最強殺し屋伝説国岡 完全版 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5国岡を愛でる映画。

2022年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

「ベイビーわるきゅーれ」「グリーンバレッド」に繋がる阪元裕吾ユニバース第1作。Amazonレンタルで鑑賞。
「ベイビーわるきゅーれ」のシナリオ作りに悩む阪本監督が、「関西殺し屋協会」の紹介で京都最強と呼ばれるフリーの殺し屋・国岡昌幸の日常を追うフェイクドキュメンタリーで、殺し屋という職業がごく普通に日常に存在し、国岡も職業以外はごく普通の青年であることが、阪本監督のカメラを通して分かっていくし、国岡を始めとした登場キャラクターと阪本監督とのゆるいやり取りはとても楽しい。

一方で、フェイクドキュメンタリーという性質上、観客は「カメラマン」(本作では阪本監督)の視点を通して物語を観るわけだけど、ちょいちょい阪本監督以外視点が入ってきたり、「いやいや、そこのいたらダメでしょ」という無理のあるカメラ位置が気になるし、手持ち1カメでのアクション撮影ゆえか、せっかくの凄いアクションがショボく観えてしまう――というか「イップマン」オマージュっぽいアクション設計も「相手を倒す(目的を達する)為のアクション」ではなく「アクションの為のアクション」という感じがして(´ε`;)ウーン…と言う感じ。
正直その辺、阪本監督はあまり頓着がない様に見えるんだけど、もし潤沢な予算があったらアクションの見せ方は変わるのかな?

とはいえ、その辺の「ゆるさ」はそのまま国岡や他の殺し屋たち、また作品全体、もっと言えば阪本ユニバース全体のオフビートな空気感にも繋がっているように見えるので、これは「こういう世界観」として観るのが正しいのかもしれない。

殺し屋の世界を描く作品ということで「ジョン・ウィック」を連想する人も多いかもだけど、どちらかと言えばタイカ・ワイティティ「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」の雰囲気に近い。一言で言えば「国岡を愛でる映画」なんだと思う。

青空ぷらす