劇場公開日 2021年12月24日

「感動ドキュメント・・・しかし、引っかかり多数。」香川1区 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5感動ドキュメント・・・しかし、引っかかり多数。

2022年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

前作「君は何故総理大臣に〜」の続編と言って良いであろう作品です。選挙の結果を知っているので、ドラマティックな結末であろうことは想定しての鑑賞です。どこまで中立を保てているか?が僕自身の鑑賞ポイントでした。
比較するべきでは無いとは思いますが、前作は「馬鹿正直」の「理想主義」の小川候補の苦戦苦闘と高い志だけで政治の表舞台には出られないという現実を明らかにし、かつ小川候補に日本の政治の可能性を感じる良作でした。好きな映画の一本です。

ドキュメントの制作側が中立を保つことは非常に難しいと思います。密着している時間も密着対象との関係性も「点」ではなく「面」になり多くの側面を映しているわけですから、素材映像も多いし、情も移ると思いますし、何らかの意思も芽生えると思うのです。少なくとも監督には「小川候補に政治を変えてほしい」という意志があると思うのです。それは致し方ないです。でも、その意志をどのように表すか?がポイントだと思います。

客観的に見て、本作は勧善懲悪のスッキリストーリーに見えてしまっていると感じます。致し方ないけど、事実なんだけど、自民党側の悪役となりうる映像が多すぎるし、ピックアップの仕方に敵意しか感じないんですよね。事実映像であることはわかりますが。平井候補の演説に集まる人はスーツ姿の人だらけでしたが、そんな日しかなかったのかなぁ?とか、小川候補の維新への候補取下げ願いの件は、あの程度のパッシングだったんでしょうか?とか、色々と偏りはないの?って思っちゃいます。編集の切り取り方に何となーく演出を感じてしまったのです。どう考えても自民党のネガティブキャンペーンみたいな場面多いもん。多すぎる。事実なんでしょうが、これを同テーマで扱っちゃぁいけなかったと思う。これでは比較広告じゃん。だめだよ。作品として発表したいなら「保守党の選挙実態」として別テーマとして出すべきだったんじゃぁないのかなぁ?「正攻法VSズル」の構図を出しちゃぁダメな気がする。ドキュメントとして。そして、一番大事な「なぜ小川候補は支持されたのか?」前作の時以上に支援者が増えたのは「何故?」そこの描き方が非常に少ないのも大いに気になる。それこそドキュメントの核心ではなかったのではなかろうか?

作品としてはさておき、民意のパワーを感じましたね。これぞ選挙の原型ではないか?初期の選挙ってこうだったのではないか?と思うほどでした。志のある候補者を心より応援する支援者がただただ応援し、力となり大きな民意を得る・・・。この様子を見られたことはきっと多くの国民の勇気になるのではないでしょうか?僕たちにもできるんじゃぁないか?って思えます。たくさんの人に見てほしいとは思いますよ。あと、小川さんには狡猾な軍師や汚れ仕事ををする有能なスタッフがついてほしいですね。戦略なければ政界を勝ち切れないだろうなぁと思いました。

今回の作品、フェアではないなぁって思いましたから、PRと言われないようにするためには、与党候補に密着し「なぜ総理大臣になれるのか?」を撮るしかないんじゃないかな?余談ですけどね。

バリカタ