劇場版 からかい上手の高木さんのレビュー・感想・評価
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普通の恋愛ものならマルですが
原作、テレビシリーズがすごく良いので劇場版期待しすぎたのかもしれません。
劇場版で脚本をオリジナルにするとやはり山本先生の「高木さん」の特徴から外れてしまいましたね。
「西片、もういいから告っちゃえよ」「どうやったらこのシャイな二人が結ばれるんだろう」と作者の寸止めに翻弄されて悶えるのがこの作品の肝なのに、アニメスタッフは理解してなかったというところでしょうか。
告白したり付き合ったりするにしても西片も高木さんもストレートなやりとりはしないはず。
脚本も山本先生が作ったら良かったのにと少し残念です。絵のきれいなところや演技、虫送りなどの演出はTV同様良かったです。
アオハル
まぁ、年食った身からすると、色々有った昔を思い出す話。
マンガも一通り見てるので、ちいちゃんが出て来た所で綺麗に終わってて良かった。
個人的には「元」の方もアニメ化しても良いかなと思うけど、ダラダラ続くよりは良いかな?
青春に戻りたい…最高の夏休み!!
原作未読者、アニメは1期から3期まで欠かせず見た大学1年生のわたくしが、青春アニメの中でも上位に君臨するこの「からかい上手の高木さん」映画化と聞いた時は、高木さんが西片から手紙を貰って足をバタバタさせていた時の様な嬉しさがやって来ました!!早く早くに感想を出したかったですが、中々具現化出来ずでやっとこさで出します。
単刀直入に申し上げると、マジで最高の映画でした!
2022年の上半期TOP10入り確定映画だなと確信しました。⚠ネタバレありですので、敢えて書きませんが、皆さんエンドロール後ちゃんと見ましたよね?笑⚠
物語は、小豆島で素晴らしい映像美と圧巻の景色で本当に映像だけで涙が出そうでした。「虫送り」の文化を知らない無知な自分でしたが、凄く良い文化だなと感じました。ですが、今回はみんなが期待していたからかい上手の高木さんでは無かったのかなとも思いました。それは、映画と言う縛られた時間と終わり向かうためのせかせかした内容によって2人のからかい部分が少なったのが、皆の期待から外れた部分だったかなと感じました。
でも自分は、それ以上に全ての出来事が愛おしいと思いましたね。次の分からは、自分が印象深かった場面を抜粋して感想言います!
・最初のいつも通りの高木さんからのからかい
相合傘かと思ったら煮干しムフフな2人
・プールの授業での西片と高木さんの息継ぎ勝負
ここでも積極的な高木さん。あれは水の中での告白とか(・д・。)カワヨホンマに
・そして先程の虫送り 浜口のナイスなボランティアと木村・高尾の気遣いも変わらずだったので更に好きに笑
・ネコのハナ
やはりここですよね〜皆さんの鬼門ポイントですよね、虫送りでも言っていた西方は、いいお父さんになると言っていたからそこの伏線回収で入れたかった話なのかなと思えばそうですが、あまりにショックな話でした。だって2人で育てると決めてペットショップに行って太田さんから色々教わってオウムのカツオにも(お似合いカップル)なんて言われてて微笑ましいシーンだったり雨の中でも2人はしっかりお世話して2人で張り紙を作って里親探して、遂に高木さんの家で飼えるって決まった瞬間にハナを見失っていたと思ったら新しい家族の元にってそれは、ないでしょ😭酷すぎる脚本それは、あまりに高木さんに酷いことしすぎではと思いました。残念でした。でもその後の西方の告白に胸を鳥肌を持っていかれました。そこに繋げるためならば仕方ないのかなと思いましたが、ね、
・そして終盤の夏祭り3回目の夏にして2人の1番の思い出
もう西片積極的すぎ、あんな無意識に出来る子までに成長してお兄さん楽しかったぞ笑そして木村と高尾のナイスな隠れ場所あの二人のストーリーもあって良きよ笑と思いました。
・エンドロール後の家族
時は経ち高木さんと西片。そしてちーの3人がいつぞやの虫送り ちゃんとホタルも見れて良かったし子猫も飼って幸せな家族になってて良かったわ〜思いました。
いや〜一つ一つの内容に感想出したらここまで長文の感想になってしまいました(*^-^*)ゞテヘヘでもそれだけ約70分程のものでこれだけ濃い内容だったので、お時間ある方寄ってらっしゃいって感じです。マジで見に行けて良かった。エンドロール4曲変わりの絵も変わるとなると行きたいですが、お金がNothingや笑
皆様もお時間とお金に余裕があれば、是非あの頃の青春に戻ったように中学生の青春を楽しみましょう!
それでは、下半期も映画楽しむぞ!!
からかっている側が必ずしも主導権をとっていると思ってはいけない。
高木さんと高木さんの事になるとドキマギしている西方君の、ほのぼのコミカル恋愛アニメ。
ED後に映像あり。
良い点
・猫がアニメアニメすぎない
・オウムのIQ 人間>オウム>>猫>>犬>カエルなど
・脇役の女子らとは絡まないが彼らの話も良い。手を振るシーンが悲し気だが。
・キャスティングは合格で
悪い点
・実写と混ぜている背景が僅かに浮いている箇所も
・猫にやや固執している。ED後の最後のシーンもややホラー気味
その他点
・序盤の思考具合が映画「私はいったい、何と闘っているのか」っぽい
からかわれ上手の西方君
ファンは楽しめますが、とってつけたような展開が気になります
前半は、いつもの「高木さん」です。高木さんは、実は未来から来た時間遡行者ですべてを知っているのではないだろうか?と思うほど、西片を自在に手のひらで転がします。時々、高木さんの本音がかいま見えるので、可愛らしく見えます。また、高木さんの前ではひたすら子どもっぽい西片が、実際には相応に成長していることが示されるシーンはとてもよかったです。
後半、子猫が登場してから、正直に言って物語のバランスが少し崩れます。
子猫は唐突に現れ、2人の距離を近づけるためだけに存在する小道具のように振る舞うのです。
子猫をめぐる決着も唐突です。高木さんの行動も、そこに関わるある人物の態度も、ちょっと納得しがたいものがありました。
そこから続くクライマックスも、「そうはならんやろ」と突っ込みたくなる強引な展開。監督は映画的カタルシスがほしかったのかな……。
とても可愛らしい、ほっこりできる良作ですが、ちょっと強引な展開は気になりました。
あと、エンディングではなるべく画面左の映像に注目しておくことをオススメします。
大人の階段を上るふたりを暖かく見守っていたい
西片くんと高木さんのお付き合いではいつも高木さんがリード役。確かに、小学校・中学校くらいの間は、たとえ同い年でも、女の子の方がいつも精神年齢が高くてしっかり者。一方、男の子はと言うと、夢見がちと言うか、精神的にちょっと幼くて、恋愛にも奥手、と言うのが昔からの通り相場です。しかし子猫を拾ったことを契機に、二人の関係に変化が起こります。同じ目的に向かって二人が一緒に力を合わせて行くことでふたりの距離がぐっと近くなり、そしてお互いに認め合う関係に変容する様がとても愛おしく、何か遠くから見守っているような気持ちにさせられました。それにしても、山里や虫送りの祭りの描写はとても素晴らしかったです。物語の舞台が小豆島(あずきじま、ではありませんよ!)であることをこの映画で初めて知った次第ですが、関西在住の私としては、身近にこのような素晴らしい自然と風習が残っていることに改めて感じ入りました。
意外な高木さんの一面
最も印象的なのは当然皆同じだろうけど、ハナの飼い主が決まった後の落胆からトボトボと歩き号泣するシーンでしょう。
映画でなければ描かれないであろうそのシーン、これは高木さんの世界にハマっているのだろうかとも考えたが、そういう一面もあって良いのだろう。
テレビ版ではあまりにも描かれなかった高木さんの弱い部分。西片以上に弱みを見せたがらない。虚勢を張ってる事すら匂わせず受け流して見せるのが高木さん。
まあたまには弱い高木さんもサービスか。
コントラストとして上手く対比させたのが前半の攻勢。正に攻めダルマ。好きと言ってないだけでもう捨て身で攻める。
同じことを別のキャラクターがしたら場合によってはエロですよ。
という風に、映画だからここまでやるのか?と思うほどでした。
でも、最後は勇気の出ない高木さんが可愛いのです。
これは「からかい上手の高木さん」なのだろうか?
僕は連載開始時からの原作ファンです。楽しみにしていましたがちょっと残念ながらがっかりしてしまいました。多分、それは本作が「王道すぎる」からだと思います。まぁ、成長しているってことなんでしょうが、とにかく西方っぽく無いって見えちゃって。いつの間にか内面イケメンに変身している西方に違和感しかなくって・・・・(僕が知ってる西方は子供と一緒に怖がるって!)。そして、冒頭のいくつかのエピソードはいつもの西方なのに夏休みになったら男前になる・・・、ちょっとなぁ・・・・・、しかし「完結のため」と考えれば致し方ないのかなぁ?
高木さんと西方が生む両思いと確認できない寸止めの「恋の匂わせ」空気感が、昔懐かしさとも相まってムズムズこそばゆくてニタニタってしてしまう。直接的じゃないファンタジーが妙に心に迫る・・・厨二病発症前夜みたいなレベルですがそれが良い「からかい上手〜」だと思っていたので、本作の直接的な展開がどうにも違和感を持たざるを得なかったんです。
全体的に結構普通のイベントばかりでかつ、思春期開始の男女の普通すぎる展開で「あれ?」感が否めないんですよね。うーん、ひねりがないなぁ、ムズムズこないなぁって・・・。さらに、物語としてもちょっと文句ありまして。エンドロールと共に「その展開」を見せるなら、本編のラストいらないんじゃないかな?って。もっと言っちゃうとエンドロール後の「おまけ映像」があるなら、ラストの展開とエンドロールと共に描いた「その展開」はいらないんじゃないかな?必要かな?
どうにも全編「作品の決着つけたい臭」が蔓延していてなんかやだ。好みによりますけど、やっぱり本心伝えないけど、そんな気がするって匂わせが・・・別の香りを・・・漂わせて欲しかったなぁって思いました。なんか「からかい上手〜」を見ている気が持てなかったなぁ。
あーぁ。高木さんがママと喧嘩したエピソードの時くらいの二人の水面下LOVEに悶えたかったな。
あと、ニャンコを使うのは安易すぎだよー。
中学生に戻ってもう一度恋したい!
からかい上手の高木さんは、テレビでも見てましたが、やっぱり高木さんは、可愛い!
残念なのは、もう少し西方との掛け合いを大目にして欲しかったな〜
テレビでの、掛け合いの方がキュンキュンする場面が多いような気がする。
私も、良い歳なので映画館で見に行くのを躊躇してましたが、1人で見にきてる人も多くて安心しました。
中学生の時の初恋を思い出しました。
高木さんに劣らず凄く可愛い子で、西方の様にいつもからかわれてました。
その時は、結婚するものと思ってましたが、西方の様にはいきませんでした。
その彼女は今はもうこの世にいませんが・・
美人短命とは、よく言ったものです。
はぁ〜もう一度あの頃に戻りた〜い!
恋をした〜い!!
映画を見て、良かったと思った方は、ぜひテレビ版も見てもらえれば、中学生の淡い恋を思い出しますよ!
映画のルールとしてこれはいいのか?
行かないつもりだったが、魔が差してしまい観てきましたw
時間も短くサラッと観れて良い話。
思い入れの強い人には刺さりまくる作品だと思います。
私自身もかなりニヤけながら観ましたし、意外なシーンではジワっと来ました。
というように良い作品でしたが、劇場で観るべきものだったか疑問が残る。
映画館で見る価値があるとすると小豆島の景色。
ただ本質は物語の中身。テレビでも良いかな。
そしてこれを観なければいけないのか、シリーズ作としてこれを観ないといけないか。
さらに小技が小賢しく思えてしまう点もあった。
大きな疑問はエンディングテーマが毎週変わる点。これは作品が違うものになる。作品の余韻を感じるエンドロールでの主役になり得るエンディングテーマは変えるべきではない。
事前に「明日への扉」から「天体観測」に曲が変わる事は知っていた。正直、1週目に見るべきだったと思った。天体観測がダメではないしテーマにも合っているという点ではテレビシリーズのシンクロするエピソードと曲という面白味からも外れてない。
映画の条件は同じものを観るという事だと思っています。フィルムをコピーして配って上映するのであればできない、ダウンロードして上映している今だからできる事だろうと思うが、それはルール違反なんじゃないの。何回も見される仕掛けって要素が大きすぎて拒否反応が出た結果、星3つと評価させてもらいました。
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後日、2回目鑑賞。
エンディングは明日への扉でした。
完全に違う映画です。
私の感想では天体観測の回はハズレです。
これほど印象が変わるとは思いもしなかった。
やはり映画は最善手のみを提供するもので無くてはならないと思いました。結果的に別の選択肢が最良であっても、毎週内容が変わるというのは、映画では悪手だと言いたい。
うるっと来てしまった。
原作未読、アニメ未視聴のまま劇場版を観ました。最初はラブコメかな?と思っていたのですが、実際には「中学最後の夏休み」を題材とした、青春群像劇の趣が強かったです。自分も保護猫を飼っている事もあり、猫関連のエピソードは分かっていてもクリティカル。動物を間に挟む事で無自覚に積極的になる主人公と、それに照れる高木さんの反応も良かったです。ほろっと出た決意の言葉からエンディングまで、飽きる事なく観れました。おすすめです。
島の女
近年こんなにほっこりするマンガに出会ったのは久々な気がする。以前の日本人なら「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」でほっこりしていたのかもしれないが、私にはもうちょっと無理。
マンガからTVアニメになってあれっと思ったのは、舞台が作者の出身地である小豆島の土庄町になっていたこと。こういう日常がテーマの作品はどこと特定できない場合がほとんどだが、瀬戸内の風景はかなり特徴的だ。背景に海やフェリーが映り込んでくるのが何ともいい。映画版でも“虫送り”という行事が魅力的に描かれていて、おそらく聖地巡礼とかでアニメファンがどっと押し寄せるのだろうな。
基本的にあらかじめ将来像が設定されているので、予定調和と言えばこれほど予定調和の世界もないが、それもまた良し。もうわかりきった二人の関係性の中で、いつまでやってんだよとニヤニヤしてしまう。
そこへ行くと、この映画版では後半いきなり核心を突くようなやりとりが出現して、面食らった。ミステリーの途中で唐突に真犯人の独白があったような脱力感(?)。劇場版というのはなかなか難しいもので、「ドラえもん」でも「クレヨンしんちゃん」でも映画だとなぜだか大冒険したり陰謀に巻き込まれたりする。「高木さん」ではさすがにそれは難しいので、微温的日常にケリをつけるクライマックスを用意したのだろうが、それはそれで無理があるような…。
捨て猫に関するエピソードはいかにも狙った感じがして、乗れなかった。ペットショップのオウム返しならぬ人語を解するオウムは、違和感あり。
幸せな気持ちにしてくれます
テレビアニメ3期で初めて作品に触れ、すぐに虜になり毎週楽しみにしていた「からかい上手の高木さん」。原作未読なので、そのよさが生かされているかわかりませんが、テレビアニメ版のよさは本作でも存分に生かされ、高木さんと西片の二人が醸す甘酸っぱい雰囲気が観る者を幸せにしてくれ、最後まで飽きることなく作品世界に浸れます。
ショートストーリーを重ねるテレビ版とは異なり、本作では卒業を控えた高木さんや西片を含めたいつものキャラたちの中学校生活最後の夏休みが、主な物語として描かれます。高木さんと西片の二人の関係性はもちろん、脇を固めるキャラにも見せ場を用意し、彼ら彼女らにとっても思い出深い最後の夏休みだったことが描かれ、好感が持てます。
メインとなる西片と高木さんの関係については、偶然見つけた子猫を二人でかいがいしく面倒を見るシーン、虫送りのシーン、夏祭りのシーンと、どのシーンからも、二人の思いが伝わってきてキュンとなります。互いに意識しながらも、その思いをはっきり口にできずにいる二人に、もどかしさと初々しさを感じ、誰もが自身の甘酸っぱい初恋を思い出すのではないでしょうか。主人公たちは中学生で、恋愛初心者であるものの、まだまだ子供の男子に対してちょっぴり大人の女子という構図がとてもいいです。
また、舞台となる小豆島がとにかく素敵に描かれていて、ノスタルジックな気持ちになれます。以前に一度だけ訪れたことがあり、その時も日本の原風景を見るようで風光明媚な素敵なところだと感じましたが、本作でもその魅力は存分に伝わってきます。虫送りという行事は知りませんでしたが、実際に行われているようなので、その季節にぜひもう一度訪れ、ついでにロケ地を聖地巡礼したくなりました。こんな自然に育まれたからこそ、作中の人物はみんな魅力的なんだなと改めて感じました。
あと、エンドロールの歌もとてもよかったです。I WiSH「明日への扉」の歌詞、カバーする高橋李依さんの優しい歌声、映し出されるテレビシリーズの映像が一体となって、西片と高木さんの軌跡を描き出し、心に深く沁みてきます。そしてラストシーンで描かれるのは…。完全にとどめを刺されました。
今回は上映後に舞台挨拶ライブビューイングがあり、キャストや監督らの話が聞けたのもよかったです。中でも、楽曲や劇伴の大切さを語る梶裕貴さん、「スタッフ含めて誰ひとり1話も手を抜かなかった」と語る高橋李依さんの言葉が印象的でした。キャスト、スタッフ全員が全力を注いで作ったからこそ、ファンの心をつかむ素敵な作品になったのだと思います。
オリジナルでこの完成度なら大満足! でも・・・まさかこれで終わりじゃないよね??
原作未読。アニメは第1期~第3期まで、リアルタイム視聴済み。
結論からいえば、今回の映画版も大変面白かったし、大いにキュンキュンさせてもらった。
予備知識ゼロで観に行ってきたけど、帰りにパンフを読んだら、なんとこれ、アニメスタッフによる完全なオリジナル作品らしい。
原作者が内容にも脚本にも関与しないスタッフ・オリジナルで、この完成度の映画を作れるもんなのか。掛け値なしにすごいと思う。
これが作れるというのは、いかにアニメスタッフが原作を心から愛し、理解し、自家薬籠中の物にしているかの証左だし、原作者の山本崇一朗も虚心にうれしいんじゃないだろうか。
先にテレビシリーズのほうについて私見を述べておくと、
『からかい上手の高木さん』は、かなり「変わった」恋愛ものだと思う。
いわゆる「●●さん系」のハシリであり代表作であるが、後追いで出てきた他の類似作より、いろいろぶっ飛んでいるというか、特殊なくらいストイックなルールのなかで動いているのが特徴だ。
まず、この物語には、対抗馬や恋のライバルがいない。それどころか、ほぼ二人の関係性だけで物語が出来ている。通例の恋愛もので一般的な「AをとるかBをとるか」の要素を完全にオミットしているのみならず、周辺のキャラの扱いはほぼ「モブ」で、完全に「西片と高木さん」二人の距離感だけを追求しつづける超ミニマルなスタイルを貫いている。
さらに二人は、同時並行で連載されるスピンオフの存在によって、「最初からゆくゆくは結婚することがわかっている」。すなわち恋のゆくえについても、不安要素を一切残さない特異な恋愛ものだ。
要するにこの物語は、やがて結婚することになる中学生二人が、ほぼお互いのことだけを見て、恋愛感情を醸成させてゆく過程を、ひらすら微視的に追った、究極的に「閉じた」安定空間での恋バナということになる。
特異なのはそれだけではない。
たとえば、名前。
二人は今にいたるまで、下の名前が出てきていない。
これは、恋愛漫画&アニメにおいては異例のことだ。
なぜなら、「名前呼び」イベントというのは、きわめて重要な「心の距離の近づき」を表現するターニングポイントだからだ(最近のアニメだと『阿波連さん』でもやっていた。これは異性愛に限った話ではなく、『プリキュア』でも『リリカルなのは』でも同じことである)。
ところが、西片と高木さんは、いつまでも相手を苗字で呼び合う。
そこは頑なというか、原作者がそういう「世界観」としてソリッドに固めてしまっている。
これは、ある種の「絶対プラトニック宣言」といっていい。
二人は、「隣の席のクラスメイト」という関係性にアンカーをがっちり下ろして、その絶対的な安定感のうえで子供らしい恋愛感情を育んでゆく。そこには、「名前呼び」によって特別な関係に至ろうという能動的なモチベーションは薄い。あくまでここで描かれているのは、「お互い近くにいることで」だんだんと心も近づいていく過程であって、彼らは決して「恋に恋して」お互いを求め合っているわけではないのだ(その一面については、別に『100%片思い』への偏愛という形で、二次元方面のはけ口が用意されている)。
ちなみに、この徹底的に苗字呼びにこだわるカップルが、いざ結婚したスピンオフでどうしているかというと、両者は「お父さん」「お母さん」と呼び合っていたりする。一義的には、「下の名前を明らかにしない」原作者の方針に従っているわけだが、この意地でも下の名前で呼び合わないスタイルは、二人の在り方をよく表しているような気もする。
この二人はおそらく、踏み込んだ「名前呼び」の関係性よりも、「苗字呼び」、あるいは「役割呼び」のほうが、きっと安心できるし、ずっとしっくりくるのだ。
ちょうど中学のときに、それが本当は恋だと知りながら、ひたすら「からかい」というちょっかいに変換して、恋に恋の名をつけようとしなかった高木さんにとっても。
明らかに高木さんから明快な「モーションをかけられている」ことに無意識下ではきっと気づきながらも、意識上ではそれを頑なに「からかい」「勝負」としか認識しようとしなかった西片にとっても。
それから、『からかい上手の高木さん』は、ある意味きわめて「保守的」な恋の物語でもある。
その保守性は、ちょっと「こわいくらい」だといってもいい。
出てくる子供たちはみんな、純朴で、けなげで、悪意のかけらもない善良な存在で、
住んでいる世界(アニメでは小豆島)も、平和で優しく、良い意味での閉じたユートピア。
彼らは、その閉じた世界のなかで幼い恋をし、プラトニックに関係を育んでいる。
この物語の特異な部分は、それを「成人した後」を描くスピンオフによって、後づけで「全面的に肯定」し、「揺るぎない幸せ」の始まりだったとして事後確認している点にある。
徹底的に二人だけを見つめ合ってきた高木さんと西片は、無事ゴールイン。
西片は母校の先生に。高木さんはお母さんに。
成人したクラスメイトも、たいがい同じ町で生活しているらしく、真野ちゃんと中井くんも無事結ばれたっぽいし、ミナは幼稚園の先生、中井くんは西片の同僚の先生と、正直かなり「世間がせまい」。
かといって、閉じた田舎の生活で閉塞感や焦燥感に苛まれるような描写は、記憶の範囲では出てきていないし、中学恋愛の「儚さ」や「一回性」についてにおわせる描写もあまり出てこない。
じつは恋愛漫画、恋愛アニメにおいて、これはかなり珍しいことだと思う。
要するに、この話は「中学時代の幼い慕情」が「本当に結婚まで結びつく」だけでなく、それが半ば「当たり前」として認識されている世界線での物語であり、村落の内部で育った若者たちが、村落内で結婚し、その構成員として次世代を担っていくことが肯定的に認容された世界線での物語なのだ。成人した二人の「お父さん、お母さん」呼びも含めて、『高木さん』の世界観は、じつのところかなり古風な道徳観と共同体観に支えられているといっていい。
たぶん、観る人によっては、「古めかしい」と感じられるくらいに。
(僕個人はこういうユートピアが現代日本にあってもいいと思うし、あるといいなと思うけど)
もう少し突っ込んだことを言うと、この物語は、徹底的に「プラトニック」に作られているし、他の恋愛アニメのように、エッチなサーヴィス・カットや妄想シーンが出てくるわけでもない。
にもかかわらず、この二人は物語のゴールにおいて、子供を作ることがはっきりしている。
すなわち、潜在的にこの二人は「いつか事をいたす」ことが確定しているカップルなのだ。
表面上は、いっさい性的な要素を封印している(たとえば、高木さんは自分の胸がないことを気にしているそぶりを全く見せない)にもかかわらず、いつか二人が「結ばれる」ことを視聴者は承知している。このシチュは、ギャップがあるぶん、正直逆にけっこうエロい気もする。
中学にもなってグリコとかビックリ箱とかで遊んでる、幼稚園児みたいなネオテニー的恋愛をやってる子たちが、このあとホントに結婚するんですよ? 逆にいえば、このネオテニー的恋愛のなかには、やがて来たる大人の恋愛の要素が「まねび」として含まれているわけだ。
考えてみると、今回の映画で、西片が高木さんにからかわれるたびに、100円を貯金箱に支払って「腕立て伏せ」してるのって、明らかに無意識的なアレの代償行為だよね? なんか、とんでもなくエロくないすか??
とまあ、テレビ版の話をずっとしていても紙幅が尽きてしまうので、そろそろ映画の話を。
今回の映画は、3年生の夏休みのひとときを描いた、オリジナルストーリーとなっている。
前半は、原作同様の恋バナショートストーリー集。夏の虫送りのシーンがひとつの山場だ。
後半は、子猫をひろった二人の共同作業と、その終焉を描く。
前半に関しては、ほぼ何も文句のつけどころがない。
テレビでも結構オリジナル回(三期の文化祭とか)を作ってきた実績があるからか、脚本家も演出家も、「高木さん」らしさをホント良くとらえているんだよね。
二人の感情的な進展が、絶妙の匙加減で表現されていて、さすがだと思った。
あくまで、第一期の開始時点で先に「落ちてる」のは高木さんのほうで、「仕掛ける」のもつねに高木さん。西片はただ受動的にふるまっていたらよかった。
そのうち、西片が無自覚のうちに自分から「勝負」を仕掛けるようになる。
こうして、二人は「からかい」「勝負」を通して、「恋愛不随意筋」を知らず鍛え上げてゆく。
そこに、三期のイベントを経て、ようやく二人の間に「恋」の自覚が明確に芽生える。
映画は、ちょうどそんな時期の物語だ。
友情以上、恋愛未満の空気と、ときめきと、距離感。
脚本と演出は、そのあたりを微視的に描き込んでゆく。
「別離」というキーワードも、うまく組みこんである。
先にも書いたとおり、『高木さん』の世界観は概ね安息のなかに閉じているし、軽く宗教的といっていいくらいに旧弊だが、外部から絡むアニメスタッフにとっては、やはり多少は加味せざるを得ない要素だったのだろう。
映像的には、とにかく雨の描写、水の描写の美しい映画で、梅雨から夏に向けて観るのには最適だ。とくにプールのシーン。なんかエロいうえに神秘的だし、俺でもあんなんされたら、胸撃ちぬかれて溺れるわ。
それから、背景となる小豆島の風景がじつにノスタルジックだ。
とりわけ虫送りのシーンは、ガチで力のはいった映像表現になっていた。
ホタルのピークは6月下旬なので、7月2日の虫送り当日に観られることは少ない(でも冷夏ならあり得る)ってのも、たしかにそのとおりでなるほどと思った。
ただ、作中でツクツクボウシが鳴いているのは違和感あったなあ。ツクツクボウシは誰もが知る通り、晩夏の蝉だから。てか、少なくとも7月初旬に関西であれが鳴くことはまずないと思う。ニイニイゼミとかだと良かったのかな? それとも小豆島ならではの風土的特性があったりするのか?
まあ結局、原作のほうは別途、現在進行形でお話が進んでいるわけだから、映画版で勝手に殊更二人を近づけるわけにもいかないし、下手に喧嘩をさせるわけにもいかない。
そこがオリジナル映画の辛いところではあるが、ぎりぎり本筋に影響を与えない範囲で、うまくハンドリングできていたように思う。少なくとも前半は。
ただ後半は、少し安易というか、やりすぎの感じがしないでもなかった。
子猫のエピソードは、誰が観てもわかるとおり、「子育て」の「まねび」である。
ここで二人は、共同で子猫を「育て」、ともに「愛する」ことで、無意識下で「家庭人としての適性」を確かめ合うことになる。
おそるおそる「からかい」に仮託することでしか好意を表現できず、直接的な恋愛には猛烈に奥手だった二人が、「子猫」という共通の守るべきものに対処することで、いつもより素直に接し合い、いつもよりストレートに感情を出し合い、その結果としていつもより心を強く寄り添わせる。
それはそれで別にいいのだが、ここまでぎりぎりのところを攻めてきた恋愛もののイベントとしては、なんか直球すぎるというか、いままで微妙な駆け引きでやってきた部分を力ずくで近づけ過ぎちゃったというか、一足飛びで「ちぃのいる世界」に接近してしまった感じは個人的に否めない。
ラスト近くで二人が時間差をつけて交わす核心的な台詞も、聞きようによってはただのプロポーズにしか聞こえないわけで、急にここまでやっちゃってよかったのか、とはしょうじき思う。
少なくとも、三期も時間をかけてうだうだ積み重ねてきた「とまどい」と「ためらい」の長さを考えると、さすがに(オリジナルの枠内で)性急に事を運びすぎているような気がするし、ここまで二人に言わせちゃうってことは、もう今やってる連載はアニメ化しないつもりかなあ、という寂しさもある。
できれば、原作未読組でもあるので、今やっている原作が尽きるところまで、アニメ化はやってほしいというのが本心なので。
せっかく映画も当たったことだし、ぜひテレビ版の続きもお願いしますね!!
現状維持
西片の自宅部屋机の前に
貼ってあった言葉
何だそれ。
現状維持って…
いいわ。
やっぱり
好き。
この作品を知ったのは
三年前くらいでしょうか。
作品に流れる時間が
とまっているかのような
ゆっくりの感覚。
子供の頃のノスタルジーに
はまって、
続編が出ないか
楽しみにしてました。
なんと、パート3までいくとは。
更に、映画までー。
みんなも、
こういうのいいと思うんだなと。
嬉しいです。
本作では、
高木さんが泣いたり、
もどかしい
二人の距離が近くなる
エピソードが💮。
手をつなぐまでの
心の距離間というか
親しくなっていく
お互いのやり取りが
いいなぁ。
この感じ…
もっかい
あの時間を過ごしたい
ってなります。
海辺の街ですが
島なんですね。
憧れるな。
あっ、
エンドロールの後に
素敵な時間があるので
すぐ出たら損しますよ。
おすすめ。
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