劇場公開日 2023年4月14日

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「とにかく画面が綺麗でした!内装、衣装、そして俳優さんがイケメン揃い!」幻滅 snowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5とにかく画面が綺麗でした!内装、衣装、そして俳優さんがイケメン揃い!

2023年4月24日
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バルザックの小説が原作。セザール賞主要7部門受賞の王道の文芸大作。

メディアと政治によりねじ曲げられた報道。対抗する大衆紙に勤める記者。正義感を持って腐った報道を糾弾していたはずなのに色んなものに巻き込まれていきます。

(ネタバレあり)
詩人になるのが夢の主人公。貴族出身のお金持ちの奥方に援助してもらい名士の集まりで詩の朗読をするが何せ学のない田舎の人間の集まり、彼の詩が理解されることはない。

自信を失う主人公を奥方は励まし、やがて主人公と恋仲に。それがご主人にばれて二人はパリに駆け落ち。元々貴族出身の奥方の従妹たちに住むところを手配して貰った。

だが、貧しい出自の彼を従妹たちは気にいらず別のホテルを手配される。従妹の一人は悉く彼を邪険に扱い邪魔にする。

ある日二人は社交界の集まりに出かけるがここでも従妹は嫌味を彼に言い意地悪。また別のある日はみんなでオペラを見に行くがここでも主人公は正しい振る舞いが出来ず奥方に恥をかかせてしまう。奥方は何も言わず彼を残して帰ってしまう。奥方に見捨てられた彼はお金が尽きてしまい、路頭に迷う。

そんな彼を助けてくれたのが大衆紙の記者。大手メディアがねじ曲がった記事ばかり書いているのに反発して民衆に本当のことを伝えなければと理想を語る。すっかり傾倒した主人公は記者見習いとして記者について学ぶ。元々詩人を目指していただけあって主人公の記事は人の心を捉えて大ヒット。一躍人気コラムニストになりお金を得る。オペラ歌手の恋人もでき順風満帆に過ごす。

権力者たちは彼の居る大衆紙が人々の不満をあおるのでつぶしにかかる。そこで権力者たちは主人公にある提案を持ち掛ける。

実は主人公の母は貴族の出身だが父は貴族ではないので主人公は貴族の姓を名乗ることはできないのだが主人公は貴族の姓が名乗りたくって田舎にいるころから母の旧姓を名乗っていた。しかし至る所で貴族じゃないと言われるので貴族として認めて欲しいと王様に嘆願書を出していたがそれを権力者たちは利用して主人公に権力寄りの記事を書けと言ってきたのだ。

主人公が路頭に迷った時助けてくれた人たちを裏切るのか、それとも権力者に媚びて貴族になるのか...?主人公が出した結論は?

すべては泡沫の夢。

(感想)
ナポレオン時代の貴族や社交界が舞台なので内装や衣装などとても美しかった。そして主役と助演男優さん揃って美形。眼福。主役は全裸シーンが3回もあった。フランス映画ってどうしてこんなにエロいシーンが多いんでしょう。これぐらいしないと観客が満足しないのか?笑

80年前に書かれた小説ながら現在にも通じる内容。メディアの闇が描かれます。身分制度が壊れる少し前の世界を余すところなく描いています。

理想があったはずなのに現実に潰れて落ちていったり、お金を待ったら持ったで贅沢三昧な生活をしてしまったり、身分制度に苦しめられてるはずなのに身分が欲しくてしょうがない。エゴや自尊心や色々なものを内包しえいるのが人間だとバルザックは言いたいのか?そんなことを考えてしまった。

お金をかけて丁寧に作った映画とはこういう映画を言うのだろう。バルザックの小説の世界を見事に再現した映画。本当に美しい画面でした。映画が終わった時、こっそり拍手をしたら隣の女性も小さく拍手していたのが嬉しかった。

snowwhite