「娘さんのシーンにぐっと来る」香川1区 わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
娘さんのシーンにぐっと来る
民主主義として51で選挙を勝ったら49の負けた有権者の想いを背負わなければならない、その言葉を彼なら信じられると思った。
ドキュメンタリーとして客観性があるのかと言われると非常に微妙で、作り手が小川淳也と距離が近過ぎるきらいはある。だから、続編となると非常に難しいだろうとは思っていた。
ただ、今回は香川1区という題名にしている通り、満遍なくとまでは言えないが、それぞれの候補者に取材しようとしている。PR映画だと揶揄されるシーンもあったが、維新候補へのすったもんだもちゃんと映しているので、ある程度配慮はなされているのではないかと思った。
また、平井卓也陣営へのネガキャンのようなシーンもあったが、平井卓也自体はインタビューに答えている。もちろん、文春報道を見るにブーメランになっていると思われる言い回しもあるが、少なくともインタビュー上は真摯に答えようとしているように感じた。もしくは、あの段階では「なぜ君」が密かに話題になっていることを知らなかっただけなのかもしれない。となると、平井卓也自身に問題があるのではなく、それを取り巻く環境だったり、陣営の吹き込み方だったりに問題があるのかなと思った。問題というか、ここにこそ自民党の選挙の強さの源があるのかなと。小川淳也が維新候補にしたことは、その真逆のように思える。
やはり今作でも娘さんのシーンに涙を流さずを得られなかった。政治家という公人を父親に持つ苦しみと、それでも父親に対して勝ってほしいという娘心と尊敬の念。「きっとアンチの言葉にも耳を傾ける」と述べるシーン、当選発表後の「正直者がバカを見ると思っていた」と述べるシーン、どちらにもぐっと来た。
速報性を持ったドキュメンタリー映画は貴重。東京五輪のドキュメンタリー映画はどうなっちゃうんでしょう。