「個人の生き方も家族のありかたも多種多様になってきました。これは「ある普通の家族」のお話です。」パーフェクト・ノーマル・ファミリー もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
個人の生き方も家族のありかたも多種多様になってきました。これは「ある普通の家族」のお話です。
久しぶりに映画館に行くことに。
何を観ようか思案中、ふと目についたのがこの作品。
トランスジェンダーのお話で
実話がベースらしい。
何となく興味を引かれて鑑賞。
夫婦と娘二人の4人家族。
姉が14才で妹は11才。
共に思春期どまんなか。
食卓に座る父と娘たちに向かって、母が告げる。
「父さんと母さん、離婚するから」
「父さん、性転換して女性になるの」
固まる娘たち。
「離婚はしない」 けれど
「女性にはなるから」 と父。
どうやら性転換するための治療=ホルモン投与も
始めているらしい。
やがて父は無事(?)にタイでの手術を終え
女4人(?)の生活が始まる。
◇
お話は、娘(妹)の目線で暮らしぶりを描きつつ、
随所に過去(娘たちが小さい頃)のVTR映像を挟み
その家族の日々の生活を描いて行きます。
そこで描かれる家族4人の反応が
それぞれ違って描かれるのですが
父 当然ながら女性ライフを満喫中。 充実そのもの。
母 離婚はしていないようだが。 一見して無関心。
姉 女性になっても父は父。 とても前向き。
妹 認めなきゃ。 けど認めたくない。 混乱中。
ラストまでに特別のイベントが発生する
という事では無かったのですが
最後近くのシーン。
自分(父)を受け入れきれずにいる娘(妹)のため
一人イギリスへ引っ越そうとする父
そしてその後、父の住むロンドンを訪ねていく娘たち。
男性だろうが女性だろうが
そこにあるのは「家族の絆」。
たぶんこれからもゆっくりと時間をかけながら
新しいスタイルの家族が出来上がっていくのだろう と
そんなことを予感させるエンディングでした。
トランスジェンダーについて色々と
考えるきっかけになる作品でした。 はい。
※観る人を選ぶ作品なのも間違いないかと
◇父に聞いてみたい事
「なぜ、女の人と普通に結婚して子供まで造ったのですか」
「そこまでして性転換したかった動機はなんなのですか?」
作品中で娘(姉のほうだったか)も問いかけるのですが
明確な答えは返ってきません。
それを匂わせる何かがが描かれていたら
もっと共感できるような気がしました。
※もしかすると
自分にとっての「あるべき姿」に戻りたい
と願うことに 理由などいらない
…そういうことなのかなぁ
◇最後に
「父」を演じた役者さん
娘と海で泳ぐシーンで
遠目ながら、父の乳が確認できました。
CGなのかがとても気になっています。
作品のタイトル
「パーフェクト・ファミリー」となっていますが
原題を直訳すると 「普通の家族」 (ぐーぐるせんせ)
この作品では、「パーフェクト」な家族を
描こうとはしている訳ではないようです。
邦題のタイトルは何か違うかなぁ
そんな気がしています。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。