カード・カウンターのレビュー・感想・評価
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流石のポールシュレイダー監督
監督は好きなんだが、まだタクシードライバーと救命士しか作品は観ていない私。
でも分かる、この孤独で救いを求めて気にかける人を見つけるが不幸にしてしまい爆発する主人公という"いつもの"やつ!
今回はゆったりとした流れで孤独で非日常だが退屈な人生に小さな目標を見つけてゆくが、そこはやはり…。
俺はどうしたかったのか、1人モーテルの布に包まれた小さな机で日記へ想いをぶつける毎日。
ヒロイン(?)とのささやかな恋愛やそれに至るまでのもどかしさ、そしてラスト。
退屈な様で刺激的な映画
タイトルに偽りあり
題名が「カード・カウンター」なのでギャンブルに多少詳しい人は「ははーん。この映画はカウンティングの話だな」と思いますが違います。
映画に詳しい人は「カードカウンターといえばラスベガスをぶっ潰せのようなブラックジャックの話だな」と思いますが違ういます。
冒頭でチラっとだけカウンティングの話が出ますが途中でポーカーの話になります。
カウンティングは冒頭のそのチラっとした話で終わります。
しかも終盤ではそのポーカーの話ですらなくなります。
しかし、この映画の本質はカードカウンターというタイトルとなんら関係なく、復讐劇と主人公の過去と現在です。
不器用にしか生きられない主人公の生きざまを見る映画であり、非常に素晴らしい映画です。
タイトルは良くないです。
過去を忘れることは出来ず
8月27日にたまたまクロムスカルリターンズの上映が行われる京都みなみ会館様で来月にも閉館ということを知り、少しでも営業に貢献できたらと思って上映中作品のフライヤーの一覧を見てみたいなあと思って鑑賞。決して内容を把握した上で鑑賞したわけではありません🤣
だからこそ、内容にのめり込みやすかった。
ポーカーやジョーカーといったカジノでのギャンブラーとしての生活をしながら各地転々と移動する主人公には、かつて収容所における行為で罪に問われ服役するが、実はこの逮捕劇は仕組まれていたもので、濡れ衣を着せられた汚名を晴らすべく同じく裏に闇を抱えた相棒とのカジノ巡りをしていく中で運命の出会いが訪れる。
最終的には、殺人を犯す形で復讐を果たし、罪の意識から自ら通報するのだが、恋人になった女性の優しさが痛感させるもので、それが主人公の心の救いならば彼女の存在があってよかったなあと思う作品でした。
まとわりつくような息苦しさ
他人の痛みは、完全には理解出来ない。
自分の為に、誰かを利用(救うという名目で)
する浅はかさ。
最後に、自分も傷つく選択をしたのがせめてもの贖罪、だったのかな。
一寸の無駄の無い映像と、彼らの心情を代弁するような音楽。
ラストカットには、ちょこっと居心地悪くなりました。
やり過ぎじゃん!
オスカー・アイザックの抑えた演技と緊迫感に満ちた映像、音楽が、物語に強い吸引力を与えている一作
カードゲームに精通した元軍人が、自らを罠にはめた元上官の復讐を企む、という予告編から受けた印象から、いわゆるコンゲームと呼ばれる犯罪サスペンスの展開を想像していました。
さらに序盤でカードゲームのルールを端的に解説するカットもあるため、じっくりゲームの駆け引きを見せるのか映画なのと思いきや、本編ではそうした描写はかなり控えめ(やたらUSA!USA!と騒ぐギャンブラーが異様に目立ってたけど)。そのため、手に汗握る神経戦を期待していると、結構意外に思うかも。
むしろ主人公、ウィリアム・テルを演じるオスカー・アイザックの演技自体がカードゲームのプレイヤーそのもで、彼の神秘的なまでに感情を押し殺した表情が、彼が命をかけて大勝負に挑んでいることを雄弁に語っています。
マーティン・スコセッシ監督の『タクシー・ドライバー』(1979)や『レイジング・ブル』(1980)で脚本を務めた(スコセッシは本作では製作総指揮)ポール・シュレーダー監督だけに、謎めいた映像、何を意図しているのかつかみがたい主人公の言動で物語を牽引していく手腕は見事の一言。
アレクサンダー・ディナンの撮影は、例えば3D映像を無理やり2Dで見せているかのような不思議な撮影手法を効果的に用いているし、ロバート・レヴォン・ビーンの音楽は、洗練さと退廃の両面を含んでおり、これら映像や音楽が、さらに作品の吸引力を強めています。ウィリアム・テルを、ある意味地獄に招く若者、カークの危なっかしさを、タイ・シェリダンが巧みに演じており、彼らの緊迫感溢れる対話は本作の一つのクライマックスになっています。
あまりにも分かりづらい
省略がきつすぎて、あまりにも分かりづらい。題名と、たたずまいからカード・ギャンブラーの話と思っていると、全く違うところに着地してしまう。
監督は、どちらを描きたかったのか? 見ている方は疲れるばかり。
渋い作品だとは思ったが、現代で公開される作品としては 表現にフレッ...
渋い作品だとは思ったが、現代で公開される作品としては
表現にフレッシュさは感じない。
カードカウントの構造と映画の終わりがシンクロしてるのがよかった。
オスカー・アイザックはよかった。
映画館で鑑賞
とにかく眠い
2023年劇場鑑賞176本目。
よく分からないけど復讐劇ということで、ポーカーで何か大逆転する話かと思ったら全然そんなことなかったぜ!
カードカウンターという意味は大勝ちみたいな意味と劇中で話されるのですが、あのラストそうですかね?
終始暗い画面で、場面の切り替えもパッという感じじゃなくてホワンホワンホワンという感じだし、登場人物もみんなテンション低いのでまぁ眠い眠い。重要なところはほぼ匂わせばかりでなんとも消化不良な作品でした。
プロなら仕事は 終わらせてから 次の成すべきことをしろ。
あのUSA...をやっつけるのかと思ったら
工工エエェェ(´Д`)ェェエエ工工
そんなことでぇー。( >_< )/
放り投げたら あかんやろぅー。(怒)
でも 渋い演技が たーまーりーまーせーん。(^Q^)/゚
英語も勉強になりました。
passingtime.....これから使います。
TILT
まさかの一日5作品鑑賞、その①。
ここでレビュータイトルだけチラ見して、ギャンブル映画じゃないことは把握していた。
しかし、ここまで絡まないとは思ってなかった。
「小さく賭けて小さく勝つ」がモットーのウィルが、一度は断ったリンダの誘いに乗り、大会に出場する。
その理由が明かされるシーンは、豹変具合もあって息を呑んだ。
これが彼なりの贖罪だったハズが、逆にその関係が復讐をさせる皮肉。
カークとウィルが出会わなければ、お互いに実行まで至れなかったかもしれない。
ニュースで済まされるカークの顛末も含め、物哀しいものがある。
しかし、中盤までの会話劇は退屈で、ギャンブルの解説も本筋には活きない。
イルミネーションの中、手を繋いで終わるウィルとリンダは中学生か、と。
(ウィルがカークに提示した“交換条件”で、別の見方ができるとはいえ…)
魚眼レンズを用いて異色さを際立たせた刑務所のシーンは良かった。
ただ、ギャンブル要素が金を作る手段でしかなく、タイトルやポスターに違和感が残る。
せめてもう少し起伏がほしかった。
Slave
ギャンブルの話というだけ頭に入れて鑑賞。ポーカーだったりするのかなぁという感じのイメージでした。
全体的にローテンションで進むので、映画としての見応えはあまり無いように思えてしまいました。命を賭けたまではいかずとも、この手のギャンブルの絡む作品はもっとスリリングな感じが強いのかなと思ったのに、淡々と進んでいく感じがあまりしっくりきませんでした。
R指定にされるほど性行為が淫らなわけでもないですし、ギャンブルが白熱するわけでもないのでこれまた物足りないです。カードとは関係ありませんが、競馬で大穴勝負の大博打とか盛り込んでくれたら個人的には嬉しかったのになぁ。
謎のE.T.シーンだけ最高でした。長尺で観せる理由も全く分かりませんでしたし、完全に無駄なショットですが嫌いになれませんでした。んーそれくらいしか印象に残らないタイプの作品でした。自分には合わなかったです。
鑑賞日 7/5
鑑賞時間 11:55〜13:55
座席 F-13
アメリカの病巣
ポール・シュレイダー作品でありまた帰還兵のトラウマものでもあり、ということでどうしても「タクシードライバー」を想起せざるを得ない。
本作において主人公はどうやら戦場(というか収容所)から持ち帰ってしまった狂気を、日々の暮らしぶり(真っ白い部屋!)や抑制されたギャンブル暮らしでどうにか逸らし飼い慣らしていることが分かる。
そこに弟子というか元同僚の息子が登場することで…
というまぁ類型といえば類型なんだけど、アメリカのひとつの病巣を描いてる。
グアンタナモなどの様子が描かれる機会が最近の作品では多いが、本作での収容所のあの魚眼レンズで撮られた見たこともないような映像が狂気の理由を良く現している。陰鬱に過ぎるが…
誰もが本作を「ギャンブル映画」と連想するはずですが、復讐劇として色濃く描かれていますした。
ポール・シュレイダー。言わずと知れたアメリカの巨匠です。脚本家として監督として実績を重ね、齢(よわい)熟して、7月で77歳。円熟の芸の境地にあります。そしてマーティン・スコセッシが製作総指揮を務めています。
スコセッシ監督の初期の名作「タクシードライバー」 「レイジング・ブル」に脚本を提供したシュレイダーが今回主人公に据えたのは孤独なギャンブラー。敬愛する小津安二郎監督の影響も見て取れます。
主人公のウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は、風変わりなギャンブラーです。軍人としてイラク戦争に出征したが、アブグレイブ刑務所における特殊作戦で罪を犯したため、8年間服役した。出所後、彼は独学で「カード・カウンティング」と呼ばれるカードゲームの勝率を上げる裏技を学び、ギャンブラーとしてカジノからカジノを渡り歩きながら生計を立てていました。そんな彼のギャンブラーとしてのモットーは、「小さく賭けて小さく勝つ」こと。目立たず、匿名でいることを好んだのです。顔を覚えられるから、テルはホテルでなくモ~テルに泊まります。そして大きなバッグとスーツケースを携えて部屋に入ると、全ての家具を持参の布で覆い隠すという奇妙な習慣を持っていたのでした。
ある日、ウィリアムはギャンブル・ブローカーのラ・リンダ(ティファニー・ハディッシュ)と出会い、大金が稼げるというポーカーの世界大会への参加を持ちかけられます。 しかし、ウィリアムは目立たないのが信条だと伝え、誘いを断ります。
その直後、ウィリアムは二人の男と遭遇します。一人は、軍隊時代の上司でウィリアムに“消えない罪”を背負わせた男ジョン・ゴード(ウィレム・デフォー)。もう一人は、ウィリアムにゴードへの復讐を持ちかける若者カーク(タイ・シェリダン)でした。
カークの父は、かつてウィリアムと同じアブグレイブ捕虜収容所の特殊任務についていました。そこでは捕虜に対し、精神的にも肉体的にも凄まじい傷を与える拷問が行われていたのです。
ウィリアムもカークの父も上からの命令に従い、拷問に加担し、捕虜たちを縛り続けました。そして捕虜虐待の事実が公になった際に、写真に顔が映っていたウィリアムだけが逮捕され、8年の刑を受けることとなったのです。
カークの父も同様に裁かれたのちに出所しましたが、自らが犯した罪によるトラウマにより家族に暴力を振るうようになったことで家庭は崩壊。数年後に自死したと聞かされます。
カークはゴードに復讐しようとしていました。一連の拷問はすべてゴードの命令によるものだったのですが、彼は何の罪にも問われることなく、のうのうと生きていたためです。
そんなカークの様子を見て、ウィリアムはラ・リンダに連絡をとります。彼はポーカーの大会に参加すると伝え、カークには自身の相棒となるよう持ちかけます。
カークは大学を中途で辞めていましたが、奨学金の借金がかなりまだ残っていました。ウィリアムはその分を返済させ、大学に復帰させることで彼は立ち直れるだろうと考えたのです。自身のモットーを曲げてまで、大金が稼げるポーカーの世界大会参加はそのためのものだったのです。
自分は何もせず、ひたすら時間を潰すだけの単調な日々にカークは退屈しているようでしたが、ある日ウィリアムにグーグルマップで調べたとある家の写真を見せます。それはゴードが暮らす屋敷でした。
リンダと出会いがウィリアムを、復讐と贖罪を賭けた人生の勝負へと駆り立てていくことに向かわせるのでした。
『カード・カウンター』というタイトルやポスターなどのビジュアルからは、誰もが本作を「ギャンブル映画」と連想するはずですが、ギャンブラーとしての主人公ウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は実に地味な人物です。むしろ本作は、復讐劇としての色濃く描かれました。
本作は「ベトナム戦争帰りの元海兵隊員」を自称する男トラヴィスを描いた『タクシードライバー』、息子を戦場で亡くした元・従軍牧師トラーを描いた『魂のゆくえ』のように、アメリカの戦争が生んだ映画と称した方が適切かもしれません。
本作に一貫して流れているのは、ポール・シュレイダーによる痛烈なアメリカ批判なのです。露骨に強烈すぎて、個人的には好きになれないところです。
ウィリアムは、イラク戦争で、捕虜収容所のアラブ人兵士への拷問に関わり、8年服役した過去をもちます。戦争がトラウマになっているのです。そして囚人を拷問した贖罪の意識も大きかったのです。
ウィリアムが収容された刑務所と対比してのカジノは、多くの人にとって、エキサイティングで騒々しい場所です。しかし本作でのウィリアムがプレイするカジノは、『孤独』な場所でした。なぜ彼と彼に相対するギャンブラーたちは、1日12時間、週7日間、テーブルの前に座っていられるのでしょうか。カジノはウィリアムにとって刑務所の収容生活の延長のような場所に過ぎないのだと思えました。大きな罪を犯したために、煉獄のような場所で時間を費やしているのではないのだろうかと。
ウィリアムがカークを説得するくだりが心憎かったです。
ウィリアムが、バッグの驚くべき中身を見せ、カークが必要な大金を呈示し、「母の許へ、そして大学へ」と約束させます。その時のウィリアムの、嫌とは言わせぬ冷たい目に、一瞬、鳥肌が立ちました。
本作には、悪夢を思わせるアブグレイブのセットなど独創的な空間が随所で描かれます。とりわけ無人の空間が効果的に使われるのです。
シュレイダー監督が語るには、「無人の空間は何も起こっていないと多くの映画監督が誤解しているようですが、ちやんと起こっています」と。「そこには時間の流れが起こっています。無人の空間は時間が流れていることを表現するために使っています。この手法を、私は小津安二郎監督の映画から学びました」
この無人の空間のシーンが意外と長く描かれるため、睡魔との闘いとなることに注意してほしいです。
男とは
最初から最後までオスカー・アイザックの独白
体調がイマイチだと確実に睡魔に襲われる映画(見事に寝落ち)
ポール・シュレイダー映画なのでひたすら彼の美学で埋まっております
ウィリアム・デフォーの存在に最後まで気付かず(寝てたんでね…)
最後はETでしたね
穏やかな色彩を帯びる孤独と懊悩
1976年公開の「タクシードライバー」(29回カンヌパルムドール受賞、アメリカ国立フィルム登録簿1994年登録)は公開当時とても感銘を受けた作品でしたので、マーチン・スコセッシとポールシュレーダーの45年ぶりのタッグ作品と聞いて足を運びました。鑑賞後思ったのは同じ孤独と贖罪をテーマにした作品ながらも、少し趣がちがうということです。
本作の主人公ウイリアム・テルが獄中愛読していたのは、ローマ五賢帝の一人マルクス・アウレリウスによる「自省録」でした。
この本は、当時辺境民族の平定(戦争)の指揮にあたり、ローマ帝国じゅうを転々としながら、自分自身に語りかける形で記された日記のようなものなのですが、死を恐れる必要のない理由を、「死後自身を構成していた原子は離散するが、この宇宙では、何一つ失われることはない」と言った趣旨のことに求めるなど、極めて内省的です。(最近映画監督にも挑戦した女優の池田エライザさんの愛読書一覧にも掲載されているのを映画雑誌で知り、へぇと思って感心しました。)
そして、彼は、その哲人皇帝と同じように、自身の日常と心証風景を日記にしたためるのですが、その内容は45年前に観たトラヴィスが記した「薄汚れたこの世界を掃除しなくてはいけない」と言った狂気や、初デートでいきなり彼女をポルノ映画館に連れて行ったりする非常識を感じさせるものはなく、たんたんとしたものでした。
つまり「タクシードライバー」のトラヴィス同様、戦争(ベトナム戦争→イラク戦争)を契機に、魂に深い孤独と贖罪の懊悩を抱えながらも、その懊悩を見つめる視線に年齢と経験の蓄積に応じた達観と穏やかさが加わったとでもいいましょうか。「タクシードライバー」と比べるとその分、ストーリーが淡々としている(特に前半)のはいかんともしがたい感じはありますが、その分ストイックさがより強調され、全体に、抑制されバランスのとれた作品に仕上がっているようにも思いました。
そして主人公の想念は多分監督・脚本のポールシュレイダーの想念にもつながっている様に思います。低予算でも自分の信念を曲げずに撮るべき映画を撮りたい。既にご高齢(76歳)なので遺作のようなつもりで製作されたのでしょうか。頭が下がります。オスカーアイザックの演技が素晴らしかったです。
思ったのと違ったー
題名からしてカード勝負の駆け引き的なストーリー展開を期待してました。が、全く違いました。
実話ならまだしもオリジナルストーリーでこの展開は「無いなー」と思いました。結局何を言いたかったんでしよう?
P・シュレイダーは錆びていなかった
僕は観た映画がつまらなかったらすぐ席を立つ、いい作品だったらエンドロールまで付き合う。今回はスコセッシが製作・監督がP.シュレイダーだし、たとえ少しゆるくても敬意を表して最後まで付き合おうと思ってた。多分そうなるだろうと。ところがP.シュレイダーは錆びてなんかいなかった! 若いころ名画座で『タクシードライバー』のオープニングを初めて観たときの、あの何とも言えないいかがわしい感覚が蘇ってきて嬉しかった。暴力性と人間に対する深い認識。そして金を取ってみせるものであるという本分から、絶対に逃げない映画人としての誠実さ。2023年にまさかP.シュレイダーがこんな作品を届けてくれるとは思わなかった(感涙)。
全74件中、21~40件目を表示