「フォースドリフト=ティルト」カード・カウンター いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
フォースドリフト=ティルト
『それはひとえに、「敗北という事実」が強烈なまでに心をかき乱すからに他ならない』というのが、意味とのことを観賞後のネットで調べた 逆もありえる どんどん勝ちが続くと自分の実力だと勘違いしてしまう そしてコイントスの如く、一気にハシゴを外される
拷問とカードゲーム、このテーマを結びつけた制作陣は流石だと感嘆する
アブグレイブ、グアンタナモ、この世の地獄を演出するロケに成り果てた彼の地は、魚眼レンズ越しにその悪行を余すところ無くスクリーンに映す もうそこには"尋問"という理由など当に失せている する側される側、そのPTSDは、倫理的を置いておいて、かなり同等だということである そんな地獄の贖罪を法律的には全うした男の拭いきれぬ罪と罰を"ギャンブル"という特異な精神世界に委ねることで禁欲性を発揮するギャップの大きさに取憑かれた男のストーリーである
そんな男が出会う人間は二人 同じ境遇にいた男の息子 そしてなるべく穏当に暮らしていた自分をみつけた女 何とか息子を怨恨から脱却させたい それが今の自分の罪滅ぼしとして、赦される理由になるのではと思った男は、金と暴力をちりすかせ、強引に怨恨を断ち切る断ち切る手段に出る しかし、カードカウンテイングのように数字を記憶する事は人間では当てはまらない それは表題のように慢心が産んだベットであった あれだけ脅したのに、それでも復讐の実行に手を染めそして返り討ちに遭う・・・ その一連のターンに男は気付く筈
これは、代償行為に他ならない 本来は自分が手を染めるべき案件だったのだと・・・
それでも、元に戻った刑務所に於いて、面会に来た女の少しやつれた顔に、思慕が沸々と沸き起る事は決して間違いではないと信じる
(チャイナマネー等々)少々政治色の強い、色々な勘ぐりが頭をもたげる作品ではあるが、しかし抑揚を抑えた質実剛健な世界観に堪能する 溜息混じりの劇判も又彩りを添え、アメリカ各地のカジノの何故だかノスタルジーを醸し出す印象作りも一層の表現作りへの帰依を重層的に描いた良作であった
作中では、正にギャンブルの解説、拷問の説明と、凡そ自分の世界とはかけ離れた"異世界"を解説しているので、Rー指定になるのも当然であろう 一度悪に頭の天辺まで漬かった人間が、愛で洗い流せるのか、その答は観客への宿題だ・・・