「単なる続編にあらず、社会形成の核を知る」香川1区 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
単なる続編にあらず、社会形成の核を知る
政治の、選挙の作品で涙することに抵抗感はあったが、堪えていた意固地な思いは決壊した。親族、そして次第に増えていった関係者を含めた「家族」との温かい輪。人と人が織りなすドラマ、正に地域生活の理想を観たが為である。前作から続く物語りの先にある、第49回衆議院選挙。実に公平で冷静な映画に仕上がっていた。本作が炙り出した物は、選挙における「魔」の側面と、それに付随するイメージからの脱却だろう。毒された収支報告書の公開など、選挙戦における闇の活動にもスポットを当てた意味合いは大きい。感情の導火線に着火された時、悪びれない本性と、懐深い本意との摩擦が生じる。身の保全、その確約に掛かる見返り。その心理作用は、人を悪意に染め上げる。その事に慣れていない純真な代議士は翻弄され、葛藤をし、やがて激流にのみ込まれていく。しかし、異常な戦いから救われる思いがしたのは、決して結果が求め続けた答えに帰結したからではない。小豆島にて、言葉を添えた名刺をポストへ投函した際の言葉…意味の有る無しではなく、それが作用したか否かではなく、人が誠心誠意を尽くした姿にこそ、信じて行動する意味を教えられたからである。あの青空討論会の様子は、記憶にこびり付くことだろう。香川1区の特異な熱量を、日本全国に広げる夢を抱いた。
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