香川1区のレビュー・感想・評価
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日本のデモクラシーを深く考えさせる傑作
同じ監督の前作「なぜ君は総理大臣になれないのか」以上に面白かった。監督自身が語っているように、前作も今作も小川淳也や立憲民主党を応援する映画ではない。むしろ、その弱さも映される。新聞でも報道され周知のことだが、維新の候補に立候補取り下げの相談に行ったことなどはそうである。映画はその油断が生じた事情も教えてくれる。
対立候補の平井卓也はデジタル担当相だったときは余裕を持って取材に応じているが、選挙戦では段々と焦りが出てきて、逆に手作り感の強い小川と家族の選挙戦が段々と支持を広げていく熱気が伝わってくる。こうした時間の経過を経た変化を見るのは、ドキュメンタリーの醍醐味である。
小川の真っ直ぐな姿勢に見る人は好感も持つが、彼の前途多難も容易に見てとれる。日本のデモクラシーについて深く考えさせられる、良い映画である。
面白い
相変わらず音響がうまいと思う。面白い映画になっている。
将来、小川淳也が首相になったらこの映画は貴重な記録になるなあ。
そのとき、米国に対して同じ心情と方針で接するのだろうか。中国に対してもそうなのか。ロシアに対してもそうなのか。英国に対してもそうなのか。
楽しみではあるし、興味深くもある。
平井前大臣の豹変ぶりが…
舞台挨拶で大島監督も人間追い詰められると変わると仰っていたが、あの演説の瞬間を撮れたのは傑作だ。小川氏のカッとなった後に車の中で冷静さを取り戻すところも。どちらの候補も人間味に溢れている。
正直者がバカを見る社会
実質的に「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編、と言って良い作品。
衆議院議員の小川淳也氏を中心に、2021年の香川1区の衆議院選挙の顛末を辿ったドキュメンタリー。
「なぜ君」は18年間という長い期間だったが、この作品は2021年の夏から約5ヶ月間の短い期間を扱った作品となっている。
結果だけ先に言うと、小川氏は自民党の平井卓也氏や維新の町川順子氏を抑えて、香川1区でトップ当選を果たした。「なぜ君」の影響もあったのだろう。小川氏の事務所は、多くのボランティアの方々に支えられており、まさに「選挙という祭り」の熱気に包まれていた。自民党の平井氏とは対照的に。
印象に残ったシーンがいくつもあった。
まず、「自民党党員の撮影妨害」。
香川1区のクルーが平井氏の選挙演説を撮影をしようとしたとき、自民党員が撮影の妨害をしたシーンだ。
これは、本当に現在の自民党の体質を見事に表していたように思う。まず「警察」という国家権力で脅し、それが通用しないとわかると嫌がらせをする。要するに「パワハラ」だ。自分達がパワーを持っている、と当たり前のように考えている。それが長年の体質として身についている。まさに「自民党」である。
岸田総理が応援演説で香川を訪れた際に、「報道ではないから」という勝手な理由で映画クルーを会場に入れなかったおじさんにも通底している態度だ。
多くの日本人が自民党を支持し、変えたくないと固辞しているのが、この「パワハラ体質」だとも言える。女性蔑視にも通じる。選択的夫婦別姓などが認められない土壌でもある。
そして、「小川氏が勝利した際の娘さんの演説」。
これはまず内容が感動的。「自分が社会に出た時に、正直者がバカを見る社会であることを覚悟していた」という言葉。
しかし、この言葉を20代前半の若者が発しているという事実。本当に悲しく、そして情けなく感じてしまう。若者が選挙に興味を持てないのも当然だ。
香川1区は例外として、今回の2021年の衆議院選挙は自民党の勝利と言って良い。私はさすがにもっと議席を失うと思っていた。森友・加計や桜を見る問題を筆頭に、アベノマスクなどのコロナ対応含めて、安倍・菅政権の酷さは目に余る。安倍などは国会で118回も嘘をつき続けた。しかし、こんな政権(党)を日本人は支持しているわけだ。
これは、「どんなウソつきのクズでも、自分に利益さえ運んでくれた良い」と言っているのに等しい。だからこそ、小川氏の娘さんもこういう発言をしたわけだ。正直者がバカを見る社会だ。
自分は現在46歳だが、仕事を通してこの価値観に触れることが多々ある。
正直かどうかではなく、ウソをついてでも「儲かれば良い」という価値観。
私はそれでも「正直でいよう」と覚悟しているが、その代償として出世は諦めている。そんな社会だ。この娘さんの気持ちは痛いほどわかる。
他にも印象的なシーンはたくさんあったが、この2つが私の中ではダントツで記憶に焼きついた。
小川氏は今回の選挙で勝利した。おそらく長く香川1区で勝ち続けるだろう。
しかし、これはあくまで香川1区だけの話で、他県では平井氏のような自民党議員がまだ圧倒的に強い。
この作品に出た自民党を支持していたおばちゃんは、自民党以外は考えられない、と平気で言っていた。それが地方(田舎)の現実でもある。
本当に「自分の頭で考えろ」と言いたいが・・。もっと単純に「ウソをつく議員がいる政党」と「ウソをつかない議員がいる政党」のどっちが良い?という選び方でも良い。答えは明白だと思うのだが。
今回、香川では正直者が勝った。
おそらく、他県でも小川氏のような年代で正直・誠実な人が立候補すれば当選する可能性はある。
しかし、若いと言われている小川氏ですら、議員経験は20年近くある。他県にそんな人材がゴロゴロといるのだろうか?
小川氏の勝利は本当に嬉しいが、社会の醜悪さ(正直者がバカを見る社会)がこの程度で揺らぐとは思えない。他県では、まだまだ平井氏が勝つ現実がある。もっとも、その「強い」と言われる構造は、この映画で指摘されていた、会社ぐるみで強制的に自民党に投票させている、ということに支えられているのかもしれないが。
今後どうなるか、2022年の参議院選挙がどうなるか、大島監督の次回作を楽しみにしながら、しっかり情報を集めて自分の頭で考えて投票できる準備を進めていきたいと思う。
本作は「小川淳也」という青臭い政治家のリベンジと、周りの人間たちの成長記録である。
小川が熱い男だということは一作目でも十分にわかった。今回は、正と悪という対比を際立たせることで、より政治に興味をもたせようという構図が成功している。
小川は迷い、怒り、笑い、泣き、自転車で走る。その姿はすがすがしくさえあり、応援したくなる。
大島監督が取材を始めた頃には母親にまとわりついて泣いていた娘たちが、父の一番の理解者になり家族の一員としてそれぞれを支えている姿は、まっとうな大人の背中を見せて育つとこうなるという好例だろう。「正直者がバカを見る」と思っていた娘は、「正直者はいつか報われる」と確信することになる。相手の話を聞き信念を貫くという姿勢に胸を打たれる。
作中、小川陣営の一人が「与党自民党に投票せざるを得ない現状は、国民がそれを許してしまっている」というような発言をするが、それを変えられるかもしれないという希望を、支持者たちがどんどん持ち始める進行がよい。政治の腐敗は国民のせいであるという監督のメッセージが、淡々と取材を進める大島の眼差しから伝わってくる。
小川のみならず、有権者たちにも変化があったことは明らかである。
【胸熱だけど、岸田さんは案外手強いと思う】
小川さんを追ったドキュメンタリーの前作より、こちらの方が胸熱で達成感がある。
選挙区「香川1区」の選挙区当選になったからというのもあるが…、
(以下ネタバレ)
娘さんの「就職する時に、正直者がバカをみる社会に出ていくのかと考えたり…」と涙ながらに吐露した心の内に、若者がこんなふうに考える世の中は、やっぱりダメだななんで考えたりしたからかもしれない。
ところで、平井くん、面白すぎるよね。
ある意味、予定調和。
NECを槍玉に上げて、締め上げると言ったことを反省するふりをしていたのに、選挙で苦境に立たされると、前作の映画を批判したり、撮影を拒んだり、立憲共産党と言ったり、NEC締め上げ発言は、まさに本音だったって証明する罠に自ら飛び込んでみせる…って、どう考えても。やっぱり凄いよ、平井くん。安倍晋三と同レベル。
特に、パー券10枚、参加者3名って、7枚は寄付行為なんだってさ😁
やっぱり、安倍晋三と同レベル。
岸田派辞めて、安倍派に入れば?
平井くんの支持者もプロデューサーを排除したり、朱に交われば赤くなるというより、類は友を呼ぶって感じだろうか。
それにデジタル庁って、やるんだったら、震災直後だよね。
そうすれば、多様な復興の道筋を示せたのかもしれないのに。ひとえに、安倍晋三、菅義偉、麻生太郎、二階のカルテットがアホなんだよな。
加計のどこに特区の必要があったのか。
今回の小川さんの選挙区当選は、前の映画の効果もあったのかもしれないが、もし、そうだとすると、あれを観て、草の根選挙をやってみようという人が増えたからじゃないかと思う。
一過性の人気じゃなくて、きちんと政治や選挙に向き合おうという人が増えたようにも思える。
だから、平井くんのように自分とこの新聞を利用したネガティブキャンペーンみたいなこともやらなかったし、当選後の、51が残りの49を背負うという発言に繋がっているのかなと。
平井くん、選挙じゃ、道路とか橋とか連呼して、デジタル大臣のわりに、昔ながら守旧派自民党って感じ丸出しだしね😁
ただ、思っていたより、岸田さんは手強いと思う。
最初に、伝え聞く、安倍晋三が強く押した高市早苗の幹事長就任を拒んだという話もそうだけれども、甘利の代わりの茂木さんの幹事長起用、外務大臣に林芳正さんの起用は、安倍晋三や麻生太郎に頭の痛い話だと思うからだ。
茂木さんの平成研究会は保守本流の一つだし、林芳正さんは宏池会のプリンスで、二人とも次の総裁候補だ。
麻生派は、河野太郎さんを押さえ込んで世代交代の機会を逃したばっかりに、麻生太郎自身の影響力も低下しつつあるように思う。自分のことしか考えていないことの良い例だ。甘利も、あの件は、国民は忘れちゃいないってこと。
このまま麻生太郎の力が衰えて、フェードアウトしてくれれば、大宏池会も可能かもしれない。
安倍派にも二階派にも、まあ、当たり前だけれども、パッとした人物はいない。若手の福田さんは注目だけれども、安倍とは距離を置いている。
枝野さんが辞めて、立民も変わらなくてはならない時期だと思うが、自民の保守本流と、政策論争が出来て、政権交代も可能な党になって欲しいと思う。
あとね、あの維新から立候補した女性の件、僕は、注目選挙区に候補者出してって、維新の目立ちたがり精神の表れだと思うなあ。アホだよね、アホ!
もしかしたら、この草の根選挙は、様々な選挙区の選挙のあり方を変えるかもしれない。
あんな平井くんの支持者みたいなクズが牛耳ってる態度の政治っていやじゃん、ねえ。
平井くん、安倍派に入りな。
ドキュメンタリーにしては余りにもドラマティック、圧倒的な実力で立ちはだかる宿敵に真正面から挑む国政選挙版『ロッキー2』
スマッシュヒットを記録した前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』は同時期に公開された『新聞記者』、『はりぼて』といった社会派の作品とともにテレビで一切取り上げられないという圧倒的に不利な条件下であってもエンターテイメントとして全然勝負出来ることを示した傑作だったわけですが、その続編の本作は衆院選の日程も定まらない2021年6月から幕を開けます。前作でも語られていた50歳になったら一線から退くという前言にどう向き合うべきかを50歳の誕生日に自らに問う小川議員。僅か2000票ほどの得票数で敗れた反省から自身の支持層だけでなく自民党支持層の玄関先にも足を運び熱心に話を聞いて回る。名刺に手書きの言葉を添えて有権者に届けようとするもマンションの郵便受けがどこにあるか判らずウロウロ。地道にも程がある選挙活動に密着する中で明らかになるのは前回の選挙戦とは全く異なる香川1区の空気。前作では有権者から浴びせられる叱咤にも深々と頭を下げる様が痛々しかったですが、今回街行く人からかけられるのは野党に対する深い不信感をあからさまに滲ませながらも吐露される現政権に対する不満と暖かい声援。“本人”と書かれた旗をたなびかせながら自転車で選挙区を走り回る議員の姿は早朝のフィラデルフィアを駆けるロッキー・バルボアのよう。人が人を呼び静かに熱を帯びていく選挙運動の様子を眺めているだけでまだ衆院選の告示も始まっていないのに涙が溢れてきました。一方宿敵である平井卓也議員も序盤では監督のインタビューも受ける余裕を見せるが、デジタル庁立ち上げで忙殺される中で次々と明らかになる醜聞に振り回されて地元に帰る暇もない苛立ちをしっかり滲ませる。そして想定外だったのが維新から送り込まれた刺客、町川候補の出馬表明。なりふり構わず維新に乗り込み出馬を止めるよう直訴する姿が維新の音喜多議員のツイートで拡散されて激しいバッシングに晒される小川議員。身内のメディアである四国新聞と西日本放送の情報発信力を総動員して小川陣営批判を展開する平井議員・・・ドキュメンタリーであることを忘れてしまうほどのドラマティックな展開がとにかく圧巻です。
本作は小川陣営を一方的に応援しているわけではなく、3つの陣営それぞれの立場にいる人達の言葉にも耳を傾ける。そこから見えてくるのはどこまでも分厚い人間ドラマ。傍目には腐敗し切っているようにしか見えない自民党を熱烈に支持し続ける保守層もそんな風潮に疑問を感じ始めている人達もごく普通の生活を営んでいて、そこに何が必要かが1票1票に結びついている。そういうところも丁寧に拾っているところに香川1区でまさに起こっていることを出来る限り記録しようという愚直なまでの執着が見えます。そんな執着がついに捉えるある事実を突然突きつける終盤にもギョッとします。
リアルタイムで聞きかじっていた選挙戦の舞台裏をわずか2ヶ月足らずしか経っていない今映画として観ているというかつてない画期的な体験をしていることに興奮しますが、本作の一番の肝は議員の次女のスピーチに集約されていて、その虚飾の欠片もないまっすぐな言葉に魂が震えました。大傑作です。
ちなみにまだ先行上映の期間ゆえ上映館が少ないですが、ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞すると他のスクリーンでは得られないカタルシスが得られることを申し添えておきます。
小川氏のPR映画ではありませんよ
私も50を超え、選挙に参加できるようになって30年が経つわけですが、正直に言って過去参加した選挙において、自分の選挙区に「この人に投票したい」と思った候補が毎回いたわけではありません。むしろ、「これなら比例代表制と変わらない」か或いは「中選挙区制の方がもしかしたら…」と思うことだってありました。
その点、大島監督に観させてもらった(報道とは違う)この選挙区はとても羨ましく、魅力的に映ります。最後のシーン、小川氏の有楽町における街頭での報告会で参加者から発せられる言葉「香川1区(現象)が他の選挙区にも拡がり、いつかは日本中に」が印象的です。これこそ作品としてのドキュメンタリーの意義でしょう。
それにしても、今回も娘さんたちに泣かされました(苦笑)。それ自体を単純に評価に結びつけていませんが、今作もとても見応えがあって面白い作品となっています。
勝った51は負けた49を救わなければならない
クリスマスだというのに、有楽町のヒューマントラストシネマは満席である。3時間近くのドキュメンタリー映画は興味のない人には退屈なだけだろうが、それでも満席になったということは、それなりの人々が日本の政治に危機感を抱いている証なのだと思う。
印象に残るシーンの多い映画で、挙げればきりがないが、特に印象的だったシーンか三つある。
ひとつはスシローこと田崎史郎に向かって小川淳也が強い口調を浴びせたシーン。急に出馬した維新の候補への働きかけについて批判した田崎史郎に対して、出来ることは何でもやる、政治は甘いものではないと啖呵を切ったのである。結果的には維新の候補に救われた形になるのだが、必死の小川淳也にはそこまで読めなかった。
二つ目は、平井陣営を撮影しようとして妨害されたこと。反対派や異質な勢力を排除しようとする自民党の本質が見えた。
三つ目は、小川淳也の娘が話したシーン。文言は正確ではないが、彼女は次のように語った。
お父さんに対するアンチの人がいて、その人と話すことがあったら、お父さんはその人とちゃんと向き合って、何を悩んでいるのか、何を困っているのか、最後まで話を聞きます。必ず聞きます。お父さんはそういう人なんです。
父に対する心からの尊敬と信頼が伝わってきて、落涙を禁じ得なかった。素晴らしい娘さんである。
前作の「なぜ君は総理大臣になれないのか」も、政治家のドキュメンタリーなのに何故か泣ける映画だったが、本作品は前作以上に泣ける。それは我々が、裏表のない純粋な善意や、何ひとつ放り出さない誠実さというものに触れることが、あまりないからだと思う。裏を返せば、我々の日常が如何に悪意と欺瞞に満ちているかということでもある。
あまりにも正直な小川淳也を見て、もう少しうまく立ち回れないものかと思ってしまうが、そうなってしまうと小川淳也ではなくなってしまうことに気がついた。バカがつくくらいの正直さと誠実さが小川淳也なのである。それは世の中を上手く生きていこうとするときに我々が捨ててしまったものだ。
小川淳也は上手く生きていこうなどとは思っていないようだ。上手く生きるとは小賢しく得をすることである。彼はそんなことには興味がない。困っている人をどうしたら助けられるか。彼の悩みはそれだけだ。だから彼のもとに全国から人が集まる。
集まったすべての人を彼は疑いもせずに無条件で受け入れる。そして来てくれてありがとうと感謝する。誰のことも拒否しない。誰のことも見捨てない。多数決で51対49で物事が決するなら、勝った51は負けた49を救わなければならない。それが小川淳也の民主主義なのだ。
こんな選挙でいいのか
予告編で、自転車に乗った小川さんが「50歳にもなって、こんなことをやってますが、一生懸命がんばりまーす!」と叫ぶシーンがある。こぎながらであるためか間延びした声だ。これが、ほほえましいシーンに見えただろうか。
わたしは、そうは思えなかった。こんなことで、こんな稀有な人材の貴重な時間、体力を消耗させていいのだろうか。こんなことをしなくても、こういう人が本来の姿で主義主張を述べれば、圧倒的に勝つような選挙はありえないんだろうか。
また、個人が自分の意思で、高いセキュリティの下で、いつでもどこからでも投票できるシステムが必要ではないだろうか。
大島新監督が、相当な覚悟を持って世に出したことがわかる映画だった。
パンフレットにサインをいただきながら、前作以降小川さんを本気で応援し始めたことを話したら、監督は、よろしくお願いします、とおっしゃった。そのことがとてもうれしかった。
日本における選挙の現実を描いた意欲作
前作「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編として、日本でも屈指の激戦区とされる香川一区のリアルをつづったドキュメンタリー映画。
前作は誠実・マジメで腰が低く、滅私利他の精神で国民のための政治を強く志す立憲民主党の小川淳也議員が、選挙でライバル候補に全然勝てずに苦悩する姿を描いたものだったが、今作は香川一区で3候補全員の立場で描かれている。まさかの第三候補擁立により想定外の激戦となり、ある者は苦悩に悶え苦しみながら必死に戦い、ある者は権力を総動員してなりふり構わずに戦う、喜怒哀楽すべてを含んだ実に生々しい姿が記録されている。そしてなぜ自民党は強いのか、有権者の立場から強さの源泉を垣間見ることができる。
前作も非常に評価の高い作品であったが、今作は同等以上に素晴らしい、期待を裏切らない名作。政治信条に関係なく、多くの人に見てもらいたい映画。
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