パワー・オブ・ザ・ドッグのレビュー・感想・評価
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カンバーバッチの繊細な演技が光る!
ほぼ中身のないレビュー、とまでも言えない自分用メモです。 第94回アカデミー賞 11部門で12ノミネート(助演男優賞に2人ノミネートされているから数が合わない)の最多ノミネート作品。ずっと最有力視されていましたが、最後に「コーダ」に逆転されちゃいましたね。唯一、ジェーン・カンピオンが監督賞を受賞。女性監督の受賞は3人目です。 もう登場シーンからカンバーバッチ演じる主人公のフィルが嫌なヤツ過ぎて嫌悪感マックスに。 それでも1920年代のカウボーイってこんな価値観だったのね、って見ていたら途中から(そうだったのか!)という展開に。 ラストは(えーーー、そういうこと!?!?)って結末なんですけど、全てはっきりと描写はしていないので、よくわからないという声が多いのもごもっとも。 この映画は特に人によって合う合わないあるでしょうね。 結末を知ってからもう一度みればまた違った見方になるのでしょう。 鑑賞後ずっと星3.5か4.0か悩んでおりましたが、この後に鑑賞した作品は4.0相当が続きましたので、相対的に3.5になりました。全然悪くはないのですが、少し肌に合わなかったので。 厳密に言うと3.75位です。 おそらく数年前のアカデミーなら「コーダ」よりこちらが作品賞を獲得していたのでは? 芸術性だけで選ぶなら今作でしょうね。 (個人的な好みはダントツで「コーダ」でした)
スリリングな愛憎劇に目が離せない
フィルのマチズモは一見すると昭和オヤジの典型のような古臭さを感じるが、しかしよくよく考えてみれば強権によって他者を支配するという行為自体は現代でも身近に目にするものである。例えば、昨今のMeToo問題やパワハラ問題然り。世界に目を向ければ、一部の超大国による搾取や圧力が横行している。そう考えると、本作は普遍的なテーマを描いているという見方もできる。 本作で面白いと思ったことは2点ある。 まず、1点目はフィルの造形である。 フィルのバックボーンには幼い頃に師事したブロンコ・ヘンリーという男が存在している。このブロンコは劇中には登場してこないが、今でも彼愛用の鞍を大切に保管していたり、彼の思い出を度々反芻することから、相当フィルは彼に信奉していることが分かる。きっと現在のフィルのようにさぞかし厳格な西部の男だったのだろう。 ところが、映画の後半に入ってから、ブロンコには”ある秘密”があったことが分かってくる。それは男らしさとは程遠い、全く意外な秘密である。フィル自身もそのことは理解していて、そこも含めて彼を信奉していたということが分かる。こうなってくると、途端にそれまでのマチズモが滑稽で憐れに見えてくるようになる。フィルの強さの裏側には、他人には言えない弱さがあったのだ。 この表裏のギャップが自分にとっては意外であったし、フィルという人物の深層を探る上ではとても興味深く観ることが出来た。 2点目は、ローズの連れ子ピーターのミステリアスさ、そして彼をキーマンに仕立てた脚本の巧みさである。 本作は全5章から構成されており、フィルとジョージ、ジョージとローズ、フィルとローズ、フィルとピーターの関係に注視しながら端正に紡がれている。個々のキャラの立ち回りは終始揺るぎなく一貫しており、その甲斐あって、彼らの愛憎劇には説得力が感じられた。 そして、前段でしっかりとフィルの独善的なキャラクターを積み上げた先で、いよいよフィルの適役(?)とも言うべきピーターの登場と相成る。マチズモの権化フィルと花を愛する心優しい青年ピーター。二人はまったく正反対なキャラクターであり、その対峙は非常にスリリングに観れた。この”したたか”な脚本には唸らされてしまう。 ピーターの造形も大変ミステリアスで面白い。 初めこそ純真無垢な、か弱き青年として登場してくるのだが、実はフィルと同じように彼にも表と裏の顔があるということが徐々に分かってくる。 最初にその片鱗を見せるのは中盤のウサギにまつわるシーンだ。ここではピーターに潜む魔性がショッキングに開示されている。その後も彼の言動などから彼の中に眠る”怪物性”は次第に頭角を現す。そして、クライマックスとなる第5章で、いよいよその本性は露わになる。その瞬間、自分は思わず息を呑んでしまった。 ジェーン・カンピオン監督の演出も今回はギリギリまで攻めていると感じた。特に、フィルの隠された”秘密”に迫る描写はかなり際どい所まで描ていて驚かされた。カンピオンというとここ最近の作品は未見で今一つパッとしない印象を持っていたのだが、それは全くの見当違いだったと反省するしかない。「ピアノ・レッスン」の頃を彷彿とさせる不穏さと緊張感に溢れたタッチに最後まで目を離すことができなかった。非常に熱度が高い。 キャストではフィルを演じたベネディクト・カンバーバッチの好演が印象に残った。最初は彼が西部の男を演じるということに今一つピンとこなかったのだが、実際に観てみると上手くハマっていて驚かされた。厳格さの裏側に見せる一抹の孤独と哀愁。そこに人間臭さが垣間見えて、どこか不憫さを覚えた。 また、ピーターを演じたコディ・スミット=マクフィーは、ビジュアルからして強烈な印象を残し圧倒的な存在感を見せつけている。これまでも彼の出演作は何本か観ているはずなのだが、正直全く記憶に残っておらず、今作でようやくその存在を知った次第である。まさか「X-MEN」シリーズのナイトクローラーだったとは…特殊メイクをしているので分るはずもない。
格の違い?🤔
本作品、やっと観賞できました。スクリーンで、配信には加入してないので。やはり配信作品ということで、映画人にちょっと敬遠されたか?作品賞受賞した「コーダあいのうた」よりも作品の格というか質というか?はこっちが上のような気がする!(私の押しは「ベルファスト」ですが。😭)まぁ、なによりジェーン·カンピオン監督が監督賞受賞したのは良かったけどね。😆
賞は強そう
劇場で鑑賞。映画として立派なのは分かるが、男性性とかよりも姑の嫁いびり映画として観てしまった。この感じがゲイネスという認識で良いのかな。40超えて弟の嫁・甥っ子いじりって幼稚過ぎませんか、その時点で男性性というのは大袈裟に見えてしまう。ブロークバック・マウンテンと比較してしまうと。。小道具の上手さは分かるけれどそこもなんだか賞レース映画っぽく見えて嫌らしく感じてしまった。
有害な男らしさ
ジャックアンドベティは時々Netflix映画を拾ってくれるのでありがたい。 これは、『有害な男らしさ』に囚われたホモセクシュアルの話。時代や場所を考えると気の毒としか言いようがないが、この作品はなかなか容赦がない… せっかくなんらかの絆が出来てきたと思った義理の甥に、結局はいつまでも恨まれていたというね… まぁ自業自得と言えばそれまでなんだけど。 しかし炭疽菌ってあんな風に身近にあるものなんですね…
思っていたのと違った。
こういう解釈でいいのかなと、自問自答しながら観ました。死んだ牛の皮を剥がしたのも、皮を先住民に売ったのも、じぶんの皮をわたしたのも、そもそも義兄に接近したのも、すべて計画されていた?でいいんですか?
もしやブロークバックマウンテン系?と思いきや!!
カンバーバッチの視線、その態度がスクリーンに緊張感を生む。 時に生ぬるく、冷たく乾いた風をこちらも感じるかのように、ずっとなんだか緊張しながらスクリーンを見つめることになった。 特別意地が悪く、執拗に嫌がらせするわけではない。ただ、心理的に「あの人苦手・・・怖い」と思ってしまったらどうすることもできなくなる人はいるだろう。 知性的だけど野性味が強く、男らしさを誇る、本当は悪気はない人なのかもしれなくても、 ハラスメントにしか感じないその佇まい。 ところが、後半その雰囲気が徐々に変わり、自分が以前可愛がってもらった伝説のカウボーイのように、弟の妻の息子に目を掛けるようになり、話の流れが徐々に変わっていく。 いつも自己主張強めの女性を演じるキルスティン・ダンストが逆に今回受け身で翻弄される女性、共感しにくい女性を敢えて演じている感じ。 だからこそのずっと流れる緊張感と不安定な感覚にリアリティが出たように思う。 最後にピーターが読んでいた詩篇22章20節がちらっと映り、なんとここからパワー・オブ・ザ・ドッグなのか、と理解した。 突然全ての流れを理解し、へえ~っと感心してしまった。 インテリジェンスがあり、単なる粗野なカウボーイではないフィルと、繊細で好奇心が強いピーターの化学反応を予感していたところでのどんでん返し。 そう、ピーターは無くなった父に言われた通り、彼はやはり強い、芯が強い人だったということか。 ジェーン・カンピオンの描く美しく強い野性味あふれるカウボーイ作品、そのテイストはとてもオリジナリティがあった。
ベネディクト・カンバーバッチがいるだけで、画面に緊張感と不穏な空気が漂う
この作品は、役者の演技を楽しむ映画だと思う。 特に主演のベネディクト・カンバーバッチ。 画面にいるだけで、緊張感と不穏な空気が漂う。っていうか、画面にいなくとも、屋敷中に常に漂う。 こーゆーの前も見たな…と思い返すと、 「フォックスキャッチャー」のスティーブ・カレル。不気味な大富豪を演じていた。 で本作。 ストーリーに展開があるワケでもないので、下手すると退屈しがちだが、役者の演技のスゴさで常に緊張感があり、観客としても、退屈するヒマがない。 でも、「好きな映画か?」と問われると、「違う」と答えるかな。 そーゆーとこが作品賞を獲れなかった原因かもしれない。
いぬのきもち
アカデミー賞にて監督賞を受賞した本作。私はNetflixに加入しているので家で見ても良かったのだが、せっかくなりということで映画館で鑑賞。結果、映画館で見てよかった。思っていた内容と180度違ったけど笑 私は見ているあなたが全貌やら伝えたいことを考えてくださいねみたいな、観客に思考を任せるような映画が苦手。本作はまさにそれ。だけども、すごく良かった。人物背景の分かりにくさと掴みの弱さはあるけれども、「これどういう意味をもたらしているんだろう...」と細やかな所にまで何故だかすごく興味が湧いた。全体の雰囲気が好みだったおかげだろうか。 ネタバレ解説を見た上で理解することが多くあったため、映画自体の感想としては少し不満は残る。でも、ネタバレ解説を見たくなるということは、やはりそれほど映画を楽しめたということだと思う。難しい話では無いものの非常に奥が深い作品であり、見た後は噛み締めるように余韻に浸り考えたくなる。 テーマは読み取りにくいが、これはLGBT映画ということでいいのだろうか。あまり突っ込んで話してないからこう捉えるのが正しいのかは分からないけれども、どちらにせよ個人的には作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」よりも好みの作品であった。これぞ映画って感じ。監督賞を受賞したのも納得の作品でした。 話の内容についてもっと深く話せば長くなるのだけれども、ネタバレ無しレビューなのでこの辺で。鑑賞がかなり遅くなったけれども、評判通りいい作品でした。★4.0に限りなく近い★3.5。惜しいところはあるけど、人にはおすすめしにくいけど、満足度は高めでした。
想像力を掻き立てる演出と世界観
この作品は登場人物の関係性や、設定などが具体的に分からないまま物語が進んでいきます。そして、ある人物の発言や、行動を通してその繋がりを、見ているこちら側が解釈していく必要があります。見る人によって感じ方が様々で、色んな想像力を掻き立てる映画なのではないかと思います。 この作品のテーマも奥深く、とても考えさせられるものでした。独特な雰囲気と音楽が異世界を覗くような感覚になりました。一回見るだけで完全に楽しむことはできなくても、見る度に新たな発見ができるような映画であると感じました。
ダブルで受賞、あるかも
パワー・オブ・ザ・ドッグ 今年のアカデミー賞で最多の11部門で ノミネートされているという今作。 しかも、配信で見られる。というのでネトフリで視聴。 エニグマ〜では生真面目で偏屈な天才数学者を見事に演じて主演男優賞にノミネートされ、 今作では陰湿な牧場主で再度ノミネートされているベネディクト・カンバーバッチ。 陰湿な役と聞いて興味を引かれて,見始めて 途中まで正直『またこの手の映画か』と思ったけれど 主役を始め、彼からの陰湿ないじめで身も心もやつれ果てるキリステン・ダンストやその息子役の コディ・スミットなど周りの俳優も素晴らしくて固唾を飲んで結末を見届けた。 ヒョロ長くてひ弱なピーター(コディ)は恰好のいびりの対象。 オレは『男の中の男』のような強い男しか認めない。 目から伝わる強い感情。 だがピーターが、誰も見ることの出来ない山の尾根の影を 初めてこの地に来た時から見えていたと知った時、 フィルの感情が動いた。 二人の間に風が吹き抜けて麦の穂(ススキかも)を揺らす。 もしかしたら誰にも知られてはいけない自分だけの至福の時を共有してもいい,とさえ考えたであろうフィルの眼差し。 キリステン(ローズ)が1階で弾くピアノと フィルが2階で弾くバンジョー 大きな屋敷にメロディが鳴り響くシーンは圧巻。 ジリジリと心の奥に入り込んで来て、胃がキリキリしてくる。 ひょろ長くてひ弱なピーターは心優しき男の子 だけど綺麗な包装紙で母親の為に花を作ってあげるだけではない。 動物の解剖が好きで牛の病気にだって詳しいのだ。 母が幸せでいてくれる為にはなんだって出来るのだ。 うーん。 主演男優賞と助演男優賞をダブルで取っちゃうかもだな。
語りすぎない語り口
セリフでなく表情で語る 雄大な土地に生活習慣をしっかり感じさせ 本当にそこに暮らしているような実在感 現代的なテーマも見事に織り込み いかにも長くなりそうな上映時間も割とコンパクト
キャストの演技と美しい景観は見事だが、、
●20世紀前半のアメリカの 美しい自然の描写は見事。 ●キャストのセクシャルな描写や表情は 素晴らしい。 ●一切姿を現さないが、 語り継がれるブロンコ•ヘンリーの存在 ●ロープ、櫛、ウサギ、指輪など、 何かのメタファーのようなアイテムの存在。 ●ストーリーは退屈で、 何か起こりそうで何も起きない。 音楽や演技で緊張感を演出するが、 またか、、というジレンマ。
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