カード・カウンターのレビュー・感想・評価
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ポーカー描写がリアルでない
オスカー・アイザックが魅せる贖罪
そういえばオスカー・アイザックはアクロス・ザ・ユニバースでミゲルを演じていたし、今や色々な監督に重宝される売れっ子なんだなぁと思いつつも鑑賞。
何かやらかして服役したらしい男、上司は捕まらず、人身御供のように服役した男がカードの才能一つで…。
物語は正しくこの男の置かれた境遇を描いていくが、真相は中々視えない。魚眼レンズで写したアブグレイブ捕虜収容所の画面は直視に耐え難い描写でした。ここで犯した罪の贖罪のためか、昔の同僚の息子を拾いギャンブルの旅に出る。ハスラー2か?と言う疑念はものの2分でなくなりました。若者は復讐に燃え、男は贖罪の旅を続けながら旅を続ける。
結果としては深い悲しみとともに男の贖罪は真っ当されたのではないでしょうか?
ミステリーとしてロードムービーとしてもハードボイルド風味で満足しました。
巨匠コンビなんだけどな
映画『カード・カウンター』ポール・シュレイダー マーティン・スコティッシュ コンビの登場となるとどうしても『タクシードライバー』を連想して期待を膨らませてしまう。しかし、時代は変わったと痛感してしまう、そうアナログの時代からデジダルの時代。
名匠のコンビで嫌が大にも期待が
ということで、映画館の座席のシートに収まったのですが。
名匠コンビの作品にしては、観客が少ないな。
そういえば、マイナーな映画館だし、その上上映回数も少ない。
嫌な予感を抱えつつ幕が上がったのですが。
案の定、途中でうつらうつらと。
しっかりとセリフを聞かないと後々話が見えてこなくなると、目をこすりこすり。
なんとか、話の筋は切れることなく終えたのですが。
期待ほどには、緊張感のある作品ではなかったな。
そうだよな、『タクシードライバー』って1976年の作品だもんな。
時代に緊張感がなくなったのかな
洋の東西を問わず、時代が軽くなったよな。
『タクシー・ドライバー』はベトナム戦争帰りの主人公。
戦場で心の均衡の崩れた役をロバート・デ・ニーロ。
時代にハマっていた。
長引く戦争と厭世観、米国初めての敗戦。
今の時代が、決して平和な穏やかな時代とは言えないけど。
登場人物が、迫力ないよね。
アメリカンコミックからそのまま出てきたような、トランプが大統領になる時代だし。
SNSの発達が、人々の思考力を衰えさせたし、考えるより先に視覚で印象つけられてしまう。
『カード・カウンター』の贖罪
主人公の贖罪が、今ひとつピンとこない。
アメリカのアフガン戦争の捕虜収容所の出来事。
この点からして、私達には他人事に感じてしまう。
非人道的な出来事だとは思うんだけど。
イスラム教徒とキリスト教徒の戦いとも取れるわけで。
となると、エルサレム奪還の十字軍あるいは、それ以前まで遡る話で。
日本という、いわゆる極東に住んでいると今ひとつピンとこない。
映画の作風は、今という時代には合わなくなったということも言えるのかな。
軽く、展開も早く。
ともすれば、コミック調もあり。
そんな、軽ちゃーな時代になってしまいました。
背負い続ける重い十字架。
カジノを転々と流浪する様は、さながらロードムービーで、抑制の効いた内省的な作品は、主人公オスカーアイザックの、まさに生き様の表れ。それは陰でも陽でもなく、言うならば無の状態。この無の状態から針が大きく振れる決勝戦前夜にのみ解放を感じたが、そこから衝撃の結末に向かう流れと、予想し得なかったラストはポールシュナイダーの真骨頂のように思える。
タクシードライバーの音楽を担当したバーナードハーマンのトムスコットによる陰鬱なサックスに代表されるような耳に残る名曲が欲しかった。
え?ほぼ満席?
丁寧にシビアな心理を描く良作。
ここに行き着くか…
10年の刑期を終え出所した男と、ある人物への復讐を企てる青年が出会い、お互いが持つ微妙に重なる闇を認めながらその行く末を描いていく物語。
本作、ギャンブルをして過ごす寡黙な男が主人公だが、ギャンブル自体にそんなに重きを置いているわけではなかったですね。てっきり、アレコレあって最後には大逆転‼みたいな作品かと思ったが。。
実態は、米国のイラク侵攻でのアブグレイブ捕虜収容所にて行われた、非人道的行為を発端に逮捕されたウィリアムと、悪徳大佐の所為で元軍人の父が自殺してしまった青年との関りを静かに、そして重厚に描いたドラマ作品。
話はやや小難しいし、テンションはずっと低いし、最序盤のカードカウンターの説明も私にはチンプンカンプン。
よって、ゾクッとしたり大興奮するような展開もないのですが、オスカー氏の力強くも、脆さが見え隠れする男の演技にズッポリと魅せられる。そして…やっぱり復讐と言うのは虚しいものなのか。。
元はと言えば、収容所でのひどい行為の数々も、テロに対する復讐行為とも言えるし。。その虚しさに気づいたからこそ、ウィリアムはあんな感じになったのだろうし。
だからこそのカークに対する接し方。それなのに結局は…。
復讐の輪廻の悲しさを伝えるとともに、壊れかけの人生に救いを垣間見せるような、メッセージ性の強い作品だった。
23-083
ガラス越しでE.T.
雰囲気的に『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のような渋いオスカー・アイザックを久々に、ポール・シュレイダーは『魂のゆくえ』と同じ事を本作でも描いているようで特に終わり方が一緒に思える、バッドエンドのようなハッピーエンドを、その逆でも、脚本家として優れている反面で監督としての手腕が発揮されているのか、いつまでもトラヴィス・ビックルの呪縛から逃れられない感じが愚かにも、何となくニコラス・ウィンディング・レフンの映画を観ている感覚ヲ、音楽の使い方とか、色々と意識しているようで実は憧れの対象か!?
起こる出来事が衝撃的でありながら物語が進むテンポは変わらず、淡々と起伏のない展開にもどかしさを感じたり、タバコ吸うんだと思ったらトランプの箱だった、そろそろウィレム・デフォーを主演で撮ってみても、デ・ニーロで撮ってみたいのかなぁ、最近のポール・シュレイダーの監督作品はクオリティが高い、良し悪しは別として!?
映像と音楽は良かったけどストーリーが全くハマらなかった作品。 本年度ベスト級。
決して「バカの映画入門」では無い
過去に犯した罪に向き合って行く元軍人の流浪のギャンブラーの話。
イラク戦争時アブグレイブ刑務所で拷問に関わったことで服役し、出所後ギャンブルで生計を立てる男のもとに、因縁のある青年Cのカークが現れ巻き起こって行くストーリー。
序盤こそブラックジャックだポーカーだとギャンブルの見せ場もあったけれど、後は正味どうでも良い感じで、ポーカーの世界大会に参戦しカークをお供にカジノを回りながら、過去を明かしていく。
ギャンブルに恋愛要素に復讐劇にと派手そうなイメージだけど多くを語らず地味に無機質に展開していき、山場もニュース映像だったり音や声だけだったりと派手な映像はなく悶々々々。
回想シーンだけは片鱗もあったけど。
ハードボイルドだし、哀しい話しだしで内容的には渋くて良かったけれど盛り上がらなかった。
正味どうでも良いし鬱陶しいUSA!がいなかったらもっと地味だったんだなと考えたら良い賑やかしだったのかな。
過去を背負い続ける
ET
明らかになっていく真相…
重く、濃密な、まるでロシア文学・ゴーリキーのようです
人間の嵯峨、それとも習性?
「拷問を受ける人」
「拷問を与える側の人」
「刑務所に服役する人」
「カードゲームを生業にしている人」
表面上は、それは凄まじい
バトルが繰り広げられるが
当事者は
長い時間軸の中で
単純な同じことを
単純に繰り返している、にすぎない。
見ていて辛くなるが
しかし
自分の中にある
単純作業の繰り返しを
嫌ってない、何があることに
気がつき
より、辛くなってしまった。
ただ、
エンディングロールの
背景に続く
システィーナ礼拝堂に描かれた
アダムの創造(ミケランジェロ)
の「触れ合う指先」的な
カットの
意味するものは?
あまりに象徴的な画面構成なので
???が、気になる。
誰か、解説してほしい!
ひりつき、心を抉られるハードボイルド
ギャンブルに生きる男の物語と思わせて、とんでもないハードボイルドの世界を味合うことになる。
クライマックスが近づき、安堵の気持ちに傾きかけた観客に向かって放たれるとんでもない仕掛け。それまで、ポーカーフェイスを通してきたオスカー・アイザックの表情がほんの少し揺らぐ。その決意が向かうところは果たして。
ぴっちりと分け目をつけて寸分の隙もない髪型とスーツでカジノに臨むウィリアム・テル。ウィリアム・テルという名前自体が運命を予期させるが、買っても負けても眉ひとつ動かさないオスカー・アイザックを見ていると、運命がどう転んでも受け入れる覚悟があるように感じる。
ウィリアムはモーテルの部屋に入るなり、机、椅子、机や椅子の脚まで白い布で覆う。彼の病的な潔癖症は、真っ白な空間で自分の心を平安な状態に置くことが目的なのか。または、邪悪な気持ちが入り込まないように白で防御しているかもしれない。
ポーカーの勝負シーンは、見応えがある。手札を見て勝負を決めるプレイヤーの攻防は、自分の手汗が出てしまうくらいひりつく。
ポーカーは基礎知識しかないが、カウンティングは麻雀でも効果的だから、このテクニックが有効なのはよくわかる。欠点は、ゲームを楽しめないこと。
幻想的なイルミネーションの中を2人が歩く。多幸感に包まれるこのシーンで終われば、それはそれで一つの物語になったと思う。
ハードボイルドは、苦くて辛いもの。そんなことを思い知らされた。
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